旅立ちの朝、母と過ごす最後の時間
告別式は朝9時。集合は8時。 まだ陽が低い時間に、私は木曽三川の立田大橋を名古屋方面へ車を走らせた。
台風25号の影響で、青空には雲が渦を巻いている。 その合間から、珍しく御岳山がくっきりと姿を見せていた。 まるで母の旅立ちを見守ってくれているようにも感じられた。
◆ 会館に到着し、静かな準備の時間
会館に着き、事務手続きを済ませる。 母は相変わらず眠っているように見えた。 昨日と同じ、穏やかな顔。
告別式の準備が整い、海外在住の息子ともオンラインでつながる。 家族葬なので形式にとらわれず、家族だけの時間がゆっくり流れた。
告別式が始まり、母に感謝とお礼を伝える。 「ありがとね!」 その言葉は、家族みんなの気持ちだった。
◆ 出棺、そしてゆっくりとした道のり
母に花を飾り、日本一固いせんべいをそっと持たせた。 母が好きだったもの。 旅のお供にしてほしかった。
私は霊柩車の助手席に乗り、火葬場へ向かう。 制限速度よりもゆっくりとしたスピードで、なじみの街道を進む。
5か月前、母が病院を退院した時にも走った道。 そのとき母は「いい天気だね」と言っていた。 ついこないだのように思い出される。
◆ 火葬場での時間、そして母の帰宅
火葬場に到着し、待合室で1時間半ほど過ごす。 焼き上がった母の骨は奇麗に残っていた。
家族で分担しながら、足の骨から順に骨壺へ収めていく。 最後に頭蓋骨を納め、蓋を閉じた。
母を連れて自宅へ帰る。 仏壇はあるが、母のために新しい祭壇を作った。
そこにいる母は、笑顔で笑っている。 「ありがとう」 その言葉が自然と心の中から湧いてきた。



