◉自閉スペクトラム症の子どもとのレッスン

 

自閉スペクトラム症の小1女児と、個別レッスンをしています。

 

出会いのきっかけは、一年前の夏、母親が私のメルヘン講座に参加され、そこで学んだ手遊びを、家庭で子どもとやったところ、すごく喜んで模倣してくれたのが始まりでした。

それ以降、(去年の2021年10月から)毎月、新幹線で2時間かけて、奏身舎まで通って下さるようになり、8ヶ月経ちます。

 

  ※過去のブログ記事はこちらを

   ⇩

・言葉の中の“聖なる語りかけ”を「うた」で動く

https://ameblo.jp/eurytmie-sousinsya/entry-12708193320.html

 

奏身舎でのレッスン以外に、

家庭でも、私が教えた手遊びや運動遊びを毎日やってもらっています。

 

・あったかい心、まわそ(フェルトボールを使った手遊び)

・カエルがピョン(お手玉を使った手遊び)

・トコトコ遊び(子音での手遊び、運動遊び)

・お花が笑った(母音を使った歌のオイリュトミー)

 

などは定番で、それを毎朝、足の湯の後に、やってから学校に行くとのこと。

 

嬉しいことに、女児が来るたびに成長が著しく感じられるのです。

 

模倣できる遊びや動きがどんどん増え、お歌もしっかり歌い、言葉も出てくるようになりました。

集中する時間も増え、目線もだんだん合うようになってきたのです。

 

 

◉「排泄すること」と「目覚め、内外を分けること」

 

レッスン後、トイレに行ったAちゃん。

洗面所で、ママが後を追い、「すごいね!」と声を上げています。

 

実は、レッスン後に、これまでできなかった、「痰を、ペットと吐き出すとこと」が初めてできたのでした。(自分で洗面所に行き、洗面台のボールに向かって吐き出せたのです)

 

今日も、カエルの手遊びや、アイアイなどで、お手玉や毛糸ボールを投げ渡ししたり、

母音発声で前に向かって勢いよく跳ぶ・・こんな練習をしたのも関係があるのだと思います。

 

また、これまでずっと、オムツだったのが、ここ1ヵ月で、おしっこがトイレでできるようになったとのこと。これも嬉しいご報告でした。

 

排泄することは、目覚めることを意味します。

それは、内、外を分けることでもあります。

 

 

◉内外を分け、統合する自我

 

自分の体と、外の世界の境界線を感じ、

内側に溜まった要らないものを外に出す、それが「おしっこ」=排泄することです。

それ以外にも、

自我は自分の、内外を分けたり、それらを調和の中で結びつけ、統合する役割を担っています。

 

だから、他者の存在を、脅かすものではなく、安心して心地よいものとして感じ、互いのやりとりが感じられる、感情のこもった手遊びや、オイリュトミーの体験は自我を育てます。

 

それらを通して、

Aちゃんは、人と人との間に交わされる、生きた言葉、対話を、こうした手遊びを通して少しずつ育んでいるところです。

 

 

◉「魂の保護を求める子どもたち」

  

   ※シュタイナーの治療教育とキャンプヒル治療共同体村の成果について語られています。

 

トーマス・ヴァイスは「魂の保護を求める子どもたち」において、幼児期の「自己体験」についてこのように語ります。

 

以下は、引用、要約したものです。

 

2歳から3歳にかけて、子供が初めて「自我=わたしであること」を意識する瞬間は、それまで楽園だった世界が、「私は・・・です」という自己体験によって、

周囲の世界と分たれ、切り離され、周囲を「別物」であることに気づいてしまう・・それは子どもにとって、稲妻に打たれたような、衝撃となる場合があり

そうした時に、子どもは、自我を受け入れることができず、パニック反応を起こしてしまう。

 

強烈に、唐突に襲いかかる自我の目覚め、それが自閉症を引き起こすことに繋がる。

 

自閉症の子どもたちには、特にかわいい子供が多いという点にも同じような説明がつく。

 

彼らの多くは、形の整った大きな頭をしていて、賢く、天分豊かだ。

 

1番高い教会の先頭に雷が落ちる確率が高いのと同様に、

天分豊かで感受性のつよい子供に、

目覚めた自我の力が強烈におそいかかる確率は高い。

 

それゆえに天分豊かで感受性のつよい子供ほど、自閉症にかかる危険が大きいのだ。

 

 

これを読むと、自閉症の子どもには、大きな、豊かな才能と天分を伸ばす可能性があると感じられますし、私自身の実際の経験の中で、頷けることが多いです。

 

なので、

こうした子どもたちへの治療教育では、次の点が大切だと思います。

 

自我が受肉しようとする時、

不安や恐れを伴わないように配慮し、

自然であたたかな雰囲気の中で

子供が受け入れられるような自己体験として、

無理のない、

受肉を支える教育、療育であること。

 

 

◉どのように「言葉」と出会うか。

 

それには「言葉」というものをどう体験するかが、非常に重要になってきます。

自我は言葉によって支えられるのですから。

現代では、多くの大人は、言葉を使うとき、知的な意味内容の伝達に終始してしまいます。

しかし、受肉の途上にある、子どもたちの言葉の世界は別様であるべきです。

知的な言葉の体験は、世界を冷たく分けるだけになり、結びつけることが難しくなります。

それを、あたたかな心のこもったものとして、言葉を体験するために、

 

幼い子どもたち、特に、自閉症の子どもたちとは、

うたを歌いながら、体を動かしながら

体験させてあげると良いのです。

 

 

◉体の動きと言葉の発達

 

体の動きと言葉の発達には大きな関連があります。

毛糸ボールを使った手遊び「アイアイ」でも、現在Aちゃんは、相手から受け取ることできても、相手にポーンと投げ渡すことが、まだうまくできません。

 

それは、息を放ち、内から外へ、相手に言葉を放つことと、

歌と共にボールを相手に投げるという行為が、同質のものだからです。

 

Aちゃんは、他者の自我を感じることができるようになってきている。

でも自分自身を、一人の自我存在として、受け入れ、それを相手に伝えることに、まだ躊躇いがあるようです。

 

 

◉情緒の発達と人と交わる能力の発達

 

すぐできなくても、焦ることは必要ありません。

繰り返し、繰り返し、

こうした二人でするボール投げや手遊びをすることで、大きな可能性が生まれます。

それは、情緒が豊かになり、人と交わる能力が発達することです。

 

 

 

 
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