UFC270 展望 | 銀玉戦士のアトリエ

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さて、Twitterアカウント削除後初のUFC予想というか、実はこっちのほうを楽しみにしている人も多いかもしれない与太話エントリーです。

 

元旦からずっと火種が燻り続けている感のあるシバター久保の八百長騒動。オイラがこのタイミングでTwitterアカウントを削除したものだから「銀ちゃんはRIZINという豪華客船が沈没する前に上手く逃げやがったな」とか思っている人も一部では居るみたいですが、ただの偶然であります。

 

 

 

要約するとこれは八百長というよりも、シバターが勝つために事前のLINEのやり取りの中で久保を騙していたって話であって、こういうやり方は「プロ格闘家ではなくユーチューバーである事をウリとしている」シバターでしか出来ない、RIZIN的なグレーゾンのギリギリを突いた、勝つための兵法であったとも言えます。トラッシュトークも相手に対しての心理的揺さぶりを兼ねてやっている側面もあるので、シバターのソレもトラッシュトークの亜種と言えるのかもしれません。

 

しかしそれを大晦日の地上波ゴールデンで放送される舞台でやってのけてしまうシバターのタマのデカさというのはハンパない。まぁRIZINとしても過去にテソシソメイウェザーで、メイウェザーはエキシビジョンとしてこの試合を受けたのに、いざ試合が始まったらテソシソはガチでやってきましたという「前科」があるので、シバター久保に対しても処分無しという裁定になったのかなとオイラは推測しています。

 

そもそも、シバターみたいなのを起用せざるを得なかったのも、常時視聴率が5%~7%台で打ち切り当落線上にあるRIZINの視聴率を1%でも上げるための苦肉の策だったりします。なので「なんでシバターみたいなユーチューバーをRIZINのリングに上げるんだよ💢‼️」というコアなRIZINファンの怒りもごもっともではありますけれども、RIZINの地上波ゴールデン放送枠を死守するためには怒りを押し殺して受け入れなければいけない部分もあったりします。

 

ただ、シバターがここまでの地雷野郎だとはRIZIN陣営としても予想もしなかった事でしょう。

今回の件で炎上の火種が大きくなってRIZINのイメージダウンは必至だとは思いますが、一方でTwitter時代を思い出すとコアなRIZINファン達はRIZINがダメダメでも、RIZIN超強者会員の「月」会費として毎月「1万円」もボッタくられていても、藁をも縋るように懸命に応援するようなファンが多いので、この騒動を乗り越えて何とか踏み止まるんじゃないかと思っています。今こそ問われる信心。あなたの、あしたを、あたらしく。

PRIDE時代から改めて振り返ってみると旧DSEグループというか、佐藤大輔の煽りVというのは中毒的な信者を生み出す麻薬の映像です。

それはRIZINになっても健在という事で、つい3年くらい前を振り返ってみるとRIZIN大好きさんのお涙頂戴のでっち上げ感動劇や、コロナ禍でのRIZIN存続の危機を声高に訴えかけていたクラウドファンディングにみんな盛大に釣られていた辺り、ひねくれ者のワタクシとしましては信者ビジネスの類には騙されないように肝に銘じておく次第であります。

 

ただ、地上波ゴールデン放送は今後どうなるのかなぁ。自分は近い将来RIZINはバラちゃんら現運営陣は撤退して、新生K-1みたく新たな運営の下に競技化されたシステムを構築した「新生RIZIN」に生まれ変わってABEMAで放送されるんじゃないかなと見ているんですけど、武尊天心のメガイベントの行方も含めて今年は格闘技興行の今後のプラットホームと運営方針が決まるであろう重要な年になると思います。

この辺りは注視して見ていきましょう。

 

海外を見渡せばコナー・マクレガーは選手バス襲撃事件その他諸々の犯罪行為をやっていても普通に試合していますし、メイウェザーやガーボンタ・デイビスもそうですし、寺地拳四郎も酒に酔った勢いで住居不法侵入して他人の車を破損させていても試合しています。本当はこういうのに関しては団体としても相応の処分を下さなければならないですし、クリーンな業界を作っていかなければならないところではあるんですけど、格闘技界やボクシング界って実はそんなに清廉潔白な世界というわけでもないので、皆さんカリカリせずに長い目で業界の健全化を見守ってあげましょう。

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

🏟UFC270(1月22日開催)(日本時間23日12時より、WOWOW、UFCファイトパスで生中継)🏟

 

 

👑🇨🇲フランシス・ガヌー(UFCヘビー級王者)VS👑🇫🇷シリル・ガーン(UFCヘビー級暫定王者)

🏆UFCヘビー級王座統一戦

 

 

2022年度初となるUFCナンバリング大会のメインイベントを飾るのは、現UFCヘビー級王者フランシス・ガヌーと、暫定王者シリル・ガーンによるUFCヘビー級王座統一戦です。

 

ガヌーは昨年3月に前王者スティぺ・ミオシッチを破りUFCヘビー級王者となりましたが、その後8月に行われる予定だったデリック・ルイスとの初防衛戦を準備期間が短いという理由でオファーを断り、代わりにルイスとシリル・ガーンによる暫定王座決定戦となったという経緯があります。

1年以上防衛期間が空いていないのにも関わらず暫定王座が設立されるのは極めて異例の事ではありますが、背景にはガヌーの所属するマネジメント会社が、UFCの親会社エンデバーのライバル企業であるという事情があるようです。

そんな事もあってか契約交渉も難航しているみたいで、ガヌーはこの試合が現在のUFC契約のラストで、契約更新はまだ行っていないそうです。

まぁ、UFC的にはガヌーは当然の事ながら是が非でもキープしておきたい選手の一人に決まっているでしょうけど、親会社のエンデバーからしてみたら、コカコーラがスポンサーの番組でペプシコーラの宣伝をするようなもので、その辺りは難しい大人の事情と言ったところでしょう。子会社が親会社の無茶でクソでファックな意向に逆らえず現場はヒイヒイ音を上げているのはオイラが働いている会社を見れば良く解りますが、何とか丸く納めて欲しいです。

 

 

カメルーン生まれの現UFCヘビー級王者フランシス・ガヌーは、往年のヘビー級の迫力を体現した試合を行う驚異の身体能力を誇るハードパンチャーで、前回スティぺ・ミオシッチを2RKOで破りヘビー級新王者に戴冠しています。

 

 

その前の10試合で8勝した試合は全て2分以内に終わらせており、しかも相手がジュニオール・ドスサントス、アリスター・オーフレイム、ケイン・ヴェラスケスと、UFCや他のメジャー団体でいずれも王者経験のある実力者達ばかりで、フルスイングで相手の顎を的確に捉える拳で、衝撃的なKOシーンをUFCの舞台で多く披露しています。

昨年はメジャーリーガーの大谷翔平とのツーショットで日本でも話題になりました。それにしても、ガヌーと並んでみると大谷もかなり大柄な選手であるというのがよく分かります。

 

このように、規格外の身体能力とパワーという文脈で語られがちなガヌーではありますが、ダウンを奪ったシーンやフィニッシュシーンは意外にも相手の裏を突く「奇策」のような攻撃が多く、得意の右オーバーハンドを餌に更に突進して左右のフックをブン回して勝利したジョルジーニョ・ホーゼンストライク戦、スイッチしてからの力みの無い逆ワンツー左ストレートでダウンを奪ったスティぺ・ミオシッチ戦などがあります。

勿論、フルスイングしてもナックルを相手の顎にピンポイントで捉えるガヌーのボクシングテクニックの高さがあるからこそ、数々のKO劇を生み出しているのでしょう。

 

 

 

対するUFCヘビー級暫定王者シリル・ガーンは、フランス出身でムエタイからMMAに転向したファイターです。

フランスは欧州ではオランダよりもムエタイが盛んな国と言われており、10代からタイに移住してムエタイの修行をする選手も多いです。

そんなフランスの地でキックボクシングではなくムエタイのキャリアを積んできたガーンは、ムエタイで培った距離のコントロールと首相撲スキル、そしてMMAにアジャストしたスイッチとフットワークを駆使した打撃、そしてキャリア3つの一本勝ちを納めている意外な寝技の強さを武器に、MMA転向3年目、プロ10勝という最短ペースで暫定王座ながら世界最高峰UFCのベルトを腰に巻きました。

「地位は人を作る」と言いますけど、こうして見ると貫禄も付いてきましたねぇ。

 

 

当初はヘビー級のTJ・ディラショー的なストライキングで勝ち上がってきた選手でしたが、直近3試合は懐の深いサウスポー構えで距離をコントロールし、ロングレンジの打撃をヒットさせて試合を支配していく手堅い戦術で勝利を納めています。

この辺りはムエタイのバックボーンの名残ともいえ、一部では塩だの何だのと批判されていたスタイルではありましたが、暫定王者となったデリック・ルイス戦では一発のあるルイスに対ししっかりと相手を削っていってダメージを与え、機を見てコンビネーションで一気に畳み掛けて3RTKO勝ちしています。

 

このように、ストライキングにおける距離感と見切りの良さが、シリル・ガーンの最大の武器です。

いくらKOパンチを持っているガヌーと言えども、単純なストライキングの引き出しという部分ではガーンのほうが上で、ガヌーとしても焦って倒しに行こうとしたところ、逆に攻撃が空振りして試合が長引いてしまうと不利な状況に陥ってしまいます。

 

そこで問われてくるのが、打から投、投から極へと切り替えていくガヌーのレベルチェンジです。

KOパンチの印象の強いガヌーですが密かに年々グラウンド技術も向上しており、スティぺ・ミオシッチとの第1戦ではミオシッチのレスリングに抑え込まれ完敗を喫したものの、反対に前回行われた第2戦では、ミオシッチのシングルレッグをスプロールで切ってがぶり、そこから素早くバックを取って倒し、ライディング(馬乗り)状態でミオシッチに強烈なパウンドを打ち込む場面を見せています。

 

このテイクダウンディフェンスと、カレッジレスリング出身のミオシッチに対してレスリングの攻防で逆に優位に立った事が勝利の決め手となったと見ていますが、ダニエル・コーミエのような強いレスラー、グラップラーとの対戦経験が無いシリル・ガーン攻略には、打撃とグラウンドの二択を仕掛けるレベルチェンジでディフェンスに揺さぶりを掛けていけば、ガヌーの強打も当たりやすくなってくるはずです。

 

わざとタックルを仕掛けて相手の懐に潜って膝蹴りやアッパーを狙ったり、基本左ミドルやカーフキックで試合を組み立ててゆくガーンに対して蹴りをキャッチしてTDやカウンター打撃へと移行したり、グラウンドではあえて相手にサブミッションを仕掛ける「隙」を与えておいて、サブミッション脱出の際を狙って強烈なパウンドを打っていったりと、ガヌーとしては何処からでもフィニッシュできるという自らの利点を活かして、レベルチェンジで虚を突いて、ガーンの「守り」を崩してKOで勝ちたいところです。

 

 

対するシリル・ガーンとしては、ガヌーが伝説のお見合い塩試合となったデリック・ルイス戦のような相手のカウンターを恐れての消極的な試合展開に終始すれば自分のペースになるとは思いますが、多少打撃を顔面に貰ってもビクともせず、ボディもかなり鍛えているガヌーに明確にダメージを与えていくのは難しいでしょう。

しかし、相手の肝臓をピンポイントで捉えて足指で突き刺す三日月蹴りが上手く入れば、いくらボディを鍛えていようが効いてしまう技なので、スイッチや前蹴りと組み合わせながら距離を見極めて、確実にダメージを与えていきたいところです。

そこでガヌーとしても踏み込み辛い試合展開を作ってしまえば後はガーンペースで試合を組み立てる事ができ、ミドルやローで削って接近戦では膝蹴りを効かせてテイクダウンも防いで試合を支配していきたいです。

 

この試合が、ガヌーの地金が剥がれる試合となるのか。それとも、これまでの試合のように圧倒的なKOパワーで暫定王者ガーンをも飲み込んでしまうのか。

フランシス・ガヌーはむしろこれからが「伝説」を築き上げる選手になっていかなければいけない存在なので、その先のジョン・ジョーンズとのスーパーファイトを見据えた上でも、ガヌーには豪快なKO勝ちを望みたいところであります。

 

 

 

 

👑🇲🇽ブランドン・モレノ(UFCフライ級王者)VS🇧🇷デイブソン・フィゲレーロ(元UFCフライ級王者)

🏆UFCフライ級タイトルマッチ

 

 

セミで行われるUFCフライ級タイトルマッチは、現王者ブランドン・モレノたん🐥💞とデイブソン・フィゲレーロの3度目の対戦です。

 

 

現UFCフライ級王者ブランドン・モレノたん🐥✨💞はUFCフライ級廃止騒動のあおりを受けて一度UFCをリリースされるものの、フライ級存続が決まってからUFCと再契約、引き分けを挟んで3連勝でタイトル挑戦権を獲得しました。

そして一昨年12月に当時の王者デイブソン・フィゲレーロに挑み、UFCフライ級史上最大の激闘と賞賛される試合をやってのけるものの、判定は引き分けで惜しくも王座戴冠ならず。

 

 

昨年6月に行われたリマッチでフィゲレーロに3Rリアネイキドチョークで一本勝ちを納め、メキシコ人初のUFC王者となりました。

 

 

 

王者らしからぬキャラクターと人柄の良さが滲み出ている笑顔が特徴的な選手で、重度のフィギュアオタクの側面もあり、愛用玩具のレゴブロック社からオリジナルのレゴで作られたUFCベルトを贈呈されています。

 

元UFCフライ級王者デイブソン・フィゲレーロは一昨年7月にジョセフ・ベナビデスに1R一本勝ちを納め、第3代UFCフライ級王者に戴冠。

テクニカルな選手が多いフライ級という階級の中で、フィジカル&パワーと予測不能な攻撃でフィニッシュを狙っていくというファイターです。

 

 

 

 

3度目の対決という事で、基本的な試合展開の予想は第2戦の時に書いた予想記事とさほど変わりはありません。

 

https://ameblo.jp/fanroad-gindama/entry-12678406635.html?frm=theme

 

 

前回の第2戦では堅い立ち上がりだったフィゲレーロに対し、モレノが序盤からメキシカンボクシングで攻勢を仕掛けていき、1R中盤に左ストレートのカウンターを当ててダウンを奪っています。

2Rは一転してグラウンドのスクランブルの攻防で互角の試合を演じますが、3Rにモレノがレベルチェンジからテイクダウンを奪い、そこから素早い仕掛けでボディトライアングルの体勢を作り上げ、リアネイキドチョークで一本勝ちを納めています。

 

モレノは第1戦の後半からフィゲレーロの変則打撃の筋をある程度見抜いていたというのもあり、第2戦では1Rからいきなりダウンを奪う事に成功したのが勝因の一つではありましたが、フィゲレーロも減量苦の影響もあってか第1戦と比較すると動きが堅く、集中力にやや欠いていた部分もあったと思います。モレノのスクランブルが鮮やか過ぎたとは言え、やや簡単に一本を取られてしまったのもその辺りに要因があるのかと思われます。

 

 

 

フィゲレーロは今回の試合に向けてUFC2階級制覇王者であり、北京オリンピックレスリング金メダリストであるヘンリー・セフードの下で練習を積んできています。

勿論これはモレノのスクランブル&サブミッションを対処し、グラウンドの攻防でトップポジションをキープして有利に試合を進めるためのものですが、フィゲレーロのレスリングの伸び代がどれだけ向上しているかによって、試合の流れが決まっていきそうな気がします。案外打撃を捨ててグラウンド主体で勝負を挑んでくるのかもしれません。

 

当然、柔術黒帯でカネロ・アルバレスからボクシングを習っているモレノも前回と比較してのストロングポイントはあるでしょう。

総合力を駆使していかに勝負できるか、フィゲレーロが集中力を欠いた虚を突いて前回の試合のように一気にフィニッシュへと畳み掛けられるのか、そこに至るまでの両者の駆け引きにも注目です。