2021年、最初の絲山作品、このタイミングで読むべきだったのか?
叔父、叔母、鎌倉の別荘、娘や姉、弟との関係、鍵穴のない家
人生の過去を振り返る物語
親父が亡くなった時に先祖の事を調べて証明書をお寺に持っていくと
「あなたの先祖はお坊さんだったのね」と女将さんから言われた。
祖父のお店を潰さないように、沖倉商店を継いで、沖山家の墓も守ってきた。
同時に祖父や祖母が残した土地や家の事も、いろいろと調べたりした。
横座という場所に祖父が他界した後、祖母が過ごした家が残されている。
そこには親父の姉が長年住んでいたが、他界して空き家となった。
土地は親父の二番目の兄(既に他界した)の登記した土地なので何もせずにいるが、
本来は、その昔、祖父が長男の病院を建てるために、購入した土地だったそうだ。
旧制水戸高校から医学部に進み、三宅島で診療所を開業する予定だったとか
ところが若くして、いろいろとあったそうで、進路が変わり、沖倉商店をやることになった。
祖父の想いを汲んで残すのなら、あの場所は診療所になるはずだったという事になる。
ふと、この本を読んでいて、次の噴火があって島を離れる事があれば、
母方の実家で祖父の墓のある高崎に行くのかな?と頭に過った。
今は独身の叔父さんが、その実家の群馬八幡に住んでいて、
選挙の時には高崎の「必勝だるま」を送ってくれる。
誰かが墓を守らなければいけないとなると、いつかはそうなる。
三宅島の沖倉商店も、高崎の祖父の墓も、もう誰も引き継ぐことはない。
どちらの家も、最後の血を継ぐのは、自分しか存在しないのだから。
現代において子供のいない家族や子供や孫がいても、一生戻ってこないなんて
あたりまえの世の中になっている。
「末裔」を読んで、現実を思い、少しだけ寂しい気持ちに苛まれた。



