続・功夫電影専科 -120ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


雙龍谷
英題:Valley of the Double Dragon/Golden Leopard's Brutal Revenge/Kung Fu Of Tai Kwan Do
製作:1974年

▼本ブログ初登場となる、韓国系国際派スター・金振八(キム・シンパル)の主演作である。『ザ・カラテ2』で日本のスクリーンに登場したこともある金振八だが、本作はあの李小龍『ドラゴン怒りの鉄拳』のロバート・ベイカーが出演している事でも知られている作品である。
物語は典型的ではあるが、日本軍(ベイカーがこちら側…ハーケンクロイツのペンダントを着けていたので、ベイカーはドイツ軍将校らしい)VS抗日派(金振八がこちら側)という図式に、アメリカ軍の黒人捕虜が絡んでくるという、一風変わったものだ。

■金振八たち抗日派は、皆が皆日本軍によって肉親を殺されたりした者たちの集まりだった。
日本軍に捕まりそうになっていた黒人を助けた金振八は、彼を仲間に向かえて日本軍打倒のために活動していく。数々の関所を突破して決死行を続ける金振八一行だが、そんな彼らの前にベイカーが立ちはだかる。全員総出で立ち向かうがベイカーは強く、仲間の1人である馬場が犠牲になってしまった。
その後、金振八たちに協力してくれたベイカーの女(さる理由からベイカーの命を狙って近付いている)とその母もベイカーの手によって命を落とした。日本軍との攻防戦も激化の一途を辿り、脱出の手助けをしてくれたベイカーの女の父が殺され、仲間のヒロインとガキも捕らえられた。
「出てこなければこいつらを殺す!」とのたまう日本軍とベイカー。それに対し、仲間の張紀平が突破口を開いた。残った金振八と黒人は、人質になった二人を助けるべく、決死の戦いへと挑む!

▲当時様々なタイプの作品が登場した抗日功夫片だが、本作はその中でも異色の作品だ。
物語は金振八と日本軍+ベイカーとの攻防戦に徹しており、珍しくストーリー重視の作品である点は興味深い。また、先述の黒人の活躍が印象的で、金振八との人種を超えた友情と葛藤など、他の作品には無いような特色が見られる。個人的には、普段B級功夫片で三下悪役をやってる馬場と張紀平が、本作では仲間をかばって死んでいくおいしい役柄だったのが面白かったです(笑
さて、今回初接触となる金振八だが、この作品での彼はいまいち印象が薄い。本作は功夫アクション自体そんなに多いわけではなく、見どころもラストバトルぐらいしかないのが災いしたのだろう。
殺陣はそれなりのクオリティだったが、注目の金振八VSロバート・ベイカーは日本軍将校が間に入って消化不良な結果に終わっている。ベイカーに関しても持て余している感じが強く、『怒りの鉄拳』の時のような迫力は無かったと言える。
ヒネった話にしたはいいが、アクションが疎かになってしまった不幸な作品。もうちょっとストレートな作品にしてもよかったのでは?


「風魔忍群 血蜘蛛の十蔵」
「忍術伝 NINJASTAR」
製作:2003年

●『十福星』で劉徳華(アンディ・ラウ)やサモハンを相手取って戦い、『中華戦士』では楊紫瓊(ミシェール・ヨー)とも共演した日本人アクションスター・松井哲也。香港で活躍した彼は、日本でも特撮作品やVシネを中心に活躍を続け、現在はアクション指導家として現場に携わっています。
近年では『ジャスティライザー』や『セイザーX』などにも参加していますが、その彼がワイヤーアクション指導として関わったのがこの作品です。
 本宮泰風と柳沢真理亜は風魔一族の忍者で、親類たちとひっそり暮らしていた。だが、ある日柳生の忍者によって里が襲撃され、彼ら2人を残して一族は全滅してしまう。本宮は仇討ちを誓って里を降り、刺客を差し向けたバカ殿の首を見事に討ち取った。しかし、松田優をリーダーとする柳生の忍者軍団「七番星」が本宮を追う。孤独な逃避行を続ける中、意外な刺客が姿を見せ…。
…といった感じの時代劇ですが、アクションではチャンバラ以外にも素手でのファイトもあったりと充実。たまに華麗なスピンをしながら攻撃してくる刺客もいたりと、そこそこ派手に作ってありました。やはり香港映画に出演していた頃の経験が生きているのか、松井の指導した格闘シーンの数々は見事と言えます。…が、その一方で頂けないのはストーリーの方です。
 どこかで見たような台詞・どこかで見たような展開・どこかで見たようなキャラクターと、本作はこの映画ならではというポイントが全くありません。ストーリー展開はよくあるパターンの話ばかりで進んでいくため(顔を隠した女刺客の正体もバレバレ)、事あるごとに既視感を感じます。もっとストーリーをヒネればいいのに、まるで連続モノのVシネ作品のひとつに見えてしまいました(本作は映画祭で上映された劇場公開作品)。
その後、クライマックスでちょっとしたどんでん返しがあった後、忍者軍団のボスである松田優はとっとと逃走。本宮はそれを追って出奔…という、次回作を作る気満々のオチで締めくくられていますが、未だに続編の話は聞きません。本作の監督と脚本を務めた中田信一郎は大量のVシネ作品に関わっており、本作が連続モノのVシネっぽいのはその辺りに原因がありそうです。


金色太陽
英題:Dragon Dies Hard/Bruce Lee, We Miss You
製作:1977年

●何宗道と歐陽鐘(ちょっと田俊っぽい役)は功夫道場のツートップ。そんな彼らの元に李小龍(ブルース・リー)の訃報が舞い込んだ。スーパースターの死に深く落ち込む何宗道だが、その夜彼の枕元に李小龍の幽霊(何宗道の二役)が現れる。少林寺へ相談に出かけた何宗道は、交霊術によって李小龍が謀殺された事を知った。
その後、何宗道はクラブで知り合った女といい仲になるのだが、なにやら彼女の背後にはきな臭い連中の影が…。案の定、刺客に襲われたり怪しげな男から警告を受けたりするが、何宗道はこれを果敢にも跳ね除けていく。歐陽鐘が連れ去られて一時はあわやという場面もあったが、果たして何宗道たちを襲う連中は何者なのだろうか?
何宗道はふたたび少林寺に向かい、交霊術で呼び出した李小龍の霊の動きを手本に特訓を開始。続いて李小龍のコスプレをして敵陣に向かった何宗道は、敵の慌てようを見て彼らが李小龍の死に関係があることを確信する。そこでくだんの女を問い詰めたが、彼女は李小龍がのたうちまわって死んだ事しか知らないらしい。じゃあ一体誰が李小龍を…?
というわけで、後半30分になってようやく龍飛ら真の悪党たちが登場する。李小龍の死の真相に近付きつつある何宗道を、龍飛らが放っておくはずがない。手始めに配下(うち1人が『詠春興截拳』で何宗道と戦ったアフロ黒人)が向かい、続いて山茅、そして龍飛が何宗道の前に立ちはだかる!
本作は見ての通り、『ブルース・リーを探せ!』の劣化コピーみたいな話である。
李小龍の幽霊が化けて出てくる作品としてそこそこ知られている本作だが、正直言って見るに値しない作品であることは間違いない。キャストは何宗道と龍飛と山茅以外は無名の役者ばかりだし、功夫アクションも終始もっさり気味。バスを使ったスタントや、クライマックスでの龍飛や山茅との闘いではそれなりのファイトが見られるものの、特別面白い出来でない事だけは確かだ。
作品としては『ブルース・リーを探せ!』とどっこいどっこいの本作。こんなしょうもない作品に幽霊として担ぎ出されるなんて、それこそ当の李小龍本人も浮かばれまい…(合掌)。


「キックボクサー4」
原題:KICKBOXER 4: THE AGGRESSOR
製作:1993年

●『キックボクサー』シリーズ中唯一未見だったこの作品、遂に見ました!
これで『キックボクサー』シリーズは完全制覇。念願かなって見ることが叶ったんですが、監督は何誌強(ゴッドフリー・ホー)や藍乃才(ライ・ナイ・チョイ)に並んで私の中ではワースト監督として君臨している(苦笑)アルバート・ピュン…まぁ見る前から作品の出来は予想できてました。
主人公のサシャ・ミッチェルは現在刑務所暮らしの真っ最中。実はミッチェル、カメル・クリファ(前作のミシェル・クイシからトン・ポー役は交代)に陥れられて監獄送りとなり、妻も誘拐されてしまっていたのだ。
そんなミッチェルの元に麻薬取締局から、ある取引が舞いこんだ。今やカメルはメキシコで麻薬王としてブイブイいわせてるのだが、今度格闘大会を開くらしい。そこでミッチェルが潜入してカメルを始末して欲しいという。もちろんミッチェルはこれを承諾。道中出会った格闘少女や旧友ブラット・ソーントンと共に、ミッチェルは再び戦いの中に飛び込んでいくのだった。
かつてピュン作品である『キックボクサー2』では、クライマックスの戦いがほぼ全てスロー処理されるという疎き目にあったが、今回はちゃんと普通のアクションに仕上がっている。また、格闘大会ということで様々なファイターが絡んでくるため、格闘シーンもそれなりに充実。『3』を見たときは不安に思っていたが、ちゃんとキックボクサーらしいアクションに立ち返っていたのは感心だ。
相変わらずミッチェルの動きはいまひとつ冴えないものの、格闘少女やソーントンらの動きには目を見張るものがあり、ミシェル・クイシからトン・ポーを引き継いだカメルも違和感無くトン・ポーを演じている。残念ながらデニス・チャンも降板しているのは残念だが、本作はそれどころではないある問題を抱えている。

本作はとりあえず「マーシャルアーツ映画(中)」のカテゴリに入れているが、それは単にアクション面を評価しての事。問題なのはストーリーの方だ。
作中、ミッチェルは格闘大会に挑み、妻の奪還を試みてカメルのアジトに潜入する。しかし協力していたソーントン共々捕らえられ、大会で見せしめとして処刑されてしまう事に。だが、ハナっからカメルは参加者を生きて帰すつもりは無かった。生き残った参加者は反乱を起こし、ミッシェルはカメルと相対する…これが上記に記した以降の物語の展開である。
これはもうどこからどう見ても『燃えよドラゴン』以外の何物でもない。主人公が密約で異郷の地に渡り、潜入して敵の動向を探る。一方、仲間の1人は敵側の女といい感じになるが、その女も結局は命を落とす。最後は暴動が起き、主人公とラスボスの一騎打ち…と、ご覧のように完全にそのまんまといっていいぐらい、本作は『燃えよドラゴン』をパクっているのだ。
出だしと格闘大会で「ちょっと『燃えよドラゴン』に似てるなぁ…」と私は思ったが、まさかほぼ全編に渡って模倣に徹しているとは呆れるしかない。似たような作品でジャッキーの『神拳』そのままの物語だった『くノ一五人衆VS女ドラゴン』という作品があるが、あちらは「自分たちなりに面白い作品にしよう!」という作り手の熱意が感じられたのに対し、本作にはそういった意思は感じられなかった。
かつて私はシリーズの評価を『5』≧『1』>『3』>『2』としたが、ここに本作を入れるとすると『5』≧『1』>『3』>『4』>『2』となる。ストーリーを余り気にしないならそれなりに楽しめるかもしれないが…やっぱダメだなぁ、ピュン。


螳螂鬥[奚隹]公/螳螂鬥公[奚隹]/螳螂鬥灘公/螳螂鬥公灘
英題:Death Duel of Mantis/Mantis Fights Cock/Strike of Mantis Fist/Death Dual of the Mantis
製作:1978年

▼特にどうってことないB級功夫片の一本だが、製作年度を見るに『酔拳』のヒットにいち早く便乗して作られた作品のようである。とはいえ、まだコテコテのコメディ功夫片にまでは至っていない。コメディ描写は少々あるが、至極まっとうな正統派の功夫片として仕上がっている。

■小間使いの丁華寵は、龍飛(ロン・フェイ)の元で働いている。もちろん連中がいい人である訳が無く、当然のようにやくざ者の集団だ。しかし丁華寵自身は悪い人間ではなく、ショバ代を請求されていた金燕飛を助けたりもしていた。そんな丁華寵、その金燕飛に恋をしてしまったご様子。アプローチを掛けてみるものの、金燕飛はめっぽう強くて手も足も出なかった。
一方、龍飛一味のショバ代請求は激しさを増し、丁華寵は貧しい人々が苦しむ姿を見て良心を痛めていた。そんな彼のために金燕飛とその父・茅敬順が一肌脱ぎ、悪徳銀行(ボスは柯佑民…ああ、この人が『翻山虎』の監督か)から大金を盗み出す手助けをしてくれた。これが新たな騒ぎの火種となることも知らず…。
柯佑民は金を盗んだのが龍飛一味の仕業と断定。馬場ら用心棒を引き連れ、龍飛のもとへ現れた。この一件は龍飛の手により決着が付いたが、柯佑民との間に禍根が残った。それから丁華寵は龍飛にニワトリ拳の修行を受けたり、再び金燕飛に挑んだりしていく。ここでニワトリ拳を見た茅敬順の顔色が変わるのだが…?
柯佑民との抗争で手柄を立てた丁華寵は、いつしか手下を従える身分にまで昇進していた。柯佑民は用心棒の萬里鵬と共に再び襲ってきたが、丁華寵が萬里鵬を撃退し、龍飛が柯佑民らを始末した。龍飛の非道さを目にした丁華寵は疑問を抱くようになるが、同様に龍飛も「丁華寵は警察のスパイでは?」という子分の指摘で、丁華寵の抹殺令を下した(ここらへん展開がちょっと急だなぁ)。
龍飛が殺しにやってくる事は必然だ。掘っ立て小屋に引っ越した金燕飛らの元に身を寄せた丁華寵は、蟷螂拳の特訓を始める。ニワトリ拳への対策は丁華寵自身が技を知っていたので万端だ。決戦の日、茅敬順と龍飛は旧敵同士だったことが判明する中、龍飛一味との死闘の幕が切って落とされる!

▲本作の武術指導は『鐵[月孛]子李勇』の蘇國[木梁]と林光榮ら三名の武師が担当。そのおかげか、全編に渡って手堅いアクションのオンパレードとなっている。様々な拳を披露する丁華寵、女ドラゴンっぷりが勇ましい金燕飛らの活躍も見逃せないが、本作で1番の注目どころは龍飛だろう。今回の龍飛はラスボスではあるものの、作中では普通にいい人として振舞っているのだ。
丁華寵が分け前をピンハネされた時は子分を叱り、丁華寵の不始末に関しても穏便に済ませ、拳法の特訓をしている丁華寵を見て微笑んだりと、本作に限って言えばいつもの龍飛ではない。だが製作サイドは、このまま龍飛をいい人にしていたら収拾が付かないと判断したのか、後半になって龍飛をいつもの悪役へと押し込めてしまっている。
演出によっては『少林寺木人拳』のジャッキーと金剛のような物語にできたのかもしれないが…ここに関してはとても惜しいと思っています。とはいえ、全体的にしっかりした作りである事は確か。あと一歩で傑作になり損ねた作品、という事だろうか。