
「キックボクサー4」
原題:KICKBOXER 4: THE AGGRESSOR
製作:1993年
●『キックボクサー』シリーズ中唯一未見だったこの作品、遂に見ました!
これで『キックボクサー』シリーズは完全制覇。念願かなって見ることが叶ったんですが、監督は何誌強(ゴッドフリー・ホー)や藍乃才(ライ・ナイ・チョイ)に並んで私の中ではワースト監督として君臨している(苦笑)アルバート・ピュン…まぁ見る前から作品の出来は予想できてました。
主人公のサシャ・ミッチェルは現在刑務所暮らしの真っ最中。実はミッチェル、カメル・クリファ(前作のミシェル・クイシからトン・ポー役は交代)に陥れられて監獄送りとなり、妻も誘拐されてしまっていたのだ。
そんなミッチェルの元に麻薬取締局から、ある取引が舞いこんだ。今やカメルはメキシコで麻薬王としてブイブイいわせてるのだが、今度格闘大会を開くらしい。そこでミッチェルが潜入してカメルを始末して欲しいという。もちろんミッチェルはこれを承諾。道中出会った格闘少女や旧友ブラット・ソーントンと共に、ミッチェルは再び戦いの中に飛び込んでいくのだった。
かつてピュン作品である『キックボクサー2』では、クライマックスの戦いがほぼ全てスロー処理されるという疎き目にあったが、今回はちゃんと普通のアクションに仕上がっている。また、格闘大会ということで様々なファイターが絡んでくるため、格闘シーンもそれなりに充実。『3』を見たときは不安に思っていたが、ちゃんとキックボクサーらしいアクションに立ち返っていたのは感心だ。
相変わらずミッチェルの動きはいまひとつ冴えないものの、格闘少女やソーントンらの動きには目を見張るものがあり、ミシェル・クイシからトン・ポーを引き継いだカメルも違和感無くトン・ポーを演じている。残念ながらデニス・チャンも降板しているのは残念だが、本作はそれどころではないある問題を抱えている。
本作はとりあえず「マーシャルアーツ映画(中)」のカテゴリに入れているが、それは単にアクション面を評価しての事。問題なのはストーリーの方だ。
作中、ミッチェルは格闘大会に挑み、妻の奪還を試みてカメルのアジトに潜入する。しかし協力していたソーントン共々捕らえられ、大会で見せしめとして処刑されてしまう事に。だが、ハナっからカメルは参加者を生きて帰すつもりは無かった。生き残った参加者は反乱を起こし、ミッシェルはカメルと相対する…これが上記に記した以降の物語の展開である。
これはもうどこからどう見ても『燃えよドラゴン』以外の何物でもない。主人公が密約で異郷の地に渡り、潜入して敵の動向を探る。一方、仲間の1人は敵側の女といい感じになるが、その女も結局は命を落とす。最後は暴動が起き、主人公とラスボスの一騎打ち…と、ご覧のように完全にそのまんまといっていいぐらい、本作は『燃えよドラゴン』をパクっているのだ。
出だしと格闘大会で「ちょっと『燃えよドラゴン』に似てるなぁ…」と私は思ったが、まさかほぼ全編に渡って模倣に徹しているとは呆れるしかない。似たような作品でジャッキーの『神拳』そのままの物語だった『くノ一五人衆VS女ドラゴン』という作品があるが、あちらは「自分たちなりに面白い作品にしよう!」という作り手の熱意が感じられたのに対し、本作にはそういった意思は感じられなかった。
かつて私はシリーズの評価を『5』≧『1』>『3』>『2』としたが、ここに本作を入れるとすると『5』≧『1』>『3』>『4』>『2』となる。ストーリーを余り気にしないならそれなりに楽しめるかもしれないが…やっぱダメだなぁ、ピュン。