このトレーニングをしていると余分な筋肉が薄くなり身体を細かく使えるようになる。余分な筋肉は関節の可動を制限する。余分な筋肉が薄くなると、関節の可動域が拡大する。股関節の可動域が拡大するのはもちろんのこと、顎関節の可動制限が解除されて噛み合わせが整うということもある。一緒にトレーニングをしている吉田君が噛み合わせの変化があったそうだ。他にも使えていなかった筋肉が作用しはじめることで、これまで使えていなかった筋肉の存在に気づく。使えてない筋肉の存在を知ることで、使えずに眠らせている筋肉がたくさんあることに気づく。眠らせていた筋肉が春のおとずれのように少しずつ目覚める。私たちの身体にも季節があるようだ。
余分な筋肉が薄くなると、使えずに眠らせている筋肉が浮き彫りになる。これはトレーニングでアプローチできなかった筋肉だ。さらに骨格のアライメントを修正し、アプローチできていなかった筋肉の収縮率をあげていく。正しい関節の方向に筋肉を作用させることが大切だ。そうすることで眠らせていた筋肉がめざめる。問題なのは、拘縮してしている筋肉だ。長い間寝たきりにしていた筋肉、あるいは、過去の突指や捻挫、骨折などの怪我をともなった筋肉などは拘縮状態になりやすい。
私の場合でいうと、トレーニングで上肢と体幹のポジションが整ってきたころ、余分な筋肉が薄くなって、右腕に拘縮状態の筋肉が浮き彫りになった。これは、数十年前の右上腕骨骨折と右ひじに血液が溜まる怪我によって治り切らなかった筋肉や可動制限をして長い間寝たきりにしていた筋肉だ。このような状態は、トレーニングによるアプローチが難しい。私の場合は拘縮状態の筋肉に刺激を入れながらトレーニングをした。拘縮の状態を正常な状態にして通常のトレーニングをすることによって収縮率があがり、関節可動域を拡げることができる。
使えずに眠らせている筋肉は運動によって目覚めることもあるが、目覚めないこともある。筋肉がどのような状態にあるのかを見極めトレーニングをすすめることが大切だ。しかしながら、基本的なトレーニングを正しくおこない、余分な筋肉を薄くすることが先決だ。
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