オートバイ乗りには皆それぞれの秋がある

 

ちがうかな?

 

もちろん冬にだって乗ろうと思えばオートバイに乗れるけど

 

そのほかの季節みたいに行きたいところへいつでも行ける訳じゃない

 

だから秋のオートバイ乗りはいつも迫る季節に追われている

 

冬を前にせっせとあっちへこっちへ

 

オートバイを走らせる

 

そんなボクにとっての秋はやはり少し感傷的だ

 

日々強まる寒さを感じながら

 

鮮やかに色付き、やがて枯れ落ちていく木々の姿を記憶に刻み

 

この一年の「走り」を噛みしめる季節だ

 

そしてなんと云っても一番の楽しみは

 

路面の凍結や積雪で通行が困難になる前

 

そのギリギリを攻めて山へ入ること

 

そのギリギリの秋を心に刻むこと

 

大谷君も若手へのアドバイスで口にする

 

「どれぐらいギリギリを攻められるかっていうのが大事なのかなとは思います」

 

KAT-TUNがかつてそのデビュー曲で伝えた

 

「ギリギリでいつも生きていたいから……リアルを手に入れろ!」

 

SPEEDはもっと突っ込めと挑発する

 

「痛いこととか怖がらないで、もっと奥まで行こうよ」

 

ちょっと違うか?まあ、そういうことだ

 

……知らんけど

 

 

個人的なチキンレースみたいな感じなのかな

 

もちろんね、凍結の問題を回避して山へ入れるかどうかなんて

 

このご時世いくらでもインターネットで情報を得ることができる

 

凍結情報を見たいなら路面凍結予報 | お天気ナビゲータ

 

なんてサイトもあるし

 

気象庁のサイトだけでも予想なら案外簡単にできるかもしれない

 

だからチキンレースとまでもいかないのだろう

 

いや、だから敢えてボクは(ネットは)見ない

 

天気予報くらいは見るけどネットの情報はこの際、邪道だ

 

あれに頼っていると案外簡単にその「ギリギリ」を演出できてしまう

 

もちろん年末の宗谷岬に集まるライダーを知っているから

 

「ギリギリ」なんてものがあるのかどうかも実はわからないのだけれど

 

ボクのいうギリギリはあくまで主観的な(生ぬるい)ギリギリだ

 

だから絶対値は相当低いと云わざるを得ない(自覚あり)

 

けれど老体に鞭を打ってでもまだまだギリギリの境界を広げていこうとする

 

「未熟さ」と「人間臭さ」を自分自身に感じたいがためなのだ(カッコイー)

 

毎年そのつもりでチャレンジしている(きっぱり)

 

けど満足できたのは今までに正直2回くらいかな

 

去年なんかまだ紅葉の盛りで全く拍子抜けだった

 

とは云うもののマジで積雪してしまうとニッチモ&サッチモ

 

否、ニッチもサッチもいかなくなるし(漢字だと、二進も三進も、と書くらしい)

 

でもね

 

矛盾するようだけど実際はそう簡単でもないとは云っておきたい

 

道路の状況と云うものはピンポイントで変わるものだし

 

たまたま山から水が流れ出している場所だってある

 

そこにリーンした状態で乗ればタイヤは滑るということだ

 

凍結の滑り方は「すべる」なんて悠長なもんじゃない

 

「すべる」の「す」と「る」の間は無いに等しい

 

40km/hも出ていれば記憶にも残らない程の瞬間で路面に打ち付けられている

 

たまに砂や落ち葉でズッと滑ることがあってヒャッとするけど

 

あれは「ヒャッ」としたときにはもうグリップしてる

 

凍結路はそれがないままガチャンだ

 

オートバイが直立していれば

 

タイヤは案外グリップしてくれるのでそこそこ走れるが

 

逆に足を出すとその足がズルッといってこけるね

 

ブラックアイスバーンなんかは見分けがつかなくて最悪だ

 

とにかくこの季節の路面状況には注意がいる

 

いやだから、なんでそこまでして、とも思うけど

 

でも道路の凍結を気に掛けながら

 

凍るような冷たい空気を突っ切って

 

枯れた山の中を走る気持ち良さはなぜか癖になるのだよ

 

 

12月に入ってすぐだ

 

その週の中ごろから強い寒気が今季初めて太平洋側まで流れ込み

 

日本海側や内陸部だけでなく太平洋側の平地でも積雪の恐れがあると

 

ニュースでも警戒を呼び掛けていた

 

今年は11月中にきつい冷え込みがなく日中も穏やかな日が続いた

 

そのせいでいつもの年より気持ちがのんびりしているみたいだった

 

だから12月の声を聞いてもあまり冬を切実に考えていなかったな

 

例のギリギリを攻めにいくのは

 

大抵、奥琵琶湖か飛騨のせせらぎ街道と決まっているが

 

さすがに12月になると飛騨は高山あたりでもかなり怪しくなるし

 

奥琵琶湖のパークウェイは12月早々に冬季閉鎖になるのだ

 

さあどっちに行くべきかな?

 

気付けば短い周期で前線が列島を通過し

 

徐々に冷え込みが強くなってきていた

 

「この日しかない」と決めたその朝

 

実はそれほど寒くない日だった

 

一応冬のフル装備で準備し通勤ラッシュの東名に乗った

 

今日の相棒はクロ介(BMW エアヘッド 1000cc)

 

クロ介の完璧で完全なフロントカウルに潜り込んで高速を駆け抜ける

 

全然寒くない(あれ?)

 

当日の天候を見て決めようと思っていたから行き先がまだ決まってない

 

朝の予報ではどっちも同じような感じの天気だった

 

東名に乗った時点でもまだ飛騨か?奥琵琶湖か?決められていなかった

 

すぐに達する豊田JCTまでには決断しなくては……

 

飛騨なら分岐して東海環状道へ

 

奥琵琶湖ならこのまま東名だ

 

いやー、実にギリギリ、いいねー

 

矢作川の長い橋を渡りながら開けた視界を眺めやる

 

そうね、北の方に青空が見えるよ

 

なら、飛騨!決まり

 

スピードを落とさずランプウェイをコーナリングしていく86を追って

 

東海環状道へ分岐した

 

いつもなら見えそうな恵那山も御岳山も今日は姿が見えない

 

明るいが雲がやや多くて空気も霞んでいた

 

だからその分暖かいのだろう

 

 

東海環状道 富加関ICが我慢の限界

 

高速、おもんないねん!

 

岐阜県県道58号から64号へつないで金山へ向かう

 

飛騨へ行くときは大抵このルートだ

 

狭い谷筋の県道なので朝の空気はひんやりしていた

 

山の北側は一日中日当たりが悪いせいか路面がかなり怪しいが

 

周囲を見渡しても霜が降りている風でもなさそうなので

 

今日は凍結までは心配ないだろう

 

ただけっこう濡れているので橋の継ぎ目に気を使う

 

この辺りでは庭先の楓がまだ葉を落とさず枝に残っていた

 

途中の北条峠は頂上部でかなりウェット

 

けれどその先の県道64号線は全体的に開けていて明るい

 

川に沿ったワインディングが楽しいルートだ

 

 

金山でいったん国道に合流するがすぐに県道86号線へ折れる

 

しばらくの間、馬瀬川の明るい右岸を走るが

 

馬瀬第2ダムの切りから濃飛道路のきれいなトンネルをくぐり

 

国道256号線に入った

 

今度は和良川に沿って走る

 

南側に斜面が迫っている山かげは

 

冬になると一日中陽を遮られているところが多い

 

そのため日中でも空気が淀んだように冷たく

 

すぐ横の和良川からの水蒸気が路面を湿らせる

 

こういうところは乾きが悪いので冷え込むと凍結しやすいのだ

 

でも全体的に見れば今日は気温がかなり高い

 

途中に何度も出会った温度表示板は軒並み8℃くらいはあった

 

このまま行くと郡上に抜けるがその中ほど

 

和良川が開いた平地に和良の山里がある

 

江戸時代には幕府の直轄領で旗本の天領陣屋も残り

 

平安時代から人が住み着いていた記録もあるそうだ

 

とても雰囲気のいいところで好きな場所のひとつ

 

道の駅で休憩

 

なぜかここ、定休日にしか来たことがない

 

 

ここから「こもれびロード」(県道329号美並和良明宝線)に入る

 

南北に走るルートは概して日当たりが良く

 

路面もドライで安心して走れる道が多いものだ

 

明宝に近付くと峠へ向けて山を登るので

 

南も北もなくなるが標高の割にここは不安がない

 

くねくねっと道がワインディングしていて大好きだ

 

 

相谷トンネルで一気に明宝側へ抜ける

 

このトンネル西側にある川に山が沿って湾曲しているせいか

 

ずーっとトンネルもカーブしている

 

山の中のトンネルに有りがちな路面の湿潤もなく快適

 

このルートは相当重要なのか十分に整備されている

 

 

国道472号線へ出てせせらぎ街道を目指す

 

あたりの山は見事な枯れっぷりだ

 

おかげで交通量がほぼない

 

峠を貫く坂本トンネルがかつて有料だったなんて知らないか?

 

むかしはそこら中に有料のトンネルとか有料の橋があったのさ

 

それを旧道で回避して走るのが昔のオートバイ乗りだったんだぜ

 

坂本トンネルは逆にいつも濡れている

 

そして寒い

 

ここ嫌いだ

 

でもこのトンネルから先のワインディングはすごく好き

 

この日はちょっとウェットだったけどね

 

 

道の駅パスカル清見で買い物する

 

「パスカル」ってボクの好きなパスカルさんじゃなくて

 

造語らしいね

 

道の駅の名前って造語が多いよね

 

同じく岐阜にある「きりら坂下」なんてバーイトサイド

 

だったような、違うかな

 

パスカルは田園音楽のパストラルとカルチャーをイメージしてるみたい

 

なんでもいいけどね

 

今日は駐車場にオートバイ「0」

 

ワクワクするねー

 

 

県道73号線に変わっていよいよ峠に近付く

 

標高は1000mを越えてさすがに冷えてきた

 

路面は全面ハーフウェットからびっしょりウェット

 

過信はしてないけど凍結は大丈夫そうだ

 

86×2台,S2000、インプレッサのグループがアホみたいに飛ばす

 

岐阜ナンバーだったから地元かな

 

ビビってるのはロートルライダーだけか

 

西ウレ峠 1113m

 

なぜか、ぼんやり暖かい

 

気温計はなんと8℃

 

こりゃ今年もまたギリギリとは云えんな

 

 

とは云えせせらぎ街道はすでに丸裸

 

日影の空気はもう真冬

 

繁る葉っぱで見えずらかった渓流がやさしく音を立てて流れていく

 

何とか青空だ

 

でも「ギリギリ」ではなかったな

 

今年もよく走った

 

去年に引き続き10000kmを越えそうだ

 

クロ介で北海道を走られたし

 

秋には思う存分クネクネできた

 

さて来年はどこに行こうかな

 

 

ギリギリ感に乏しいと思って帰ってきたが

 

翌日から飛騨は雪に見舞われた

 

峠は通行止め

 

結果的には雪の季節のギリギリは攻められたかも

 

あんまり寒くなくてイマイチだったけどね

 

 

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5軸のセミトレーラーが作り出すでかい負圧の中に入って

 

高速道路を走っていた

 

今朝は相当に冷え込んだ

 

カイロも前後に貼ってライトダウンの出で立ちだが

 

歯を食いしばっていないと震えがくる

 

迷って嵌めてきたグローブは3シーズン用

 

いや、これは失敗だった

 

負圧の中と云ってもトラックとは80mくらい距離を取っている

 

路面の認識とそれへの反応には最低ラインか

 

それでもトンネルの中くらいの負圧効果は感じる

 

トラックのリアパネルを眺め続けるのも味気ないが

 

どっちみち高速道路なんてただ移動でしかない

 

等速で(といっても左車線だけではない)無理なく

 

まさに淡々と「移動」の道連れには長距離トラックは最適なのだ

 

近付きすぎると逆に落ち着かないから

 

安全面でも車間はしっかりとった方がむしろ楽だ

 

高速道路の車線境界の破線は線が8mでブランクが12m

 

つまり前車との間に線が3,4本見えるくらいが良い

 

 

三遠南信道へ入るために三ケ日JCTを分岐したが

 

交通量が途端に0になった

 

ぶつ切れとは云え三遠南信道は

 

豊川や新城と云った「地方」によく有りがちな

 

「逃げ場がない」国道を我慢してやり過ごす地獄から解放してくれる

 

しかも今のところ無料だ

 

分断されている鳳来峡から東栄の区間も今年度中には開通するから

 

佐久間(中部天竜)まで一気に入っていける

 

先日行った天竜スーパー林道とか兵越、遠山郷なんかへ行きやすい

 

その遠山郷と云えばずっと休館だったかぐらの湯が再開しているね

 

高速道路はつまらないけど、まあ役に立つ

 

 

鳳来峡ICで国道へ下りて北上する

 

だいぶ葉が色づいてきているがこの日はまだ始まったばかりの様相だった

 

平日ではあるけど国道は山道に不慣れな「枯葉マーク」が流れを滞らせる

 

後ろに5,6台つながっても全く譲る気配もない

 

この先に追い越し規制が解除されるのを知っているから

 

まあまあ、と呑気についていくが

 

正直溜息のひとつも吐きたくなる

 

新野峠に取り付いて車列を振り切った

 

渋滞の中を走るときの微妙な回転域で出るSR400の振動で

 

痺れてしまって左手がグローブみたいに腫れあがって感じる

 

おまけに手袋が全く防寒してくれないのでほぼ感覚がなくなった

 

峠を越えて北の谷筋を下りていく

 

開けた前方の視界には冠雪した南アルプスが望める

 

長い下りで手をハンドルから離してみるが痺れがどうにも取れない

 

寄りたくなかったけど千石平の道の駅によって手を回復させることにした

 

気温は順調に上がってきているみたいだ

 

 

この先の和知野まで行って治部坂へ抜ける県道へ行く予定だが

 

道の駅で左手を回復させるためボッサーっとしているうちに

 

平岡をまわって和知野キャンプ場辺りから入る県道を思い出した

 

前に来たのはもう十数年前か

 

台風の後でそこら中に倒木があって、ああ電柱も倒れてたな

 

和知野川がエグった深い谷に沿って進むクネクネ道だった

 

思い付くが早いかSRのキックを踏み抜き

 

道の駅の先を国道418号線へ入って平岡を目指す

 

例のかぐらの湯が休業になってから一度もここへ来ていない

 

この国道も徐々に改良が進められているが(おかげでダンプが多い)

 

やばい国道だとは記憶にある

 

相変わらずそのヤバさの記憶の3倍くらいやばい道だった

 

面白いのはそのおかげで景色がほぼ変わっていなくて

 

印象深い建物がそのままなのを見て感慨深かったよ

 

まあそういう意味では平岡の街も変わっていないね

 

なぜだかこういうこじんまりとした箱庭みたいな街に惹かれる

 

都会と隔絶されたダムに面した街

 

遠くから眺めると山の斜面に張り付いて上へ広がり

 

「ラピュタ」のように見える平岡の街

 

街を過ぎてすぐに県道1号線へ折れる

 

この1号線は愛知・静岡・長野三県にまたがるため

 

愛知県県道1号でもあるし静岡県県道1号でもある

 

そしてここは長野なので長野県県道1号なのだ

 

すぐに黒歴史の残る平岡ダムに出る

 

16門もある洪水吐の真っ赤なラジアルゲートが枯れ色の渓谷に際立つ

 

水質のせいか地質のせいか知らないがここの水はとてもきれいな緑

 

ダム湖にはいつも水がたっぷりでいつも眺めは壮観だ

 

遠山川との合流部にかかるトラス橋を境に県道は高度を上げ

 

眼下に蛇行する天竜川の渓谷が広がる

 

天竜川渓谷と云うのか

 

 

 

まもなく和知野川キャンプ場の案内を左折して県道430号へ入る

 

が、なぜか突然の全面通行止め

 

天竜スーパー林道の時もそうだったけど

 

工事で通行止めは仕方ないがもっとネットを活用して告知してもらいたい

 

わざわざここまで入ってきて結局国道151に戻るなんてねー

 

しかもこの県道が目的だから落胆も大きい

 

仕方ないのでもう一本北の県道まで行って

 

阿南の街から国道へ戻ることにする

 

 

帯川トンネルの手前、落合大橋まで戻って和知野JCTへむかう

 

もちろん和知野JCTなんていう名前はついてないけど

 

3本4方向の県道が川を挟んで複雑に交差している場所だ

 

県道46号線は売木川に沿って進み

 

売木から茶臼山の北麓を山頂付近まで駆け上がる

 

そのまま西の麓の根羽までつながる主要地方道だ

 

今日はその北側の和知野川に沿って渓谷へ入る

 

長野県県道243号線 深沢阿南線を行く

 

和知野から分岐して県道に入ったとたんに

 

舗装されたあぜ道のような道路に普通の人はすぐに後悔するだろう

 

でも、もちろんボクはここが走りたくて来ているから

 

もううす笑いが止まらないのだ

 

すぐに和知野川渓谷

 

 

花崗岩の岩盤がむき出しの川床は真っ白だ

 

そのせいで透明度の高い水がエメラルド色に見える

 

ここいらまでくれば山はずいぶん色付いて秋

 

細くてクネクネの道がどこまでも続くのだ

 

白眉はこのロックシェッドかな

 

 

ガードレールはいたるところでボコボコ

 

落石なのか雪なのか

 

確かに危ないし巻き込まれる可能性もある

 

でもこの光景になぜかトキメクのだよ

 

まったくもってバカなのだろうと云わざるを得ない

 

この辺りはほぼ人の気配がない

 

ひと気はないがよく見ればまだ生活の色は濃い

 

元々この阿南の地域は昔から人が住み着いた庄で

 

江戸時代の住宅や井上靖の小説の題材にもなった戦国の争いの跡も残る

 

この先にある和合小学校にはまだ児童が通っていて現役だ

 

ボクが育ったのはここまでの山村ではないけど

 

山が近くて田んぼが広がるようなところだった

 

稲刈りが終わった田んぼは広大な広場だったし

 

山へは季節を問わず入って遊んだ

 

純粋な意味でボクに故郷はないけれど

 

この景色にノスタルジーを感じるのは理解できるのだ

 

というかそれは昭和と云う前時代へのノスタルジーかもしれない

 

 

ボクが生まれ、成長したころと

 

今の社会ではあらゆるものが変わってしまった

 

それは良いとか悪いとかいう尺度ではなく

 

「あれ」か「これ」か、という差異だ

 

それは身体性の有無と云い変えることができるかもしれない

 

たまには自分自身に問うてみたほうが良い

 

「ボクのカラダはどうですか?」

 

安全、便利、容易 と 危険、面倒、困難

 

世界の本質はどっちだろう?

 

…たぶん後者だ

 

ヒトは、否、生物はおよそ艱難辛苦(かんなんしんく)の中でもがき続けてきた

 

人の生の本質は苦だ

 

ブッダも説いた「一切皆苦」だと

 

しかし身体的に見れば四苦も八苦もアタマの仕業でしかない

 

生き物が死ぬのは当たり前だ

 

それとも身体も含めたモノはそれすらアタマの産物か

 

寝ている間の意識がなくても朝になって目覚めるのは

 

その間にカラダが勝手に心臓を動かし呼吸をしてくれてたからでしょ?

 

むしろカラダは最初から気付いてる

 

「オマエはだれだ?」

 

 

やがてこの山間の県道は浪合の集落に出る

 

春になるとサクラやハナモモに華やぐ

 

御所平公園で昼にする

 

また今日も「スープデリ」

 

 

キノコも好きだけどこの完熟トマトこそ王道

 

風もなくて気温もそこそこ上がってきた

 

カラスがガーと喚くたびに「うっさいわ」と突っ込んでみるが

 

止めるどころかカラスが2羽3羽と増えていく

 

それぞれめいめいが勝手に替わるコばんコに喚きだすもんだから

 

そりゃもう大騒ぎ

 

笑うしかない

 

そして、ふーっと大きく息を吐きだす

 

今年の秋も無事に過ぎていったよ

 

さあ、どこをまわって帰るかな…

 

 

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先日、御岳へ走りに出てからどうにも体調が悪い

 

幸いにも(?)天候もぐずぐずスッキリしないので

 

家にこもって本を読んだりして過ごしていた

 

残念ながら風邪かもね

 

元々アレルギーのせいで慢性的な咽頭炎があって

 

ひどくなると気管支炎から喘息になりやすい

 

今も夜になると胸元からヒューと嫌な音がする

 

風邪と云うか風邪に似た症状が強くなっているだけなんだけど

 

まあそこまで風邪を否定する意味もないので

 

「風邪」と云うことにしておくか

 

 

朝晩の冷え込みが強まって

 

今年は秋がないとか、日本は四季ならぬ二季になったとか

 

そんなバカなもの言いを耳にするけど

 

雨が上がった後に強い風が出るのはまだ暖気が残っている証だ

 

日本の南海上には台風がウロウロしている

 

朝の庭にはまだびっしりの露が下りているし

 

昼間は風が止めば暖かくて過ごしやすい

 

咳も少し収まり

 

何よりも関節の重さが取れてきた

 

まだまだ秋はこれからとは云うものの

 

11月に入れば山の気温はグッと下がる

 

活動が記録的に活発なクマではないが

 

もう残された時間もわずかなロートルライダーは毎日気が気じゃァないのだ

 

 

朝、そそくさと仕事に出かける支度をする家人に

 

「今日もヤマに行ってくる」と小声で伝える

 

風邪でしょ?

 

と訝しげな顔つきが一瞬返ってくるがバタバタとそのまま出掛けて行った

 

風邪なんてもう治ったもんねー

 

と、岡崎東インターから新東名に乗った

 

最近続々とETC専用のインターチェンジが増えているね

 

いつの間にやら岡崎東も専用になっている

 

あまりアナウンスされていないけど2030年までには完全実施されるのだ

 

サポートレーンとか云う非搭載車用レーンもあるが

 

ここを利用しての支払い手続きは結構面倒だし

 

レーンの閉鎖を伴うので他の利用者の迷惑にもなる

 

しかもETCのセキュリティー規格のアップデート問題もある

 

ディーラーでもカー用品店でもいいから出掛けて行って

 

「ETCつけて」と云うだけで済む問題だけど

 

まあこの先も一筋縄ではいかないだろうね

 

でも24時間365日、日本中の料金所に人を配置する効率は悪すぎる

 

皆さんも知るとおり経営者にとって「人件費はコスト」なのだ(バカな言い分だね)

 

どんなに抵抗されてもNEXCOはやり遂げるだろう

 

 

印象としてはこの日はそれほど寒くないなって感じだった

 

途中で(クソ高い)ガソリンを入れたときに気付いたけど

 

すごい追い風が吹いていたせいだね

 

それにダウンこそ来てないけどネックウォーマーをしているのが効いてる

 

浜松北ICで下りて天竜の街を抜け

 

船明(ふなぎら)あたりで水がパンパンの天竜川に出た

 

ここは天竜川最下流のダム、船明ダムのダム湖だが

 

ダムの堤高が25mくらいしかないので

 

そこに湛えられる水溜まりは太い川にしか見えない

 

「船明隧道」(表示がそう書いてあった)の脇に逸れる県道へ発作的に入る

 

高速道路走ってきたのでなんだかうずうずしたんだな

 

静岡県県道360号線は「月 3km」の案内板で有名な県道

 

別に「月」に行きたかった訳ではない

 

クネクネしたいだけだ

 

まあこの日この後、もうエエっちゅーくらいクネクネするんだけどね

 

でもこの県道はいい感じだった

 

入ってすぐの大きな橋を渡って国道とは反対の右岸を北上する

 

北上と云っても結果的に北へ進むというだけで

 

もうクネクネもいいところで進路はめまぐるしく変わる

 

「月」がどこだったのか

 

正直どうでも良いけど知らぬ間に通り過ぎてた

 

 

もとの国道にまた合流してすぐに秋葉神社へつながる橋のたもとに出た

 

雲名橋の手前には大きな常夜灯が立つ

 

天竜川を渡っていよいよ山に取り付いた

 

「天竜スーパー林道」…久しぶりだぜ

 

スーパー林道と呼ばれる高規格林道は

 

1960年代から全国に整備が進んだが

 

そもそもの林業の衰退による費用対効果の問題や

 

地方が期待する観光化による自然環境破壊が問題となり

 

当初の期待のような雰囲気はもうない

 

基本は国の事業だが完成後は地方自治体に管理が移るので

 

今では維持すらできなくなって通行できないものもある

 

上高地乗鞍林道へは何度か行ったが今では白骨から先は廃道状態だし

 

この天竜スーパー林道も野鳥の森から先はずっと通行止めのままだ

 

もちろん作業用の林道と比べれば維持状況は良いけれど

 

実際問題として次々起こる崩落や路盤の流出に

 

都度対応するのは困難なのかなとは感じる

 

そもそも根本的な対策を取るとなると

 

トンネルだとか橋梁だとか

 

そんな金あるわけないのだ

 

でも天竜はまだ相当走れる

 

基本は舗装が完了しているのでロードタイヤで問題ない

 

 

20mを越えそうな杉の林

 

鬱蒼とした木々の間を木漏れ日が強く差す

 

勾配はさすがにきつくて

 

連続して続くそんな坂を上っているうちに感覚が薄れ

 

時折ヘアピンの強烈な登り上がりで失速しそうになる

 

まあ(エンジンを)回してればいいんだけど

 

できるだけ静かに流して進みたいので

 

可能な限り高めのギアを選んで走っているせいでもある

 

深い森は獣の気配が濃い

 

まず、タヌキのカップルに出会う

 

そして、駆け抜けるリス

 

クマか!とビビらせるでかいシカ

 

シカでよかったよ、などとホッとしてたら

 

サルの群れに行く手を阻まれた

 

強そうな雄のサルが器用にガードレールの支柱に座って

 

通り過ぎるボクを睨みつける

 

「やんのかー、この老いぼれ」てな具合だ

 

 

いやー楽しい

 

なんてニヤニヤしてるおっさんの行く手を「全面通行止め」が阻む

 

立っていた交通誘導警備員に「通行止めの予告なかったよ」

 

とちょっと食い下がってみるけど

 

「抜けられない」とニベもない

 

JARTICも浜松市の林道情報でもアナウンスはなかったけど

 

柵で止められて警備員まで居るんだから仕方ない

 

すぐ手前に分岐してた林道を仕方なく下りていく

 

林道阿字山線

 

地図も持ってないし、スマホも電波がないので使えない

 

たぶん東側の斜面を春野の方に向かって降りているんだろう

 

下りた後どうすればよいかも決められないまま

 

激下り勾配の荒れ荒れ林道を進む

 

階段の折り返しのようなヘアピンをいくつか過ぎたが

 

林が深くて周りが良く見えない

 

チラッと見えた視界には遥か下方に集落が見えた

 

マジか!いや相当上ってきたからね、当たり前か

 

川が見えたけど「気田川」かな

 

コリャまだまだ相当下ることになりそうだ

 

ストレス解消に「あーチックショー!」と叫んだら

 

前からチャリの人が・・・

 

すれ違う時明らかに目線逸らせてたよ

 

 

ようやく下り切ったらやっぱり春野で国道361号線に出た

 

スマホで地図を確認したらこの先の静岡県県道389号へ入り

 

例の小石間トンネルの先、野尻の集落から

 

「林道大久保線」へ入ればまたスーパー林道に戻れそうだった

 

そんなこんなで予定以上に天竜の山の中を満喫

 

いつも思うけど本当はボク、オフ車が好きなタイプだと思う

 

SR400のオフ車っぽいエンジンの回り方と

 

スリムな車体にまたがっていると

 

タンクに股間を当てて両肘を張りたくなる

 

もう一度尾根までひとしきり上り詰める

 

・・・出た

 

天竜の森の5kmくらい手前に戻れた

 

風は少しあるけど天気が良い

 

天竜の森で休憩にする

 

「クマらしきものの目撃がありました」

 

という恐怖だけ募らせる看板を気にしながら湯を沸かす

 

ときどきヤカンをカンカンとカップで打ち鳴らしてクマに合図を送る

 

まだ木々の色づきはそこそこ

 

さっきチラッと覗いた南アルプスの峰には冠雪があったから

 

もう本格的な秋はすぐそこまで来ているだろう

 

天竜スーパー林道、最高だ

 

 

このあと山住峠を経て水窪の街へ下りる

 

このまま帰ろうかと思ったけど

 

こないだグーグルマップ見ていて気になった静岡県県道290号線へ寄った

 

羽ケ庄という集落を通って佐久間につながる

 

途中、北条峠と二本杉峠の二つの峠を越える

 

家屋もまばらながら数はそこそこあり人の気配は濃い

 

集落の歴史は長く絶えず人が暮らしてきたようだ

 

横尾の展望台(と看板があったけどどれのことを展望台と云っているのかはよく分からなかった)から

 

南へ延びる中央構造線の断層谷が一望できる

 

その谷の開けた場所に佐久間の街が遥かに望めた

 

 

家に戻ってさっそく風呂に浸かって温まる

 

疲れなのか少しのぼせたのか

 

手足の先に熱が回って

 

アタマもちょっとぼんやりしてくる

 

天竜で出会ったサルのメンチを思い出してひとり笑う

 

今日はもう本当にイヤッちゅーほどクネクネした

 

「つかれたねー」と吐き出すとき

 

今日の走りが充実していたと実感する

 

クタクタになるまで走りたい

 

いまだにそんな阿呆だ

 

ああ本当に楽しいクネクネの一日だったよ

 

 

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季節の進みというものはもうアナログそのものだ

 

熱い湯と冷たい水を混ぜるとき

 

最初は相当に斑ができていて

 

熱い、冷たいが部分部分に存在していても

 

撹拌を続け時間をおけばちょうどよい塩梅になっているように

 

夏の間長く居座った太平洋の暖気が勢力を弱めると

 

大陸の冷たい空気が一気に南下してくる

 

そうすると昨日までの陽気がウソのような寒さになり

 

雨が上がって風が吹けばそれは一層強くなる

 

けれどそのうちにまた移動性の高気圧に覆われれば

 

なんとものんびりとした日差しに包まれるのだ

 

これを繰り返すうちに本格的な秋が訪れ

 

北の国からは雪の便りも聞こえてくる頃となる

 

 

緯度を上げるのと同じように

 

高度を上げることでも季節の進みはグッと早くなる

 

昨日近所をぐるりと散歩に出たときは

 

半袖の出で立ちだったが

 

今日は2000mあたりまで上がろうと考えている

 

翌朝オートバイで出掛ける段になってしっかりと冬の装いとなった

 

天気予報ではこの秋一番の冷え込みで11月上旬並みだと話す

 

山は相当に冷えただろう

 

薄いダウンのベストは着込んだが

 

さすがにまだねー、とダウンのジャケットはバッグに押し込んだが

 

これは大袈裟ではなく結局すぐに着込むことになったのだ

 

 

高速道路はあまり好きじゃないが

 

平日の朝の市街地を走るくらいなら高速の方がマシなので

 

とりあえず高速に乗った

 

日本列島の南岸にほど近く秋雨前線が停滞しているせいで

 

イマイチすっきりとは晴れていない

 

とは云え秋の雲はおよそ高度が高いものだ

 

たとえ3000m級の山でも雲底には届かない

 

はたして豊田ジャンクションから遠く御嶽の峰々がはっきりと見えた

 

愛岐トンネルを越えると薄日が差した

 

内陸に行くほど(沿岸部から離れるほど)雲は減るようだ

 

今日はトンネルが暖かいね

 

 

今日の相棒はSR400

 

SRの高速道路との相性は経験のない人には意外だろうが案外良い

 

トップギアで4000rpmがベストだけど

 

ここからギアダウンなしに追い越し加速に入れる

 

振動も今ではことさら思うこともなく

 

むしろ大きなピストンがクランクを捻り上げるようなトルク感が気持ちいい

 

直進性も問題なく、かと云って進路変更もコーナリングも造作ない

 

勾配もそれなりにあってカーブも続く中央道でも

 

トップギアのままスロットル操作だけでのんびりと巡行する

 

ライトの上に小ぶりなウィンドシールドを付けているが

 

こいつがなんともいい仕事をしてくれる

 

あんなに小さいのに体に当たる風はほぼ遮って弱めてくれるのだ

 

 

中央道を中津川で下へ降りる

 

国道19号=現代の木曽街道は木曽川の激しい流れとは対照的に

 

車列がゆったりと流れている

 

時折登坂車線もあるけどほぼ延々と1車線だ

 

トラックやトレーラーも多いが信号が少ないのでまあそこそこ走る

 

SRにとってはいちばん気持ちの良い速度レンジなので全く不満はない

 

上松まで約1時間

 

連続するトンネルの向こうで左に折れて元橋で木曽川を渡った

 

 

このひとつ先、木曽福島から開田へ入る木曽大橋が完成し

 

地蔵峠にバイパスが整備されるまで

 

この元橋を渡って開田へ向かっていた

 

もう30年も前のことか

 

県道20号線は昔ながらの地形に沿う作りでくねくねだが

 

オートバイで走るにはこの方がむしろおもしろいし

 

SR400もそれにピッタリなオートバイだ

 

三岳の道の駅で小休止する

 

空は雲に覆われるがやはり山並みを隠すことはない

 

印象的な朱色の常盤橋を越え

 

三岳の町の追分を右に取ればもう御嶽の山並みは近い

 

その追分を左に折れると王滝を経て御岳スカイラインへと続くが

 

今日は久しぶりに霊峰ラインを走る

 

すぐに開田へ向かう20号を離れて(というか道なり)

 

そのまま霊峰ラインへ入ると御嶽の峰々が美しく眼前に聳えた

 

この山は信仰の山だ

 

御嶽講の人たちの魂の拠り所なのだ

 

山全体が礼拝場所なのでボクのような部外者でも礼を尽くすべき場所

 

印象的なのは宗教施設や宿泊所が並ぶ合間合間に並ぶ無数の石碑群だ

 

この石碑は霊神碑と云って墓というより霊を祭るシンボルか

 

霊神碑は山全体に約3万基もあるといわれる

 

御嶽講の人たちは死後の魂が御嶽に還るよう願ってこの石碑を建てるのだそうだ

 

写真を撮るのはちょっと憚られるかなと思って撮らなかったけど

 

この霊的な風景は一見の価値がある日本文化だと思う

 

クネクネと御嶽を登り詰めるこの細い道に人々の願いがこもる

 

そして時折開ける視界には神々しい御嶽の峰だ

 

 

むかしの哲学者の命題にふれると

 

そこには常に「神」の存在があることを思わせる

 

自然科学を常識ととらえる現代人にはいささかの古臭さと胡散臭さを感じさせるが

 

実を云うと旧約聖書に毒された、否、染まった西欧人であっても

 

さすがに哲学者ともなるとその「神」の概念は多様化していた

 

「神即自然(神すなわち自然)」のスピノザは汎神論と云われるが

 

単なる自然信仰とは真逆の発想で

 

神がこの宇宙のすべてにその力を発揮している

 

あらゆる属性があらゆる様態で現出しているという意味だ

 

つまり神とは宇宙の法則(物理法則のような)なのだと思わせるような言い分なのだ

 

それなら現代人にも何となく「わかってるじゃん」と感じさせてくれるものがあると思う

 

八百万の神を信仰してきた日本人も

 

仏の智慧を知っていた仏教も

 

物理法則で成り立つこの世界とその精巧で緻密な宇宙を見ていたのかと感じさせるものはある

 

京都の東寺講堂に広がる立体曼荼羅を見るとき

 

当時の人々がこの宇宙をあのように感じていたと思うと

 

神こそ自然という哲学なのだと確信する

 

それと同じくこの御嶽に広がる世界は

 

形而上学としての哲学的世界を感じる(決して宗教的ではない)

 

 

なんて語っているけど

 

ほんとうは「クマ」がこわい

 

いくら、出るわけないじゃん、と思っても

 

それを許さないような昨今のクマ事情だ

 

もう猟友会レベルでなく国防レベルだ

 

国民の安全を守るべく自衛隊に部隊展開してもらいたい

 

(と書いたとたんに秋田県知事は災害派遣を自衛隊に要請)

 

玄関を出たらクマに襲われるなんて北朝鮮のミサイル威嚇より怖い

 

停まるときはなるべく周囲が開けたところを選んで

 

エンジンを切る前にホーンを鳴らして存在を知らしめる

 

休憩中も時折辺りを見渡して警戒を怠らないことが大切だよ(大袈裟)

 

 

ロープウエイの駅を過ぎてブルーラインで麓へ下る

 

王滝から入るスカイラインに比べると中央アルプス方面の眺望はあまりない

 

霊峰ラインが信仰者のルートだとすれば

 

ブルーラインはロープウエイ目当ての観光のルートだ

 

バスも走るのでそこそこの幅員がある

 

あと2週間もすれば紅葉も進むんだろうが

 

ボクが行ったときはまだぼんやりと黄味掛かっているくらいだった

 

気温も下とさほど変わらず高速を飛ばしてた時の方が寒かったくらいだ

 

でも県道20号へ出て日和田へ向かうとにわかに冷たい風が強まった

 

長峰峠はかなり寒くて

 

高根辺りの温度計には「9℃」っていうのもあった

 

さすがに寒くて万が一のネックウォーマーまで使ったよ

 

 

朝日の道の駅で昼食をとった後

 

そのすぐ先にある農道みたいなやつに入った

 

表示板もないし地図にも記載がないんだけど

 

向こう側の取り付きにある青看板(案内標識)には「飛騨農園街道」とある

 

2020年版の道路地図には未舗装林道と記載があったけど

 

実際は完全に対向2車線でほとんど消えてるけどセンターラインがある

 

峠部のアップダウンがきついくらいで滅茶苦茶快走路なのよ

 

「農園街道」と云うけど農園もなにも深い森の中ばかりで

 

ほとんど何もなかったね

 

牛乳の工場と飛騨牛の農場があったかな

 

全線で13kmくらいあるけど対向車には1台も合わなかった

 

高山をパスするにはありがたくて楽しいルートだ

 

そのまま41号線で南下し下呂から257号へ回る

 

のんびりしすぎてちょっと時間も遅くなったので

 

ルート選びも雑になる

 

19号へ出るところに栗きんとんの「川上屋」

 

ご機嫌取りにお土産だけ仕入れて家路を急ぐ

 

 

それにしても行きの高速からずーっとなんだか寒くて

 

走り出すたびにしばらくブルブルと震えたりしていた

 

おまけにそんなに距離も走ってないのに全身の関節がギシギシとして

 

こりゃ風邪引いたかな、と思ったら

 

そのうち鼻が出て喉が痛み出した

 

家人には「トシだね」と云われたが

 

断じて「そんなことはない」と云い張る

 

今年の秋のおっさんであった

 

 

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オートバイで走る楽しみ

 

それは勿論いろいろあるよね

 

けれど秋の山里を走る時がいちばんなのだとボクは思う

 

その理由についてはもう毎年書いていることなのだけれど

 

…それほど毎年どうしても書きたくなるようなことなのだけれど…

 

この時期のキンモクセイの芳香と云うものは

 

なにものにも代えがたい魅力があると思うからだ

 

はっ、とその香りに瞬間撃たれても

 

実はその姿を見つけることはなかなか容易ではない

 

姿は見えないのにその香りは周囲の空気を

 

まるですべて秋色に染めてしまうのではないかと感じるほど強く

 

しかもそれはあまりに純粋な甘い芳香にもかかわらず

 

そこにはなんの軽さや薄っぺらさも感じさせないのだ

 

自然の、天然のもたらす甘美なこの体験は

 

人間の感性の原始の部分に直に訴えかけてくるものなのだろうか

 

 

先週よりも一枚多く羽織って山へ走りに行く

 

ひと雨ごとに秋は確実に深まっていく

 

ボクはほとんど平日にしかオートバイに乗らないんだけれど

 

秋の野山にはさすがにオートバイも増える

 

大型オートバイが多い

 

同じくらい原2も見かける

 

オッサン、というかジィサンが多い

 

大型も原2もね

 

かえって若い人の方が中型乗っているのかな

 

「ダウンサイジング」と云いながら

 

一度知ってしまった大型オートバイの魅力には勝てないのかもしれない

 

前回、ダウンサイジングの最低ラインを

 

エンジントルクを基準に考えたらどうかと提案したが

 

実を云うとエンジンパワーや車重の軽さだけでは埋められないものがある

 

そしてそれはオートバイを趣味として走らせることにおいては

 

むしろこちらの方が重要な要素なんだろうと思われ

 

つまりこいつを無視すると途端にダウンサイジングは失敗と云うことにもなるのだ

 

何か?

 

それは「味わい」「テイスト」だ

 

とは云うもののこれを形にして見せることはまず出来ない

 

数値化どころか言語化すら困難な符号だ

 

本当に感覚の記憶でしかない

 

 

前にも云ったとおりボクはレプリカ世代だ

 

2スト250ccが多分一番好きだ

 

あのチープな排気音とエンジンオイルの燃える匂い

 

4ストの4発がレッドゾーンに向けて雄叫びを上げるあの瞬間もたまらないが

 

軽くて素早くスピードに乗せる2ストの走りは

 

何物にも代えがたい忘れられない記憶だ

 

けれど

 

こういった「印象」や「特徴」は実はテイストにはならないものだ

 

デザインが、とか

 

空冷のバーチカルツインが

 

といった視覚的なものではない

 

「テイスト」味わい

 

良く分からないけれど感覚的にはこうじゃないかな、というのはある

 

多分間違っていないと思うが

 

それは、乗った瞬間

 

「あーこれこれ、これだよ!」ってなるやつだ

 

そしてそれはもう「いつも何度でも」

 

「♪呼んでいるー ♪胸のどこか奥でー」

 

全くそのとおりなのだ

 

 

似たような感覚に初見(ぱっと見)の新鮮さがある

 

もちろんこれも人によって違うものなのだが

 

例えばボクの話をすれば

 

モトグッツィの縦置きVツインだ

 

低回転のもっさりした印象は少し回すと一変する

 

軽やかに回転を上げながら

 

ブロロロロロロロッーと甘美なエンジン音に包まれる

 

 

BMWのOHVボクサーの「回転なり」みたいなケチ臭さは微塵もなく

 

もっと、もっと、とオートバイがライダーを誘惑してくる

 

その楽しさと興奮はグッツィだけの個性で

 

初めて体験するともう一気にメロメロになること必至だ

 

そう、初見ではね

 

ところが、だ

 

これ、すぐに飽きる(ボクの話ね)

 

飽きるというか、慣れる

 

慣れると「誘惑」が面倒くさくなる

 

ハーレーダビットソンもそれに近い

 

走らせた瞬間はプレーリーを突っ切って伸びるハイウエイを

 

淡々と駆け抜けるアウトローになった気分だ

 

周りから受ける視線もすごくて、正直、バカな気分になる

 

けどね

 

慣れるね、すぐ

 

ステップが遠くて、ハンドルが遠くて

 

重くて、うるさくて

 

あーいやだ(ボクの個人的な印象ね)

 

2スト250が経験を伴ったリアルな嗜好だとすれば

 

ハーレーダビットソンは子供のころからの単なる憧れからくる嗜好だ

 

まあ「イージーライダー」の影響だな

 

 

小学生のくせにヒッピーになりたいと結構真剣に考えていた

 

なんと云ってもロングフォークのチョッパー

 

大人になって、あれは乗りにくいよね、とすぐに諦めはついたけど

 

それでも大型2輪の免許を取ってからは

 

頻繁にハーレーの試乗会に行ったりするくらい

 

乗りたいなっていう気持ちは正直かなりあった

 

でも試乗すればするほど違和感が湧くんだよ

 

そもそも、みんなあの音がいいっていうんだけど

 

ボクはあの排気音はデカすぎてうるさいと思うんだよね

 

それと排気量も大き過ぎだから

 

デケッデケッデケッみたいなズババババッみたいな鼓動も

 

間が抜けた感じで好きになれない(ボクの感想ね)

 

でもまあ

 

そこに「テイスト」を感じる人は多いということなんだろうね

 

本当に人それぞれの感性ということだ

 

もちろん自分の好み以外をディスっているわけではない

 

だってボクが大好きなフラットツインなんて

 

鈍臭くて地味臭くて、オェーっていう人もいるはずだから(多いかも)

 

「テイスト」ってそれくらい個性があると思う

 

逆にそれくらいじゃないと「嵌れ」ないね

 

つまりは究極の好き嫌いってことだ

 

 

 

でもそんな単なる好き嫌いではないよ、と感じるほどの熱量がある

 

「かっこいい」

 

「よく走る」

 

「扱いやすい」

 

そのみんなが当てはまる様なオートバイなんて実はいっぱいある

 

なのにわざわざ中古車を物色してまで手に入れたい何か

 

そこに「味わい」という感覚を考えざるを得ないのだ

 

でも本当にそれを「これ」と見せられるものがないし

 

何度も云うがそもそも言葉にできない

 

いや言葉にはできるけど所謂オノマトペの羅列になりかねない

 

「定速走行時に感じるエンジンからの感触はスーッに近いザラザラ」

 

「もちろんザラザラというほどの摩擦感ではなくあくまでスーッ」

 

「ゆで卵の表面のような平滑感と云えばいいか」

 

これが何を指しているのか全く伝わらない

 

もちろんボクの語彙力に問題があるんだけど

 

書いてるボク自身も書くほどに違和感が湧く感じだ

 

 

BMWのR75/5から始まる所謂R247系が好きだ

 

空冷の2気筒2バルブOHV水平対向エンジン

 

このシリーズが生きた時代はオートバイの性能が大きく進化した時代だった

 

そのためフラットツインの存続さえ危うい時期もあったが

 

最後のパラレバーサスを持つR100ミスティークへ至るまで

 

約四半世紀にわたって改良が加えられ

 

途中、アドベンチャーモデルの元祖

 

GSシリーズを生み出しながらその系譜は現在まで受け継がれているのだ

 

 

ボクが初めて乗ったフラットツインはそのあとのR259系だ

 

ツアラーのR1150RTだった

 

クルマが買えるほどの金をつぎ込んで手に入れたBMWは

 

予想に反して意外なほどの粗削りなキャラクターだった

 

そして一度走り出したら最後

 

どこまでも行ってしまいたくなる「駆け抜けるよろこび」に満ち溢れていた

 

今まで乗ったどのオートバイよりも疾走感があり

 

今まで乗ったどのオートバイよりも一体感があった

 

ちょうど10年間所有したがRTで文字どおり日本中へ走りに行った

 

 

当時はもちろんBMWのディーラーにお世話になっていたが

 

そんな付き合いの中でふいにR100RSとの縁ができた

 

RSに対する当時のイメージは

 

それは学生のころレッドバロンで現車を見たときのものだが

 

あの恐ろしく幅の狭いハンドルと

 

大した印象も抱かせないのになぞに圧倒的なその価格の高さが大きかった

 

 

ただ、もうひとつ

 

永山育夫の雑誌記事で見た

 

早暁の東名高速道路を九州へ向けて疾走するR100RSの写真と

 

 

「10時間後。関門海峡を渡った。20年前のBMWでもそれは造作もない。現代のオートバイで果たして同じことができるものが何台あるだろう。」

 

という一文が頭の片隅にこべり付いていたのも事実だった

 

ほどなくボクの元にやってきたのは

 

2本サスのR100RS(銀ジィ)だった

 

そうして始まったOHVとの日々だったが

 

正直に云えば当時のボクにはR100RSは少し手ごわかった

 

けれど乗り込んでいくうちに永山が残した雑誌記事の中の文章が

 

それほどの時間を要さずとも

 

ひとつずつ消化されていくのを感じた

 

「人間の乗り物であるということをBMWはつぶさに考えてきた。だからこそ、R100RSとしての威厳と機能と魅力は今でもまったく褪せていない。馬力やサスや防風性では解決できない何らかの存在を、R100RSは今でも示唆している。」

 

この永山の「預言」のような一言がボクの脳裏に刻まれ

 

BMWが示そうとした「必然」に強く惹かれていったのを覚えている

 

けれどその思いが確信となったのは

 

思いもよらずそのRSを手放すことになった後

 

いつも心の片隅に意識される残り香のようなものに気付いた時だ

 

それはオートバイに乗りたい

 

という思いよりはるかに強い

 

RSに乗りたい

 

OHVのフラットツインに乗りたい

 

という欲求に近い感情だったように感じる

 

それに気付いてしまってからのボクは

 

まるで何かに突き動かされて彷徨う夢遊病者のように

 

もう一度RSを、と強く願うようになった

 

「RS 再び」とこのブログの再開にもつながったのだ

 

 

この十数年で世界は大きく変化したようにボクは感じる

 

IT革命はやはり世界を変えた

 

変えたがそれは単にステージが上がっただけだとも云える

 

世界はヘーゲルが考えたようにはやはり行かないのだ

 

進化とは何だろう

 

新たな市場を生み出すことか

 

それゆえに工業製品は常に進化を求められてきた

 

そしてその進化に背を向ける行為はこの世界ではもはや「死」を意味する

 

消費者のニーズは重要だがそれだけでは市場は縮小すると考えているらしい

 

ただ「趣味」の分野では「嗜好性」が最も重要であるはずだ

 

どうかオートバイという乗り物の本質だけは維持してもらいたい

 

人がかかわる乗り物

 

人が乗らなくては倒れてしまう乗り物

 

エンジンを操りギアを駆使しながら走る

 

走り出せばそこは自分とオートバイだけの世界

 

最後にもうひとつ永山育夫の言葉を

 

「機械の進歩もほどほどにしたほうが、人間として長い付き合いができるような気がするのは私のようなひねくれた中年だけなのだろうか。…ほどほどに愛しなさい。長続きする恋とはそういう恋だ…とシェークスピアも若い二人を諭している」

 

どうかそんな1台に巡り合えるよう願っているよ

 

 

 

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