
「復讐!少林蝴蝶拳」
原題:蝴蝶十八式
英題:Butterfly 18/Secret Shaolin Kung Fu/Secret of Shaolin Kung Fu/Invincible Shaolin Kung Fu
製作:1979年
▼台湾の功夫スター、李藝民(サイモン・リー)の主演作で、日本でソフト化された幾つか作品のうちのひとつである。本作以外に日本で公開された彼の作品は『少林の鉄爪 鷹拳』『ドランクマスター・酒仙拳』『少林寺列伝』ぐらいで、ある種貴重なタイトルであるともいえる。
ところで、李藝民といえばコメディ功夫片だが、本作は一筋縄ではいかないストーリーで成されているところがポイントだ。
■冒頭、手足の無い男(余松照)が神輿に担がれている場面から幕を開ける。
何やら余松照は18年前のある事件に関わっているようで、余松照と再会した陳慧樓や馬場は相次いで自殺し果てていった。一方、こちらは主人公の李藝民。武術家で盲目の祖父・古錚と暮らしており、いつもは茶店で働いている。イジワルな先輩の許不了とてんてこまいの日々を送っていたが、ひょんな事から奇妙な乞食の孫榮志と出会ったことで、彼の運命は大きく変わっていくのだった。
この孫榮志、酒飲みだが滅法強いコメディ功夫片おなじみのキャラ。李藝民にちょっかいをかけるが、ピンチに陥った彼を助けたりもする変な奴だ。ある日、乞食のグループが荊國忠らに殺される所を目撃した李藝民は、死に際の乞食から合言葉のようなメッセージを受け取る。そのことを聞いた孫榮志は顔色を変えて「忘れろ」と一喝。古錚にも話すが同様の反応が返ってきた。
実はこの乞食グループ殺害には黒幕がおり、殺された乞食たちは乞食党ともいうべき集団に属している者たちだった。乞食党は首領が不在で、彼らは事態を打開すべく首領を探す事にした。それを察知した黒幕は、配下に乞食たちの掃討を命令する。
そんな折、李藝民と孫榮志は乞食狩りをしていた荊國忠と遭遇。荊國忠は李藝民と戦闘になるが、李藝民の使っている技を見た孫榮志は何故か眼を丸くした。孫榮志は乞食党に李藝民の家に首領がいると伝える。李藝民の家へ乞食党が詰めかける中、古錚は兄弟子だった孫榮志の説得に応じ、事の全てを告白した。
…18年前、ある武術家が殺された。余松照が犯人であるという情報を掴んだ古錚は、仲間の陳慧樓や馬場と共に余松照を襲った。ところが余松照は無実で、彼は殺された武術家の遺児を伴っていた(この子供が李藝民)。罪の意識から古錚は自らの目を潰し、そして冒頭の展開へと至るのである。
武術家を殺したのは、現在乞食狩りを進めている明月会のボスと、裏で手を引いている黒幕の2人だという。全てを知った李藝民は明月会のボスを倒し、黒幕へと迫る。親の仇を取るべく、李藝民は邪悪な武術家である黒幕と最後の死闘を繰り広げる!
▲コメディ功夫片というものはコメディ要素とシリアス要素の割合を間違えると、途端におかしな作品になってしまうものだ。コメディとシリアスが上手く同居している作品といえば『酔拳』『笑拳』、ちょっとさじ加減が違う作品に『真説・モンキーカンフー』、完全にコメディとシリアスが分離してしまっている作品には『師兄師弟』『天才功夫』などがある。
本作はどちらかというと、コメディとシリアスのバランスがきちんととれている作品だ。ただし『雙馬連環』のようなストレートなものではなく、入り組んだ話にして他の作品と差別化を図っている点は評価に値する。
功夫アクションについても中々凝っており、少しもっさり気味だが及第点以上のファイトを構築。武術指導は孫樹培という人だが、『夢拳蘭花手』も手がけている。演者によるクオリティの違いはあるのだろうが(まぁ『夢拳』は荊國忠、本作は李藝民だし)、どこかもっさりしている所は孫樹培の持ち味なのだろうか?
李藝民主演作では今のところ『雙馬連環』と本作がベスト。これからも李藝民の作品は見ていきたです。