の続きです
２週間後に来た
神谷さんは
全身筋肉痛でした
そうです
バレーボールの社会人サークルに
行ってこられたのでした
何処を触っても
「イタタタ・・・」という彼女でしたが
痛いのとは裏腹に
すごく楽しそうな顔で
サークルの話をしてくれました
彼女の話によると
大阪にある社会人サークルで
職場からのアクセスもよく
仕事帰りに立ち寄ったそうです
男女混合で
２０代から４０代
約２０人ほどが参加していて
「同じ歳の、独身の女の子も居たんです！」
というところは、
一番声を大きく話してくれました
背中のお灸の時間がやってきて
神谷さんは眠り
その日は
私も映像を見る心つもりが
出来ていました
目の裏に
ぼうっと映像が浮かびます
あの長屋が並ぶ大通りではなく
もっと緑の多い場所が見えました
あれは・・・鳥居？
ここは・・・神社？
すると、石段を登ってくる
若い女性の姿が見えます
あの着物の柄は
あそこで
うずくまっていた彼女の
着ていたものに似ている・・・
彼女は小さなお社の前で
二礼二拝すると、手を合わせました
口元が小さく動いているのは
何かをご祈念しているのでしょう
最後の一礼を深々としたあと
くるっと踵を返すと
満足した表情で
小走りに石段へ向かいました
（何をご祈念していたんだろう）
と思った時
一瞬、彼女の姿が消え
次に見えたのは
階段で転倒したのか
階段下で
痛そうに起き上がろうとしている
彼女の姿でした
そこで、映像は暗転
次に見えたのは
あの人の行き交う大通り
人だかりと、その中心で
うずくまって頭を抑えている女性
やはり
神社にいた彼女でした
筋肉痛で疲れているせいか
神谷さんはまだ眠っていましたが
私は先に
映像から戻っていました
そして
彼女を起こさないように
いつもより柔らかい手技で
施術を続けながら
先程見たことを
頭の中で反芻していました
神社に居た女性と
大通りでうずくまる女性
同じ人だった（と思う）
彼女は何を
祈っていたのだろう・・・
時系列が間違っていなければ
大通りで頭を押さえていたのは
神社の階段で
転倒したことが原因？
それにしても
一番分からないのは
どうして神谷さんに触れると
あの映像が見えるのか？
あれは
彼女の前世なのだろうか・・・
その日
施術が終わっても
神谷さんは眠っていました
私は「神谷さん、終わりましたよ」
と彼女を起こし
着替えをお願いして
部屋を出ました
帰り際
「サークルに通うことにします」
といった彼女は
２週間後の予約をとって
帰っていきました
続く
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