芸大


このところ、かなり頻繁に上野に通っています。



十数年振りに母校の卒業制作展を観に行ったり、オルセー展に行ったり、大学に用があったり。

昨日は手続きに行ってきました。

なんとか決定した次なるビジョンのために、取り損ねた講義を履修して国家資格を得るために。

何やってんですかって感じですかね。



どうしてあの頃は最低単位で卒業することばかりをめざしていたんだろう。

教務で貰った「平成19年度、授業計画」をめくれば、当時これっぽっちも興味が無かった山のような講義のタイトルが、目映いばかりに私を誘う。

全てがマクドナルドのスマイル価格だったのに。

今、私は1単位につき15,000円近くを払うことになっている。

しかも、許された範囲以外は、取りたくても取れないときている。


そうは言っても、あの頃なにかを余分に学ぼうと思ったところで、私のスポンジは他のもので潤され満たされ切っていたから、それ以上になにも吸収しなかったのかもしれない。

スポンジは、ある程度乾いていないと吸収しないということか。



目立つんだろうな、と覚悟して並んだ受付は、驚いたことに私より年配の方々が何人もいらした。

そういえば、学部生だって、ここは老けていたのだと思い出した。

途端に心地良く脱力して、永遠に時が止まっているこの大学に完全に属してしまう。

夢のモラトリアム。

そこに行ってはいけないのですが。



相変わらず手際の悪い教務は、職員が変わっても体制は一生変わらない。

ようやく受理され、一休みしようと思ったものの、私達がこよなく愛した学食の建物は中途半端にモダンな施設に生まれ変わっており、気分じゃないので、通りを隔てた音楽学部の学食を選びました。

喫茶室のおじさんが今も変わらず元気で桜の花びらを掃いている姿に少し感動して、美術学部を眺められる窓際の席を確保して雪のように降る桜を眺めながら、幸せを噛みしめつつストーンと学生時代にワープしてしまった私。

ナゼかというと、私が履修を告白したら「あたしも一緒に行く」と、女生徒がくっついてトイレに行く感覚で、理由も無く共に履修生に登録してしまった予備校時代からの親友Y子の笑顔が目の前に……。


美人で老いない彼女は、私に勘違いをさせる。

オトナになる為に決起した気分をズタズタにされながらも、あまりの幸福に脳味噌も融けてゆく。

どうなってしまうのでしょう?






帰り道、根津駅に向かいつつ道すがら、音校キャンパスの鉄柵を取り込む勢いで巨大化したド根性な樹を発見。

「ネタ発見だよ」とカメラにおさめる私の姿に、「Mちゃん凄いね、こういうことも心がポジティブじゃないと気付かないんだよ」とY子。

彼女は彼女で色々と、辛くて憂鬱なこともあるらしい。

ポジティブシンキングとか風水とか占いとかおまじないとか、どんなにワケが分らない話をされたって、今なら私が受けとめてあげよう、と思える自分は少しは成長したか。



時計の止まったアドレス、台東区上野公園。

アフリカに帰りたい動物のいななきが、その日も私の鼓膜に薄く響いたのでした。



* * * * *


日本酒利酒師資格、合格通知が来ました。
4万払え、それから年会費を引き落とせる口座を教えろ、と書いてある。
メリットが無かったらすぐに退会してやろう。

東京ミッドタウン。

少なくとも1ヶ月は全然行く気などなかったわけですが。


「明日は雨模様、桜は今日で見納めだ」と重い腰を上げ、珍しく花見散歩に出かけたのであります。

家を出て、東か西か南か北か、どちらへ向かうかで見る桜も当然違ってくるわけですが、特にこだわりのない私達は北方向にちょっとした用事を思いついたので、とりあえず北へ向かいました。

用事を済ませて更に北上、青山墓地にぶち当たります。


墓地桜

コンビニで買った「千疋屋・銀座カクテルマンゴ」をジュースのように飲みながら、花曇り満開の樹の下をそぞろ歩いたのでした。

空きっ腹に微量のアルコールで「ぽわん」とした気分で眺める桜は大変綺麗です。

墓と墓の間にビニールシートを広げてはしゃぐ平和ボケしたヨッパライの方々や、見ず知らずの方のお墓の土台に座り込んで吐きそうな女のコなども、優しい目で眺めてあげられます。

外人墓地の辺りには、ちゃんと外国の方が多く集っていらっしゃいます。

墓地だというのに、例年の如く焼き鳥屋、たこ焼き屋、クレープ屋、焼きそば屋、磯辺焼き屋、お好み焼き屋などが軒を連ねています。

漂ってくる芳しい香りに、「おなかすいた」コールがかかりました。

「そういえば朝からロクなものを食べていない気が」
(この時点で4時半過ぎ)

いてもたってもいられず、5時から開店する坂の下のラーメン屋へ直行したのです。
(ラーメンがロクなものかどうかは、この際では主題になりません)

途中、目の端に祖父が眠る墓をみとめましたが、桜と酔っ払いの方々にまみれて幸せそうに見えたので(祖父もアル中だったので)、心の中で手を振るにとどめ急ぎ通り過ぎました。


地獄ラーメン

私は行列のできる系、凝った系のラーメンには、基本的には興味が無いのですが、まずここが居酒屋風な「ヘルシー」メニューを色々と揃えていることと、ここの地獄のような味噌焦がしラーメンと、ぬる燗純米酒とのマリアージュが絶妙で、「いかにも」な味を舌が求めている時には繰り返し通ってしまうのです。

腹も満ち、適度に酔い、ゴキゲンな気分で店を出た所で目の前にドーンとそびえる東京ミッドタウンを発見。

「なぜ、こんなところにミッドタウンが」

来るときは脇目も振らずに突進していたので気付かなかったらしい。

思えば、墓地からの人の流れがやけに多いと思い、全員ラーメン屋に並ぶのかと思い込んで追い抜き追い越し大慌てだったのだ。

「やけに近いね」

「5分て感じだね」


ということで、大変ヒマだったので、行ってみることにしたのでした。

東京ミッドタウンツアーは、ここから始まります。


新美術館

途中、まだ訪れていない「国立新美術館 by 都知事候補」を眺めながら進みます。


2121-3

「案外悪くないじゃん」

と、何様コメントを披露し合う私達、ここでも美しい桜並木を通り抜け、先ずは安藤忠雄設計の「21_21 DESIGN SIGHT」へ向かいました。


折り紙を折ったような建物は、暗い芝生の広場の中で発光して美しく見える。

仕様は相変わらずのコンクリート打ちっ放し。

中では「安藤忠雄 2006年の現場 悪戦苦闘」なるものが開催されていました。

「本格的な企画展を前に、完成直後の建物を公開することにより、建築空間そのものを体験していただく試みとなるこの企画では、建築模型・写真・ドローイングなどを併せて展示し、完成までのプロセスを紹介します。」

ということでしたが、この建物自体を含め、表参道ヒルズ、まだ竣工されていない渋谷駅、上野毛駅、東大の施設などのドローイングや建築模型を展示。

「ほっほー、渋谷はこんなことになるのか。なんでもいいから早くなんとかしてくれ」

「やだ、上野毛はいじってほしくない」

などなど、ド素人根性丸出しで勝手なコメントを披露し合う私達。

2121-2

つまらなくはなかったが、仕事で使った模型やらを展示するだけで千円は高いのではないかと、建物自体を見せるったって自分らで勝手に作りたくて作った建物だろうがと、吠える夫をなだめつつ、次へ向かったのでした。


太鼓橋から

「21_21 DESIGN SIGHT」から手っ取り早く建物内に入ろうとすると、太鼓橋のような橋を渡ることになります。


太鼓橋上から見下ろす車道の桜並木がまたほんのり美しい。

しかし、建物に入って先ず絶叫することになります。

右手にワンコグッズショップがあり、一番目立つガラス張りの大きな空間の中にトリミング用の台が規則正しく並び、その台の上に犬が一匹ずつ乗っていて、お行儀良くカットされている姿が気絶するほど可愛いのです。

犬カット

ショップには、人間の目にも大変美味しそうな超グルメドックフードや、そこいらの子供が着ている服より高価そうなウェアなどが、所狭しと並んでおりました。

そして、カゴに入ってトリミングの順番を待つワンコなどもおりました。

犬セレブです。


いよいよ内部全景ですが、竹や和紙が随所にあしらわれ、とても和風な空間となっておりました。

東京ミッドタウン

ショップも総じてそんな雰囲気で、ナチュラルでロハスでアイボリーでベージュな感じで、そうなると今度は「もっとアクの強いものが見たくなってくる」という、人間とは面倒なイキモノでございます。

一流ブランドも色々入っています。

たぶん、銀座にあるリステアの完全予約制の「スウィートルーム」ってものが目玉だと思われます。
選ばれた顧客の方しか入れません。 
ゴールデンウィークまでは、「シャネル・フォー・リステア」ってことです。
一般人には関係ありません。


デパ地下もございます。

でも、単なるデパ地下ではありません。

D&D

まず、ディーン&デルーカです。
品川のアトレにある店舗くらいの広さは(たぶん)あります。
ハムやチーズの品揃えも、だいぶイイ感じです。

AOKI

スイーツショップはサダハル・アオキです。
ジャン・ポール・エヴァンには見向きもせず、皆さんこちらに向かいます。
有名な青木パティシェがお店の内外をうろうろしておられましたが、目の前の輝かしいスウィーツ類に釘付けのカスタマー、誰も気付いておりませんでした。

虎屋

巨大な虎屋さんなんかもあります。
赤坂では大抵売り切れているような生菓子も、こちらではふんだんに用意してあります。
カフェもあります。

ABC クッキングスタジオ(「plus International」の文字あり)もあります。
英語の授業なども用意されているようです。

店は色々あって見きれず、見る気もなく、今度ヒマだったらまたご飯食べにでもこようかね、ということで後にしました。


六本木ヒルズや表参道ヒルズの開業時並の異常な混みを想像しておりましたが、落ち着いたもので、そういうメガなものにもはや反応しなくなったのか、どの店を覗こうが、どこでお茶をしようが、どこで食べようが、全て可能に見えました。

また、何度行っても迷子になり、何処に何があるのか把握しきれない六ヒルと較べ、大変見易く憶え易い、来たる高年齢社会に適応する空間と感じます。


おヒマだったら、桜のあるうちに行かれてみても良いと思います。


ということで、お疲れさまでした~。
ラッドコレクション

三月最終金曜日。


恵比寿ガーデンホールで、ラッド・ミュージシャンの秋冬コレクション。

「音楽と服の融合」をテーマに表現し続けるブランドだが、今回のショーは驚くほど長いランウェイに、今更ながら徹底的にストーンズ。

猛烈な情熱と退廃のパラドックス。
いつも心骨削って創作している姿勢は、デザイナーと接することで窺い知れる。

服は繊細できれいなのに、今回のタイトルは恐るべき破廉恥さである。
(ココには書けません。そもそも、雑誌に書けるのだろうか?)

でかでかとタイトル名が描かれ、デザイナー自ら撮影したトンデモナイ・グラフィックがあしらわれたスタッフTシャツは、「要るか?」と問われて「イラナイ」と即答する。


バックステージ。
紙コップのシャンパンが配られる中、ショーが無事引けてハイになったモデルがテーブルの上でドンペリをラッパ飲みする姿などを傍観する。

部屋の奥の、人垣のそのまた奥に、サングラスをかけたままでひっそりと微笑むデザイナーをみとめる。


目の前ではVJ宇川直宏氏が、森美術館で予定されている個展で「人工ハリケーンを作る。んで、舞い散る札ビラが顔に当たる」というぶっとんだ構想を披露されていた。

いつも、「よくそんなこと考えつきますね」とドン引きしがちなセンス。強烈。

長い歴史の中で「本流」とされるものがあって、一方「サブカルチャー」と認識されるものがあるけれど、ある程度のコンセンサスを得られればサブも文化となって成就するわけだ。

だって、森美術館デスヨネ?

その宇川氏の奥様から頂いた愛犬のステッカー、抱いているのは最近ホットな某県知事。
「だって私、あちらの出身で」とおっしゃるが。
どういうネットワークですか。


私の横にデザイナー妻の親友の美人女優。
やや緊張しながらつらつらと話すうちに、「よかったら」と渡されたカード。

表ど真ん中に「美神伝心」というオリジナルなワード。

「す、凄いな」と思いつつ、このお方は自らの人生の中で美の伝授と美貌の表現に真摯に取り組んでおられることを思い出す。
そんじょそこらの「キレイな人」ではない。

「なるべく毎年一冊本を出すことにしているの」と前に聞いたことがある。
「最近DJ始めました」とも聞いたことがある。

私より年上である彼女は、その象牙のような肌も含め、30センチの距離でじっくり眺めても恐い程に美しい。
そして、アグレッシブで賢い。
こういう女性ならば、言葉はキライだが「イイオンナ」という表現もしっくりくる感がある。


福笑

その後、女達だけで飲みに行く。

桜満開の店内。

アルゼンチンでのロケ仕事がキャンセルになって、コレクション鑑賞がかなったデザイナー妻は、

「ゴールデンウィーク中にキモノ着てDJやるから来てね」

と、相変わらずのパワフルさである。

義妹に旦那の所在を訊くと、「アムステルダムかミュンヘンかその辺」と答える。
「おたくは?」と訊かれて、「送別会らしい」と答える。


三月の最終金曜日。

サラリーマンは忙しい。

そして世は東京ミッドタウン開業。



どんなカタチでも、表現することをやめてはいけない。


明日から四月です。




先日、職場のパーティの幹事を任されたのですが、ゲスト集めから、フードの調達、セッティング、会費の設定&回収等々……、全員がやたらに忙しい最中に色々とやることが多過ぎるので、何か良い方法は無いかと思案いたしました。


・ 職場の改築前の「一旦さよならパーティ」なので、物理的にスタッフは業務でヘトヘトである。

・ かと言って他所にケータリングを頼む訳にもいかない(我々がケータリング業)。

・ 「お世話になった方々」をお招きするパーティに、「会費」とは、せちが無い感が否めない。

・ しかし全部自費では賄えない。

・ なるべくオリジナリティーとサプライズのある演出にはしたい。

・ しかし、あまり凝ったことをする余力も無い。

・ 全員参加型の活気あるパーティにもしたい。


考えた末、自社オリジナルのパーティボックス(内側が耐水耐油の紙箱、23センチ角)空箱を、「当日コレに何でもいいので、パーティを盛り上げる何かを詰めてお持ち下さい」というお願いと共に、図々しくもゲストの方々に「インビテーション」というカタチで送り付けてしまいました。

結果、大盛況。

しかも、


・ 何の準備も必要無かった。

・ 会費も取る必要が無くなった上、予想を遥かに超えるゴージャスなメニューになった。

・ ロゴ入りの箱が並ぶことで、自ずと場に統一感とオリジナリティーが出せてしまった。

・ 思いも寄らない箱の数々で、サプライズの連続だった。

・ 誰かが到着するたびに箱に注目が集まり、ゲストの方々にも参加型で楽しんでいただけた。

・ スタッフも各自箱を持ち寄ることで、仕事と離れたところでの独自性が発揮できた。

・ ケータリング業という立場において、新たなメニューのアイディアを得る機会にもなった。

・ 最終的には、片付けが驚く程簡単に済んだ。



とにかくゲストのクリエイティビティに脱帽。


薔薇飯
薔薇の花びらの炊き込みご飯

餃子
手前、素人による創作餃子と、奥、玄人による料亭の味詰め合わせ

ケーキ
ショートケーキ。こんな美しい箱使いと、

鯛
下ろしのプロによる鯛の刺身。このように大胆な使い方も。

チョコレート
オシャレチョコレート。市販品の美しいアレンジ。

たこ焼き
しかし一番人気のたこ焼き。焼きたての熱々を大急ぎで運んでくれました。
皆「やられた」と唸った作戦。

一番笑ったのは、

イカ星人
イカ星人と、

タコ星人
タコ星人。
創作巻きです。意外なことに味も素晴しい。

入浴剤
こんなモノまで(入浴剤)。
帰宅後のリラックスという心遣いか?


第二テーブル

第二テーブルまで満載で、まさに酒池肉林。


連弾

BGMはピアノの連弾。
愉しい宴は果てしなく続いたのでした。


皆さんの隠されたクリエイティビティに驚き、尊敬するとともに、自分も精進せねばと思ったパーティでした。


たまの持ち寄りパーティも、思わぬ感性の刺激になるものです。

如何でしょう?



どうせまだ誰も見ていないブログで何が起ころうが、別に誰にもご迷惑はかけないだろう、ということで、タイトルを変えて、ついでにデザインも変えました。

ようやくスッキリ。

私は生涯学習がしたいのではなくて、パーティに関わるありとあらゆることを楽しみ、生業にしたいわけで、その為に色々なインプットが必要だと思っております。

なので、ここは日記をベースに、学習とパーティに特化した場所にしたいと思います。

ヨロシク。