北海道の広さはおよそ83400㎢
世界の島ランキングでも21位にランクされる大きな島だ
(ちなみに本州は第7位)
見渡す限りに広がるような気がする森林も
割合で云うと他の都府県と大差ない7割程度なのだが
実際の面積はやはり途方もなく大きなもので
それは関東8都県全体の面積に比べて約1.5倍にも達している
北海道のどこを走っても感じることだが
スケールの違う自然の豊かさにずーっと包まれて圧倒されて
それだけで何とも云えない不思議な幸福感に満たされてしまうのだ
自由に広がる深い森
ほんとうに何もないただの原野
青空のもと広大に広がった牧草地
そして延々と続く海岸線
荒涼とした寂寥感すら時に感じさせるが
それよりも自然の営みの豊かさの方がやはり勝っている
道路脇をびっしりと埋め尽くしている野草たちや
どこまでも覆いつくす森や林の深さ
雪解けの水を集めてとうとうと流れるたくさんの大きな川たち
ふとオートバイを停めエンジンを切ると
いまの季節だとハルゼミのちょっと低い鳴き声に全身が包まれる
都市に感じる違和感から解放されて
魂は生まれて初めて真に自然と一体になれたように感じるのだ
長い旅程の中
町も集落もないような原野を走り抜けることも多い北海道
日本国内でもなかなかお目にかかれない景色だ
世界にはもっと規模の大きな手つかずの自然があるのだろうが
町育ちのボクには十分な驚きで
それだけでどこか異世界を走っているような気すらしてくる
ただ淡々とオートバイを走らせながら
たった一人自由への逃走を続けている気分だ
僅かな慰めはそこら中でグルングルン回る発電用風車たちかな
でもなんだかデカすぎてちっとも風景に溶け込まない
ドン・キホーテがあいつに突進していった気持ちもちょっとわかる
あれはまさに凶暴な巨人
でもこの光景は道内のいたるところで見られ
すでにありふれたものになりつつあるのも事実だ
日本海側がやはり多いかな
今回は追分ソーランラインとオロロンラインを繋げて走ったが
日本海に面した海岸沿いにはずーッと風車の景色が続いていた
あのオトンルイの発電所も今ではワンオブゼン(そのうちのひとつ)
最近では10000kwhを越えるような風力発電所が
日本海側を中心に30カ所以上稼働しているようだ
(オトンルイももっと大きな風車5基に置き換わるらしい)
風車の景色は自然風景ではもちろんないが
自然エネルギーを利用するという点では
自然の一部とも云えないだろうか
ここにも豊かな北海道の姿が垣間見えている訳だ
もう一つの慰めは
道路が続く限りその路肩を埋め尽くす野草の群生だろう
北の大地とは云え多種多様な植物が自生するが
道路際に目立つのは「イタドリ」「笹」そして「フキ」だ
これらはバラバラに混在して生えているのではなく
それぞれはある程度の群れを成している
イタドリの列が数十メートル続くと
ある所からそれが笹の群生に変わり
そしてまたイタドリが続いたかと思うと
今度は気付かぬうちに大きな葉のフキの群れが続いている
道路の左右でもそれは異なっていて
左側はフキでも右側はイタドリだったりするのだ
この季節特に目立つのはイタドリとフキだ
イタドリは葉の大きなオオイタドリがほとんど
成長力が強くて放っておくと人の背丈を越える高さまで伸びる
本州でもイタドリはよく見かけるけど
真夏のイタドリってすごい大きさに成長している
フキの葉っぱも驚くほど大きくて
太い茎をズーンと伸ばして傘みたいにデカくなっている
残念ながらおそらく厄介者だ
すっかり雪が解けた今の北海道では
待ってました、とばかりに草木が一気に成長をはじめるが
ちょうど今頃に除草作業が盛んに行われるみたいだ
放っておくとすぐに手が付けられなくなるんだろうね
道内のいたるところで十数人規模の作業員が刈払い機のエンジンを唸らせていた
これくらいの時に刈っておかないと処分に困るよ、あれは
一方森林はと云えば
最初にも少し触れたけど
558万ha(約55800㎢)の面積を有する
これは北海道の7割近くが森林におおわれていることになる数字だ
天然林(人の手が入っていない森林)はそのうち357万haもあるらしい
これがどれほどの規模なのか全くイメージできないが
良く例えられる「東京ドーム」で無理矢理例えるとなんと76万個分だ
東京ドームじゃあ分らないか?
じゃあ最初にも例えた関東全体の面積を
東京ドームに換算してみると78万5千個分だ
関東に東京ドーム78万5千個建てると全部埋まるんだねって
ああ、もうどうでもいいか
(つまりは関東8都県と同じ広さの規模で天然林が北海道には広がっている)
三国峠の展望所から南の方を見やると
眼下には果てしなく原生林が広がっている
エゾ松、トドマツなど大型の針葉樹と
シラカバ、ダケカンバ、ミズナラなどの広葉樹が混じる
全体としては広葉樹の林が多くないかな
案外深い山の中を走っていても
この時期なら木漏れ日に溢れていて
清々しくとても気持ちがいいイメージがある
少し高度を上げるとダケカンバが増えるね
ダケカンバはこの季節ようやく芽吹きが始まったばかりで
トドマツの林の中で淡い緑の若葉が森にコントラストを付けている
この原生林にはモバイルの電波も無ければ(スターリンクは大丈夫か)
ガソリンスタンドももちろんコンビニもない
十勝三股に山荘があるがいつも開いている訳ではないだろうし
幌加には除雪ステーションがあるけど人が常駐しているのかしら
人より獣の方が確実に多い地域だ
こんな場所でクロ介が急に止まったりしたらどうなるんだろう
夜中だったら遭難するかもしれない
21世紀の日本にまだこんなエリアがあって
リアルに冒険気分を味わえる
それが北海道だ
それにしても5月末の北海道は生命力にあふれていた
木々は芽吹き茂り
草はずんずんその背丈を延ばす
まだちょっと空気はひんやりしてるけど
始まったばかりの初夏のこの時期
北海道は本当に気持ちがよかったね















































