一英語教師の読書ノート -4ページ目

Seven Short Stories by Katherine Mansfield.

Mansfield, K. 1981. Seven Short Stories of Katherine Mansfield. 三修社。


 前の記事(Strange Stories)で書いたように、テキストの語彙について考えつつ読み返したうちの一冊。教師になった年に使用した。個人的には好きな作家だけれど、単独作家のテキストを、いくら文学専攻の学生の講読の授業とはいえ、ゼミでもなく強制必修のクラスで採用したのは、今思うと配慮が足りなかったように思う。単独の作家のテキストだと、好みにあわないと一年間辛い思いをさせてしまうからだ。私自身も学部生の時、強制必修の授業のテキストが『蠅の王』で、どうしても好きになれず授業が楽しめなかった経験がある。ちなみにテキストの収録作品は、"Her first ball", "The garden party", "How Pearl Button was kidnapped", "The little girl", "The fly", "The wind blows", "Bank holiday".


Strange Stories British and American

Strange Stories British and American. 1997. 桝井幹生・山口美知代編、三修社。


 ここ数週間ほどテキストの語彙について考えながら何冊かのテキストを読んでいた。これは文学専攻の学生の講読クラスで何年か愛用していたが、数年前「20世紀以降の格調高い散文を扱う」から「(文学等)特定分野に偏らないように」と方針の変更がうちだされたため、使用しなくなった。久しぶりに読み返したが、バラエティに富みいいテキストだと思う。もう使用できる機会がなさそうなのが残念。収録作品は、Graham Greene I spy, Richard Kennedy The Porcelain Man, Elizabeth Bowen The Demon Lover, Ursula Le Guin The Wife s Story, Muriel Spark The Dark Glasses, Kate Chopin The Story of an Hour.

Cameron, L. Teaching Languages to Young Learners

Cameron, L. 2001. Teaching Languages to Young Learners. Cambridge: CUP.


3章"Learning the spoken language"について


 学習を促進するためには、児童にとってディスコースの意味と目的が明確である必要がある。アクティビティが難しすぎると一語・定型句で返答しがちなのでレベルにあわせることが大事であり、発話を促進するには個人的な意見や選択が必要な状況にするとよい。短いアクティビティがいくつか提示されている。

 紹介されているアクティビティが児童向けにゲーム的要素のあるものが含まれていることをのぞけば、書かれていることは成人学習者にもあてはまる。内容は大方経験的に既知事項だが、著者が例示するクラスの生徒数が7名なのが興味を引いた。教員が児童の能力・興味にあうよううまく誘導して発話を引き出している例が掲載されているが、それができるのは少人数だからだろう。児童の力をのばすには教師の気づきが大切と書かれていて、その通りではあるけれど、自分が担当するクラス(20名から40名)で同様にきめ細かく対応することはできない。15名までならできるだろうか?コミュニカティブな授業には少人数クラスが不可欠、といつものように思った。