Netflixにて配信され、
一部の劇場でも公開中のこの映画。
映画史に燦然と輝く名作「市民ケーン」。
その脚本を書いた、ハーマン・J・マンキーウィッツが、
いかにして、この傑作シナリオを執筆したか、
彼の執筆の様子と
そこの至るまでの回想から構成された、
来年のオスカーも期待される、
デヴィッド・フィンチャー監督の最新作よ!
以下、ネタバレもありますゆえ、ご注意。
しかし、、、
これは、観る人間を選ぶ、
何とも、辛口な作り方をした作品だわ〜
私がまず思ったのは、
あ、これって、
フィンチャーの
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
でもあるのかな〜
って、ことだった。
でも、ずっと見ていると、
そればかりでなく、
もっと言いたいことがあったのか、
ということもわかってくる。
で、
見ている間中、
登場人物や場面の様子に
いちいち、「脚注」を付けたくなる、
そういう、
もう、情報が溢れかえってて、
それを整理しながら見ていくのは、
基本的にそのへんの知識と情報がない人にとっては、
かなりの苦行映画ではないか、、、
とも、思えるんですよね。
タランティーノのあの作品と違って、
こちらは、もう、渋いの一言で、
エンターテイニングな要素が、実に少ないし。。。
かくいう私も、
この当時のことは、
リアルタイムで知識があるわけでもなく、
第一、元になる「市民ケーン」からして、
過去に、二回ほど見てはいるが、
あれが、傑作、という評価には、
今イチ、理解不能なところもあるし、
映画として、好きかと言われると、全然、好きじゃなかったし、
そこへの愛着がないので、
その脚本家の話、と言われても、、、、
というところはあるんですね。。。
ただ、映画好きとして見ると、
「市民ケーン」のモデルと言われた
新聞王ハーストは、
あんなにあの映画に圧力をかけてきていたのか、
実際に、
マンクとハースト、彼の愛人マリオン・デイヴィスは
かなり、親しくしていたんだな、
ということもわかって、
そういう人間関係は興味深く観れた。
ハーストといえば、
彼がお城のような邸宅を作り上げた
サン・シメオン、とても有名だけど、
(昔、昔、初めてビジネスでカリフォルニアを訪問した時、
仕事関係の人がビッグサーまでウエストコーストドライブで連れて行ってくれた。
その際、サン・シメオンに寄るかどうかって話に出た。けど、
彼が運転していた、確かホンダのシビックだったと思うけど、
調子が悪くなって、そんな寄り道をする気分ではなかった、
この映画を見ていて、そんなこと思い出しました)
そこに、
大勢のハリウッド映画人が集うシーンも出てくる。
あのチャーリー・チャップリンですら、
ここでは端役扱いで登場よ〜!
そこにいるのは、MGMの創設者で
まさにタイクーンであった、
ルイス・B・メイヤー、
マンクの弟で、
後に「イヴの総て」「裸足の伯爵夫人」
さらには「クレイパトラ」も監督した
ジョセフ・L・マンキーウィッツ、
今やオスカーに欠かせないアービング・タルバーグ賞の
ご本人、タルバーグも、結構重要な役どころで出てくる。
で、彼が「ノーマ」と呼んでいるのは、
妻で女優のノーマ・シアラー。
彼女の名前は知ってるけど、
映画はさすがに見たことなしです。
それと、
脚本家のチャールス・マッカーサーも登場。
彼も有名だったけど、
私は、「スペンサーの山」のジェームズ・マッカーサーの養父、
としてしか知らなかった。
また、
オーソン・ウエルズの秘書みたいに動き回っているのが、
ジョン・ハウスマン
え、私の知ってるハウスマンじゃないよね、
とリサーチしたら、
やっぱりそうで、
彼は俳優としても活躍。
私が知っているのは、「ペーパーチェイス」でした〜
他にも、デビッド・O・セルズニック
「風と共に去りぬ」などの大プロデューサー。
ベン・ヘクト。
彼も有名な脚本家で、プロデューサー。
その他、
役者たちもチャプリン以外にも出てくるが、
ほとんどセリフが一言ぐらい。
で、この映画、
いかにも、あの当時のハリウッドの雰囲気を作り出そうと、
モノクロで展開する。
昔、フィルムで撮影していた時に、
フィルム交換の際の印として、右上にパンチが見えるけど、
それも、ちゃんと再現している。
ただ、デジタルで撮影して、
フィルムっぽく、そこだけ見せている、
という感じはすぐにわかる。
それと、
今起こっていることと、回想の二部構成、というのは、
確か、「市民ケーン」でも、そのようにしていたかと。
このシナリオは、
実は、フィンチャーの父親ジャック・フィンチャーが
以前、書いていたものを息子がずっと温めていたものらしい。
で、ここで注目したいのは、
映画製作の面だけでなく、
カリフォルニア州知事選挙の模様が大きく扱われている点。
当時、共和党のフランク・メリアムと、
民主党からは、アプトン・シンクレアが出て、
マンクは民主党を応援しながらも、
ルイス・B・メイヤー主催の共和党応援の投票日パーティーに出席する、
というシーンも出てくる。
メイヤーは、シンクレアのことを「ボルシェビキ」
などと呼んでこき下ろすし、
ハーストの指示でフェイクの動画まで作って、
アンチキャンペーンが展開される。
フェイク動画を作ったシェリー・メトカーフはその後悔に苦しみ、
やがて、拳銃自殺を遂げるのだ。
この名前は実在しないが、モデルはいて、
それを指摘している記事をアチラのサイトで発見。
興味のある方は、覗いてみてください。
ちなみに
この候補に立ったアプトン・シンクレアだけど、
あの作家のシンクレアが
政治活動もしていたとは!?
彼は「石油!」という小説を書いているが、
その映画化が、
ダニエル・デイ・ルイス主演「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」ですよ〜
というわけで、
この映画は、
「市民ケーン」の誕生までの経緯と、
ハリウッド黄金時代の頃の空気感を、
知事選挙を挟み込み、
重層的に浮き彫りにさせる
という、なかなか、凝った趣向。
フィンチャーは、
新聞王ハーストの存在に
今のトランプを重ね合わせているのか。
要は、
30年代を描きながら、
そこに今のアメリカを投影している、と言える。
ただ、
話の展開は、なかなかに重くて、
時々、退屈な感じもあり、
最後まで一気に見せる力技としてはどうなんでしょう。
でも、それは、
この映画のあまりにも多彩な題材の複雑さ、多相性、
全てを合わせての情報量のハンパなさもあって、
一回見たぐらいでは、理解できない、
深いテーマ性もあるに違いないと思っている。
やはり、2度見て、もっと理解しないと。
でも、二回、見るの、結構キツいかも><
で、これは、
絶対に分厚いパンフレットが欲しい映画!
製作に至るまでのプロダクションノートを全部読みたいし、
人物相関図、
キャラクター説明図、
ついでに、
ハリウッド黄金時代の年表、
も、絶対に欲しいところ。
ついでに言えば、
そこに、
町山さんの詳しい映画解説、
これ、必須です〜!
こんなにすごい映画なのに、
パンフなしで、
Netflixで、さらっと配信、
って、、、、、
う〜ん、、、、、
マンクを演じたのは、
ゲイリー・オールドマン。
今や押しも押されもせぬ名優、ですね。。

アマンダ・セイフライドが演じているマリオン・デイヴィス。
ハーストの愛人として、何本もの映画に主演したけど、
結局、全然売れなかった。というのも、有名な話。
その頃のことが書かれた「ハリウッドバビロン」、
なぜか、私の本棚から消えた

メイヤーが、マンクと弟ジョセフを後ろに従えて、
MGMスタジオ内を案内するシーン。
ここは、モーレツに楽しい!

























