東大法学部でトップの成績で、しかも鳴り響く上杉慎吉教授から大学に残り教壇に立てといわれた岸信介が、大蔵省も内務省も蹴り飛ばして農商務省というのはやはり異色中の異色の異才としか言いようがないでしょう。

北一輝に心酔していたエリート官僚候補の岸信介が東大法学部の最高位のポストが歯牙にもかからなかったのかと思うと、そのスケールのデカさが日本的な超国家主義者の群れからも抜きん出ている気がします。


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サイダーラジオ8.2妖怪岸信介のプロファイル その2
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サイダーラジオでも、なんどかお話していますが私は岸信介にも安倍晋三氏にもなんに興味関心もありません。こういうサイズの人たちを扱うのにはふさわしい人がおられると思います。

3回ほどサイダーラジオで岸信介を取り上げたのはあくまでも児玉誉士夫さんという人が戦前、戦後に「右翼の大物」化してゆく大きな流れの中で笹川良一さんと、岸信介さんの存在は大きな準拠枠だった筈なのでそれを完全に無視したりすることは無理であって、基礎的な知識は必要だろうという考えです。それはそうなのであって、なにか岸信介さんその人のその生涯について思いを馳せるとかいうような大それたことを考えた事は一瞬もありません。

岸信介さんの生い立ちで、預けられて育った時期のお話が、割合印象に強く残りました。さらに上杉慎吉のグループとの距離感の取り方も非常に面白く多くを学べる瞬間のような気がします。

とても自分の能力で追えるようなスケールの人物ではないので、生育期だけでも素地を確かめるというかたちで児玉誉士夫さんとのさまざまな差異を押さえておきたいですね。こういう人と児玉誉士夫さんが合宿状態になっていたという、巣鴨プリズンはいわゆる「災害ユートピア」とは呼びがたい、災害ディストピア
Dystopiaだったことが伺われます。

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サイダーラジオ8.1 妖怪岸信介のプロファイル その1

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素顔の笹川良一は、表面にあらわれる彼のいかがわしい雰囲気に反して身辺では予想外に規律的であったり清貧家も驚くような倹約ぶりを示したり周囲に徹底強要する笑いたくなるような逸話で溢れています。はた迷惑なまでの求道的な流儀のその一方で、とんでもない反家庭的な艶福家で、とても大多数男性にとっての模範にはなりえない夥しい底抜けの女性遍歴の数々と行状。

これらすべて大戦後の秩序崩壊の複雑系をさらに一層混乱させた要因の一つだった可能性があるのかもしれないと考えられないでしょうか。それほど国内外の影響力を彼の資質が帯びてしまっていたという事は今もその塁がおよぶ戦後史の事実として油断なく考えておかなければならないと感じます。


なぜならば、かれの私生活や艶福家ぶりは、そのまま尋常ならざる勢力拡大と反共工作を実行する際の方法に影を落としているのではありませんか。

検証することも困難なことながら影の勢力がそういう流儀を著しく増幅した事だけは確認しておきたい。

公論が応酬される議論ではなく、彼のいう「夜側の人格」で多数の婦人たちの閉塞感を飛び石のようね積み重ねたところで没社会的な人縁を固めてゆそのく流儀は、どこかで彼の人格の統合をはなれカルト的組織拡大の基本動作のように再生されつづけてさまざまな運動論がその道筋でことごとく人縁カルト化するという戦前を戦後に温存する伏流水と残滓となったのではないかと思われます。そんな端緒にあった彼の足跡についての記憶も失せたまま、いまもしっかりと内向してさまざまなかたちで拡大深化している気がします。戦後の狂気が真偽判断力を排除社会の近代化に向かわず内向するバイアスとして、ただただ同調圧の多数化を自己目的とする人々の情動に埋め込まれ、単につながって拡大しては擬制の公論のようなものを裏でこっそり担保していたりする。そういうこの巨大な都市化をとげた極東の先進国きどりなわれわれの心性に今なお「東アジアの車座部族民」的な流儀が起動している不条理さ。そんな戦後生活保守の醸成にしっかり暗渠をなしているものは、実はその起源に知られざる笹川良一の残した”夜の顔”で人々を囲い込みするトレンドが大きく寄与してきたのではないかと思ったりします。

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サイダーラジオ7.3 笹川良一の何がどう凄いのか?その3
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