一英語教師の読書ノート -2ページ目

Harwood, N. 2005. "‘Nowhere has anyone attempted

Harwood, N. 2005. "‘Nowhere has anyone attempted . . . In this article I aim to do just that’ A corpus-based study of self-promotional I and we in academic writing across four disciplines", Journal of Pragmatics, 37: 1207–1231.

   伝統的に論文では三人称の使用が是とされてきたが、近年I とweの論文における使用の必要性が高まり利点が少なからずあるということを著者は主張している。

Yoon, H. & Hirvela, A. 2004. "ESL student attitu

Yoon, H. & Hirvela, A. 2004. "ESL student attitudes toward corpus use in L2 writing", Journal of Second Language Writing, 13: 257–283.


   コーパスを使用したライティングの授業について教師の側からの研究は近年多いが、学習者に着目した研究は少ないため、コーパスを使用した授業に対する学習者の評価について考察したと著者は言う。アメリカで学ぶ英語中上級者を被験者とした本論考によると、評価は概ね肯定的だったが、導入に際しレベルに応じある程度の指導は必要とのことだった。

   おそらくこの中級というのは日本の大学生で考えるとわりと英語ができるやる気のある学生に相応するだろう。導入する場合は対象学生はかなりしぼられるだろうか。

   前半の先行研究への言及の箇所はよくまとまっていて参考になった。

Boulton, A. 2009. "Testing the limits of data-dr

Boulton, A. 2009. "Testing the limits of data-driven learning: language proficiency and training", ReCALL, 21-1: 37-51.

   Data driven learning (DDL)はある程度英語力・やる気のある学習者向けとされているが、英語力の高くない学習者であっても実践可能であると、フランスの大学一年生(英語学習暦6.6年、TOEICスコア450点ほど)の英語授業での導入経験をもとに主張している。

   TOEICスコア450点の学生が、英語力・やる気ともにそれほど高くない学生とされているという本題からはずれたところで驚いた。私が現在勤めている中堅私大では、TOEICスコア450点は上位クラスだ。他クラスと比較してやる気があると常日頃感じている。私の学生への期待が低いということなのだろうか。いずれにしても、日本の大学一年生でTOEIC450点取得者は、難関大学の学生でないかぎり英語力・やる気が低いとはされないだろう。このことは、日本の中高での英語教育が他国に比べ効果をあげていないことを示唆しているということになるだろうか。