2024年3月のMVP | 銀玉戦士のアトリエ

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☆2024年3月 月間MVP☆

 

👑🇺🇸ショーン・オマリー🇺🇸👑(UFCバンタム級王者)

 

【UFC299 VSマルロン・ヴェラ戦 dif 5R判定勝利】

 

 

 

昨年8月に行われたUFCバンタム級タイトルマッチにて、アルジャメイン・スターリングを鮮やかな右のカウンターでダウンを奪い、2RTKO勝利でバンタム級新王者に戴冠したショーン・オマリー。

 

 

 

天才的な打撃スキルと奇抜なファッションスタイルで、コナー・マクレガーの後継者と目されている次世代のスーパースターの初防衛戦の相手は、4年前の試合でカーフキックで脚を効かされて無念の負傷TKO負けでMMA初黒星を喫した相手、エクアドル出身のマルロン・ヴェラだ。

因縁の相手にリベンジし、初防衛を果たせるか。

 

 

 

1R、まずは両者オーソドックスに構える。

挑戦者ヴェラが前蹴りを放った後、王者オマリーが軸足にローキックをヒットさせる。

蹴りが当たる距離をキープし、前蹴り、ローキック、関節蹴りを放ってゆくオマリー。更に中段へのバックスピンキック、左ミドルをボディにヒットさせる。

ヴェラもサウスポーにスイッチするが、そこへ対サウスポーに有効な右ミドル、右ストレートをヒットさせるオマリー。

かと思えば、サウスポーにスイッチして踏み込んで重心移動からの左ストレートをヒットさせるなど、オマリーは構えをスイッチしながら早くも多彩な攻撃を散らしてゆく。

終盤は踏み込みとリードジャブのフェイントでヴェラを反応させ、相手が上段にガードを深く構えたところへ、ガードが空いた中段へ強烈な右ボディストレート、右ミドルをヒットさせたオマリー。

前回の対戦ではやや消極的な攻めに終始したオマリーだったが、今回は1Rから多彩な攻撃をヒットさせて、スロースターター傾向のヴェラを早くも追い込んでゆく。

 

2Rも踏み込みフェイントからバックスピンキックなどの大技、ダブルのジャブからワンツー、ボディストレートやミドルハイの打ち分けと、七色の打撃を披露する王者オマリー。

ヴェラも前回の試合でオマリーを苦しめたカーフキックを、オマリーがサークリングした逆方向にヒットさせるが、ミドルを放つとオマリーが蹴り足をキャッチし、そのままポジションをクルリと入れ替えて、ジャブで反応させてから再び右ボディストレートを中段に打ち込んでゆく。

サウスポー構えで左ストレートをヒットさせ、続けてオーソドックスに戻して右ストレートをヒットさせたオマリー。

続けて右ストレートをヒットさせると、打点の高い膝蹴り(テンカオ)を顎にヒットさせ、ヴェラが効いて下がったところへコンビネーションから左ハイキックをヒットさせて更に追い詰めてゆく。




ヴェラも反撃に転じ、伸びのあるワンツーをヒットさせるが、オマリーはスリッピングアウェーで顔をずらして右ストレートの芯を外しているか。

ラウンド終盤、ヴェラが前に出たところへオマリーがノーモーションの右ストレートをヒットさせ、ヴェラの膝が一瞬マットに付いたところでラウンド終了。

ビッグラウンドを作った王者オマリーが2Rも取った。

 

3Rも同様にオマリーペースで打撃戦を完全に支配してゆく展開。

オマリーは踏み込みと前手を伸ばすジャブのフェイントを多用し、それにヴェラが反応して動きが硬直し、ガードを上段に深く構えたところへ、ボディストレートやミドル等のボディへの攻撃を強めに放っていく事で、確実にダメージを与えつつ、上中下段の打撃の散らしと構えをスイッチした予測不能な攻撃をヒットさせる事でヴェラを幻惑させ、精神的にも追い詰めてゆく。

4R、倒しに行かなければいけない挑戦者ヴェラもようやくワンツーからアッパー、膝蹴りを顎にヒットさせるが、オマリーも倍以上の有効打をヒットさせて相手に流れを行かせようとはせず、ヴェラの踏み込んでの攻撃もバックステップとサイドステップ、ダッキングで鮮やかにかわし、直後に再びフェイントで反応させてガードの空いたところへ攻撃を放ってゆく。

 

最終5R、序盤からテンポ良く左ジャブをヒットさせているオマリー。

右ストレートを効かせ、膝のフェイントでヴェラが後ろへ下がると、オマリーはプレッシャーを掛けてケージ際に追い詰め、フェイントから膝蹴りを再び顎に、右ボディストレートとコンビネーションをヒットさせてゆく。

ヴェラは関節蹴りを放つが、オマリーはバックステップでかわすと、直後に右ハイキックをヒットさせる。

ここまで散々打たれながらも不屈のタフネスで心が折れないヴェラは前に出てくるが、オマリーは左のカウンターをヒットさせ、相手のミドルをキャッチしてから直後にバックスピンキックをボディにヒットさせるなど、まさに技のデパートとも呼べる新たな打撃技術を披露してゆく。

ラウンド終盤、ヴェラもようやく上段前蹴りと膝蹴りを顎にヒットさせたが、これまでのラウンドの消耗もあってか反撃はここまでか。

最後は両者打ち合ったところで試合終了。

判定は文句無し、5分5Rノンストップで動き続け、合計230発の打撃をヒットさせるという驚異的なパフォーマンスを披露した王者ショーン・オマリーが、大差判定で挑戦者マルロン・ヴェラにリベンジを果たすと同時に、UFCバンタム級王者としての初防衛に成功した。

 

 

 



 

 

16歳の頃からMMAファイターになる事を志していたオマリーは、ホイス・グレイシーの弟子であるジョン・クラウチの指導の下、2015年、20歳でMMAデビューを果たす。

2017年にUFCへの出場権を賭けて、デイナ・ホワイト・コンテンダーシリーズに出場すると、1Rに伸びのある右ストレートで相手選手をKOし、観客席で観ていたデイナ・ホワイトが思わず興奮しながらそのパフォーマンスを絶賛。オマリーは晴れてUFCとの正式契約を結ぶ。

 

甘いマスクにアフロヘアー、ヒップホップやレゲエを意識した格闘家らしからぬ奇抜な出で立ちとセンス溢れるファッションで、早くもファンの注目を集める存在となったオマリーは、UFCデビューから連勝を飾る。

2020年3月のホセ・キニョネス戦にて、右ハイキックでダウンを奪い1RTKO勝利を飾ると、続くエディ・ワインランド戦でも右ストレート一発で相手を失神させ、KO勝利を上げるなど、UFCデビュー当時のひ弱さが鳴りを潜める、ある種の覚醒を感じさせる活躍を見せ、7勝1敗の成績で2023年8月にUFCバンタム級タイトルマッチに挑戦。

王者アルジャメイン・スターリングを相手に、2Rに成り済ましたかのような右のカウンターを鮮やかにヒットさせてダウンを奪い、UFCバンタム級新王者に戴冠した。

 

身長180cm、リーチ183cmと、バンタム級では大型の体格でありながらも、伝統派空手のような軽やかなステップとスピード感溢れる打撃が持ち味で、ガードを下げた脱力した構えから、スイッチやフェイントで相手を撹乱しつつ、ノーモーション系のパンチや、スピンキックやバックハンドブローといった変則的な蹴り技を独特のタイミングで繰り出しながら、相手をKOするストライカーだ。

最も威力があるのは伸びのある右ストレートで、細身の身体からは信じられないような破壊力で、相手の意識を一瞬にして刈り取る。

独特の身体操作に基づいたボクシングテクニックに定評があり、相手の隙を見つけては下がりながらの状態といった難しい体勢から、下半身から上半身へのうねり動作に基づいた的確かつ威力のあるカウンターやコンビネーションは、立ち技競技も含めてショーン・オマリーだけが扱える唯一無二のスキルと言っても良い。

 

 

 

仕留める打撃を打ち込む嗅覚と、コンビネーションを打っている合間でも相手をよく観察しながら、適材適所でスキルを選択しフィニッシュへと繋げる打撃スキルは、UFCでトップクラスのものを持っている。

天性のパンチ力はグラウンドでも生かされ、打ち下ろしのパウンドも強烈な威力があり、こちらも相手が喰らったら最後、失神KOさせるだけの威力を秘めている。

反面、相手にプレッシャーを掛けられてTDを奪われると厳しくなるという欠点はあるが、近年はレスリング力の強化にも力を入れており、グレイシー柔術門下生ならではの引き込みの強さと、長い手足を活かしたラバーガードからのサブミッションで、柔術大会クインテッドでは実質2階級上の五味隆典に一本勝ちを納めている。

 

UFC王者となり、今回の初防衛戦で因縁の相手ヴェラを 5Rに渡ってドミネイトした事で、王者としての強さを改めて世界中に知らしめたショーン・オマリー。

今後は防衛記録の更新に加え、フェザー級に階級を上げての2階級制覇を宣言した事で、憧れの存在であるコナー・マクレガーに並び称されるスーパースターへの輝かしい道を突き進んでゆく。