「10月株安説」が立証されなかったことを受け、先月29日に当サイトは「暗黒の火曜日(自戒編)」を更新しました。
結局「株価暴落」を唱えて儲かる方法は、たった一度の暴落で名声を得て講演料などで儲けることであるというWSJのコラムをご紹介いたしました。
そのウォールストリート・ジャーナル紙に先週末掲載された記事が、注目されています。
「Bridgewater Makes $1.5 Billion Options Bet on Falling Market」(「Bridgewater」は、下落市場に15億ドルのオプションを賭けている)
Bridgewaterとは
ブリッジウォーター・アソシエーツは、レイ・ダリオ氏により創業されたヘッジファンド運営会社。現在の運用総額は16兆円と世界最大のヘッジファンドとなっており、同社の動向による市場への影響は少なくないと言われている。
レイ・ダリオ氏自身は、この報道を否定しています。
資産家のレイ・ダリオ氏は、同氏が率いるヘッジファンド運営会社ブリッジウオーター・アソシエーツで株下落を予測したポジションは建てていないと述べた。
ダリオ氏は22日、リンクトインへの投稿で、同日付の米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙の記事が「誤り」だと指摘、「株価下落を見込んだネットポジションは一切組んでいないことを明確にしておきたい」と言明した。
(中略)
ダリオ氏は「たとえ事実が見出しと合致していなくても、多くの書き手が何よりも望むのはセンセーショナルな見出しだ。そのような世界にわれわれは住んでいるのだと確信する」と投稿した。
ブリッジウォーターは22日のブルームバーグへの声明文で、投資のポジションは主にヘッジとして相関関係にあることが多く、また頻繁に変えていると説明した。
ダリオ氏は「ある瞬間の1つのポジションを見て、その背後にある動機を推測しようとするのは間違っているだろう」と指摘、米国の政治動向を予測したヘッジもしくはポジションは取っていないと加えた。(23日ブルームバーグ)
同じく20日ブルームバーグには、次のような記事も掲載されていました。
ヘッジファンドの弱気派代表、空売りポジションを過去最大に積み上げ
ヘッジファンド業界の弱気派として知られるラッセル・クラーク氏も、今ほど悲観的になったのは初めてだ。
同氏は自身が運用するホースマン・グローバル・ファンドのネットショートポジションを総資産の111%に引き上げた。18日送付の投資家宛て書簡で明らかになった。著名空売り投資家の同氏は2012年以降、株式相場下落を見込むポジションを一貫して取っている。
また当サイトでも今月15日「【既報】ヒンデンブルグ・オーメンさん、ひっそりと点灯」にて、株価下落のサインとされるヒンデンブルグ・オーメン点灯をご紹介しています。
ヒンデンブルグ・オーメン点灯条件は一般的に次の4つ。
・ニューヨーク証券取引所(NYSE)での52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.8%以上
・NYSEインデックス(NYSE総合指数)の値が50営業日前を上回る
・短期的な株価の方向性を示すマクレラン・オシレーターがマイナス
・52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の2倍を超えない
点灯した場合は、1ヶ月以内に「77%の確率で株価は5%以上下落」「パニック売りとなる可能性は41%」「重大なクラッシュとなる可能性は24%」と言われています。
これまでの株価上昇は、3回の利下げやトランプ・プット(株が下がりそうになると「米中は合意近い」なる発言が出てくる不思議)に支えられたものです(もちろん米国経済の底堅さもありますが)。
そんな神通力が、ひょっとすると無くなってしまう可能性が土曜日に舞い込んできました。
トランプ氏、国務長官辞任に言及 上院選出馬に同意か
【ワシントン共同】トランプ米大統領は22日、FOXニュースの番組で、最側近のポンペオ国務長官が辞任して来年の連邦上院選に立候補する可能性があるとされていることに関し「彼は素晴らしい人物だ。簡単に勝利するだろう」と語った。出馬に「同意した」(AP通信)とも取れる発言で、ポンペオ氏の辞任が現実味を帯びつつある。
トランプ氏がポンペオ氏の上院選出馬の可能性に具体的に言及したのは初めて。ポンペオ氏は、大統領選と同時実施される上院選に中西部の地元カンザス州から立候補するとの見方が以前からくすぶっている。
以前から、ポンペオ国務長官の動向は注目されていました。
出馬しない⇒トランプ政権は安泰で、元国務長官という肩書で大統領選に名乗りを挙げられる
出馬する⇒トランプ政権での国務長官在任が、自身の大統領選で足を引っ張る可能性がある
つまりポンペオ氏の動向はすなわち、ポンペオ陣営がトランプ氏の勝利確率をどのように分析しているかの表れだということです。
もし本当に報道通りポンペオ氏が上院選に鞍替えするとなると、トランプ2選目はないと分析していることになります。
良くも悪くも、現在の株価はトランプ政権による政策により支えられています。
株価暴落の引き金が引かれる可能性は、身内にもあるということです。
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日本フィナンシャルセキュリティーズ㈱ 谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員