いよいよ歌舞伎座6月公演のお稽古が今日から始まりました。
とは申しましても、『猪八戒』のお稽古は明日からなので
私は今日までがお休みでした。


ちょうど10年前の6月公演は二代目猿翁、四代目猿之助、九代目中車 五代目團子の
襲名興行が行われておりました。
歌舞伎座が新築に建て替えられる最中でしたので新橋演舞場で開催されました。

演目は昼の部が『小栗栖の長兵衛』『口上』『四の切』夜の部がスーパー歌舞伎
『ヤマトタケル』でした。


10年前の今日5月28日は新木場にありましたお稽古場の最終日で
『ヤマトタケル』のお稽古打ち上げでした。
まあ、打ち上げと申しましても別に飲んだり食べたりしたわけではなく、
そのお稽古場でのお稽古が終わり、いよいよ次は劇場にという最終日。

いよいよ劇場に入り、襲名興行が始まると云うワクワクと緊張の最中でした。

『ヤマトタケル』のヤマトタケルはもちろん猿之助さん 中車さんの帝
私の新大臣、この時の舞台はシネマ歌舞伎にもなりましたね。


この公演での『小栗栖の長兵衛』の時、初めて中車さんの小栗栖の長兵衛で、
私の茶屋の亭主重助 がっぷり四つで一緒の舞台に立たせて頂きました(笑)

ある意味、中車さんのお芝居、まだ未知数でしたので楽しかったですね。

初日近辺こそは緊張されておられましたが そこは猿翁旦那と浜木綿子さんという
サラブレッドの血筋と テレビや映画などで培われた演技力、
そしてスポーツの実況をされるほどの対応力。

毎日、お芝居がどんどん成長されて行かれるのが 目に見えてすごかったです。


この後の地方公演 巡業と『小栗栖の長兵衛』は再演に再演を重ねられ
最後にはこの演目、中車さんの歌舞伎の代表作となったのではないでしょうか?


一時期、猿翁旦那と香川照之さんは絶縁状態だったのが振り返って見ると
現在は全てに於いて本当に良かったと思える事は喜ばしい事です。

新木場での『ヤマトタケル』のお稽古の最中に中車さんのお母様
浜木綿子さんと猿翁旦那が再会された感動的な日もございました。

私もお稽古場でそばに居りまして、貰い泣きしたことを覚えております。

色んな事がありました10年前の5月から6月にかけての出来事。
もう10年なのかまだ10年なのか。

 

私たちにはそんなに大きな変化はありませんが、あの折に8歳だったかわいい團子ちゃん

もう18歳になり、背も高くなりいつの間にか抜かれてしまい、見上げるようになりました。

無邪気な子供時代を過ぎ、すっかり礼儀正しい青年になりました。

もう團子さんとしか呼べないような感じですが、まだまだ團子ちゃんでしょうか(笑)

確かに10年の月日は流れております。


10年ひと昔と云いますがこのおもだかや一門の襲名の時からの現在まで
おもだかや一門、スーパー歌舞伎セカンドや通し狂言。
コロナ禍にはみな会えない日が続きましたが 短縮版の通し狂言の上演など、
常に新しい事、楽しい事、楽しんで頂けることをやってきたように思います。

さあ、これから先もまたいろいろな舞台が待っております。
私たち演じているほうの人間も まだまだワクワクしながらの舞台です。

ひと月ぶりの舞台も楽しみにしております。