5月の構造動作トレーニング・東京教室「股割り」は、 足の解剖を理解して、股割りを実習し、片脚動作の質を高めた。
股関節は寛骨臼と大腿骨頭との間にできる臼状関節だ。股関節は体幹と下肢をつなぐ関節で頑丈な靭帯で強化されている。靭帯には、大腿骨頭靭帯、輪帯、腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯がある。その中でも、腸骨大腿靭帯は全身中最強の靭帯で股関節の前面を補強している。
▲日本人体解剖学 金子丑之助著
構造動作トレーニングでおこなう股割りは、純粋な股関節の可動域を拡大したい。そのため、筋肉をストレッチしない。これは、股関節に作用する筋肉にストレッチ入力がされ、最大筋収縮率が低下するのを避けるためと、股関節を補強する靭帯までも伸ばしきり、関節をルーズにしてしまわないためである。
股関節に作用する筋肉をストレッチしてしまうと、代償運動に陥りやすい。180度以上の開脚ができても、股関節をコントロールすることができない人は、代償運動による故障が絶えない。
純粋な股関節の可動域を拡大していくためには、足の骨、筋肉、関節運動、動作のメカニズムを理解し、股割りに取り組むことが大切だ。
純粋な股関節の可動域が拡大するのには、下肢の機能が連動しなければならない。開脚ができて柔軟性があるように見える人でも、下肢の機能が連動していない場合は、腰痛や膝痛などの不調がある人が多い。
股関節が、やわらければ良い、ということではなく、下肢の機能が連動するためのトレーニングをおこなうことが大切だ。
股割りをおこなうときの骨格ポジションは、骨盤のトライアングルベースを床に接触した体幹の位置をキープ、四肢は股関節の運動が体幹と連動する位置をキープする。股関節の可動域に左右差がある場合は、体幹と四肢の連動状態を見直すこと。
股割りで身に付けた純粋な股関節の可動域を動作に転換する。人が動作をおこなうとき、運動を円滑におこなえるベクトルがある。このベクトルを理解し、動作をおこなうこと。
片脚動作は、左右の股関節の切り返しを円滑にすること。競技動作に限らず、日常生活動作を故障なく、快適におこなう上で、純粋な股関節運動を身に付けたい。