四代目を襲名された猿之助さん 

その昔の、亀治郎時代の初お目見得 初舞台の様子を

坂東弥十郎さんが 口上にてユーモラスに お話されておられます。


「安徳帝を演じられた幼少の亀治郎さんを ずっと抱っこしていて 
 腕がしびれた思い出がございます。」・・・と(笑)


その頃から少し後でも 歌舞伎座の公演などの折には 
ご自分が出演されてなくても よく楽屋には遊びに来られ 
私たち若手の名題下の大部屋などでも よく 遊んでおられました。


少しいたずらが過ぎると 同輩たちが面白がって 「こら!!」 と 

お仕置きと称し ボテと呼ばれる 衣裳こおり
(衣裳や日用品などを詰める 今のトランクの様なもの)に

亀ちゃんを閉じ込め 転がし回ったことなども 懐かしい思い出ですね(笑)


先日 聞きましたら猿之助さん しっかり覚えておりました。
誰がやったか? と云う事も・・・(笑)



その猿之助さんの子供の頃から 成長されまして 30年近く
つい先ごろまで うちの一座には 子供の声がしておりませんでした。


もちろんプロダクションから来ている子役さんや 他の一門の子供さんの声は
歌舞伎座でも聞こえておりましたが、

おもだか屋一門の中で 子供 所謂 子役さんの声が 聞こえるのは
今月で何年ぶりでしょうか?



今月の襲名 初舞台で團子さんが 口上でも元気に そして可愛らしく 
口上を述べております。

「猿翁のおじい様より ずっと立派な俳優になる事が 私の夢でございます!」・・と 


九代目中車さんを始め 團子さんのこんな立派な口上の言葉が 聞けるとは
私 夢にも思いませんでした。


そして口上が幕になった後 猿翁旦那に
「今日のじいじい とても元気がよかった!! 目が生きてたよ!!」とか

「もう少し 大きな声で云わなきゃダメ!!」とか 


私たちは唖然として とても言えないような事を なにげなく口にされ 
周囲の笑い 感心を 誘っております。



猿翁旦那も

「今日はそうかい?」

「はいはい」

とか 私たちも今まで 拝見した事ない様なお顔で 目を細めて喜んでおられ 
なんとも和やかな雰囲気を 醸し出しております。(笑)


つい先日までは考えられなかった事が 今月 現実に起こっております。




團子さん とてもお芝居好きで ヤマトタケルでは色んなお役の台詞を
役者さんのまねをしたり また、色んな事に疑問を持たれます。


私の新大臣にも

「なんでこの人 こんな不思議なお化粧なの? どうして怖そうなの?」

などと立て続けに疑問を抱かれ 

私が

「この人 実はヤマトタケルにとっては悪い人なのです。」

と 申し上げると

「え? でも台詞で ヤマトタケル様のご冥福をお祈り申すのじゃ!!」

って 云ってるじゃない?  

と 答えに困るような事を 突っ込まれ 



「心と、云う言葉が まるで反対の悪い人なのです。」

と 伝えましたところ・・・


その後 私の花道の台詞の間 舞台中
(私が花道にいる間、みな幕の中でスタンバイしております))では

「あいつ 悪い奴なんだよ!!」 

と みんなに説明して 周っているとか・・・・(笑)


そしてヤマトタケルの白鳥の宙乗りの前では 
「天翔ける心 それがこの私だ~」と
奈落で猿之助さんのモノマネを致しております。(笑)


代々の歌舞伎の俳優 こう云う子供の頃からの見たり聞いたりして行く事が
知らず知らずにお芝居を覚え 成長していくのだなあ~。

これが財産となって行くのだなあ~。


おもだかやに久しくなかった事が いま新たに得て 先へ進んでいくのだなあ~
と 感じた次第です。


今日の写真はその奈落で 一緒に撮って貰った 
團子さんのワカタケルと私 新大臣です。


イメージ 1



たくましき ワカタケル 團子ちゃん(あえて ちゃん)


お役と本人の使命が 本当にダブります。  

が、実際の私は 新大臣とは違い、悪いやつではございません。
そのあたり 分かって下さっているかなあ?
きっと大丈夫でしょうね。


嬉しいひと時でした。   

これから先も きっと 私たちには 楽しい時間を作ってくれる
團子ちゃんだと思います。