11月24日に発表した私の新アルバム「SCRAMBLE 」の
制作について語ろうと思う。
今回は、とても長くなりそうなので、
お暇な時にお読み下さい。
このアルバムは、私の20代の頃のバンド「SCRAMBLE 」の
デビュー前の代表作をセルフカバーした。
1980年から1985年頃に作った楽曲ばかりだ。
つまり私が、21歳から26歳頃。
85年以降はコンセプトを固め、よりリアルで、
メッセージも明確になって行くが、
初期は、まだサウンド重視で、世界観も「広め」だ。
つまりは「演りたい音楽」を初期はただ作っていた。
ファンが増えるに連れ、今度は「求められる音楽」を
作るようになって行く。
しかしこのアルバムの曲達が成長の原動力になったのは間違いない。
そして初期の代表作を次々に超えて行くのが、成長の絶対条件だ。
バンドが客を掴み、大きくなって行く「理由」を解析する上でも、
このアルバムは「教科書」になるかもしれない。
さて、制作は2018年1月から始まった。
楽曲は当然揃っているし、選曲、曲順なども
随分前から温めていた企画なので決まっていた。
収録曲は11曲。内1曲は、30年前にレコーディングしたが、
お蔵入りになっていたテイクを入れるつもりだったので、
実質10曲をレコーディングする。
まずはベーシックなトラック作りから始める。
それは「ドラム録り」の為の準備だ。
録音日が3月頭に決まっていたので、逆算しながらの作業だ。
ドラムさえ録れれば良いので、簡単な物でも構わないのだが、
プレイヤーにイメージを伝える為にも、
さらにその上に録って行く他のプレイヤーの為にも、
なるべく「本チャン」に近い物の方が望ましい。
一旦思い付くトラックは入れておき、
録音が進むに連れ見直して行く、というスタイルになった。
ドラムは、池袋フィールドで録った。
バックトラックとクリックを聴きながらの作業。
音資料はドラマーに事前に渡しておいたので、
彼がしっかり準備して来てくれたおかげで、
2日間で予定の6曲はスムーズに録れた。
(残り4曲のドラムは打ち込み)
録ったドラム・トラックを自分のスタジオのPro-Toolsに流し込み、
ベーシックなギター録りに移る。
ここまでは池袋フィールドで知り合った若手に頼んだ。
次に打ち込みのベースを「生」に差し替えて行く。
今回は30年ぶりにSCRAMBLE のベーシスト「一井雅樹」に
声をかけてみたが、快く参加してくれた。
少しでも「あの頃の音」を再現する為だ。
終わる頃には4月になっていた。
これにギター・ソロと「ここぞ」のリズム・ギターを
盟友の「福田真國」に弾いてもらう。
もちろん彼も「SCRAMBLE 」のギタリスト。
さらに今回は、サックスとフルートを計3曲入れた。
やはりフィールド出演のベテラン・プレイヤーに頼んだ。
イメージ通りの演奏が手に入った。
ゴールデン・ウイークが終わる頃には、生楽器の録音は終了。
ここからはひたすら自分一人の作業に入る。
ちょうど忙しい時期に重なり、
ここからはバックトラックをひたすら見直し、
「生の整理」と追加のシンセをノンビリと打ち込んで行った。
ちょっとした「SE」的な音も
細かく入れておくとアクセントになる。
そんな事をしている内に夏になっていた。
そして7月の中旬から、いよいよ唄入れに突入。
今回は1曲に付き、一週間かけて録って行った。
つまり10週。2ヶ月半掛けた。
実際の作業は、フィールドの営業や他の仕事の合間なので、
1日の内、30分、1時間を何度か、というやり方。
当初発売日を想定していたが、
途中からは「出来上がったら発表」という
緩~いスタンスに変更した。
唄入れは正直終わりが無い。
「奇跡」を待つ作業に似て、納得行くまで何度でも繰り返した。
納得行ったはずのテイクも、数日後には「違うな」ってなる。
その「違うな」が無くなるまで、
飽くなき探求をこの夏は延々と続けた。
終わる頃には秋になっていた。
もちろんこんなやり方はかなりの贅沢だ。
ある意味「わがまま」だ。
だが今回は、私の音楽人生の最高傑作を目指した。
その為には、気の遠くなる作業も辞さないモードで臨んだ。
実際、10曲終わっても、見直しにさらに半月ほどを要した。
そして、10月中旬からは、トラックダウンに突入。
ただ、暇さえあれば見直しを繰り返してたおかげで、
バランスはほとんど理想的な形で取れていた。
後は、エンジニアに来てもらい、ドラムの音作りを頼んだ。
これがなかなかの難題なので、やはりベテランの手を借りた。
そしてミックスの後は、最後のマスタリング。
マスタリングとは、最終的に音質を決め、音量を決め、
曲間を決める作業だ。
これも外のスタジオに頼む事にして、11月8日に決めていた。
だが結局、その朝までミックスの作業は続いた。
一旦焼いたCDを家など別の環境で聞き、チェックすると、
「アラ」が見える事があり、その都度直した。
こうして、アルバムは完成した。
もちろん平行して、アートワークもあり、
ジャケット撮影やデザインなども、
なかなか凝った作りになっている。
いつも若いアーティストにも言っているが、
人はまずジャケットを見てからCDを聞く。
そこである程度のイメージは作られ、
そのイメージに乗っかって聞く事になる。
なので「入り口」として、とても重要だ。
期待感を作り、スムーズに音楽に誘うのが「アートワーク」だ。
当然アルバムの中身を反映した物が望ましいが、
少なくとも「今」のアーティスト像を表したい。
上手く作れれば、そのアルバムは「1.5倍」の増し増し評価になる。
最初の印象ほど大事なモノは無いのだ。
こうして11月24日にアルバム「SCRAMBLE 」は発表になった。
「随分と大げさに捉えてますね」と思うかもしれないが、
本来これくらいやるのが当たり前だった事を今回再確認した。
レコーディングし、CDなどで発表した音源は、一生モノだ。
音楽史に足跡を残す、という心意気が必要なのだ。
アルバムはやがて一人歩きし、様々な人達に届いて行く。
その為に我々は存在し、活動している。
そんな大きな仕事を今年一年かけて出来た事に、
私は本当に満足している。
さあ、ではそれがどれ程のモノか、
一度聞いてみませんか?