早くも二週間がすぎてしまった。
いろいろ書きたいことはある。
ただ世話人の仕事というのは、セミナーの時間中も何やかやあって、セミナーのレポートが書けるような関わり方ができない。
ましてや時間が経ってしまって(これは自分の責任)、ますます順番があやふやになる。
ということで、セミナー以外でTakahiroさんと話したことなども混ぜこぜにしながら、感想を述べたい(これはいつもそうですね)。
●坐骨結節
いまさらこんなこと書くのはどうかと思うが、今回、正座で骨盤がおきたポジションの動指導のとき、Takahiroさんがその人お尻をちょいと触る意味がはじめてわかった。
骨盤後傾の人は骨盤がおきたポジションにすると、おしりが浮いてしまうぐらいになるのだが、その浮きを確かめているのかと思っていた。
しかしあれって坐骨結節の方向を確かめていたのだった。
これは骨盤おこしの基本、初歩の初歩なのに、ちっとも気付かなかった。
すこし説明する。
正座(あるいはイスに座る)でいつものように座ると、多くの人は坐骨結節が下に向いた骨盤のポジションになる。
お尻の下に手を入れてみると、左右にとんがった骨がグリグリと当る。それが坐骨結節で、坐骨ではないから本来座る位置ではない。
では坐骨で座るためには、骨盤をもっと前傾させていく必要がある。そのため「骨盤がおきた」ポジションにすると坐骨結節は後方を向くのである。
「坐骨結節」の場所は下のサイトの写真を参照。
http://
まず坐骨結節を探り当てれば、これがもっともわかりやすいだろう。
●スポーツマン
いつもTakahiroさんが言うこと。
スポーツできる人は、腰(腰椎)で動き過ぎる。腰に負担を書け過ぎる。
武道をやっている人にも同様の傾向がある。
「股関節が大事」だと言うわりには、股関節から動いていない。
これは何故かなあ。運動神経が良くて、腰で間に合わせられてしまうからだろうか。ただ、疲労は溜まるはずだ。
股関節の運動量や運動領域に比べたら、腰椎で代理できることは高が知れているだろう。
以前Takahiroさんが言っていたっけ。
「腰と首の動きに、股関節と胸の動きを足してやるのが骨盤おこしトレーニ
ング」だと。
●股割り
今回は股割りの希望者が多かった気がする。
まず座って足を開く。この時点で骨盤が立って来ないときつい。
それでも無理に前屈しないで、あくまでも「股関節を中心にで骨盤を動かす」ためのトレーニングだと心得れば、意味があるだろう。
足の開き具合も、自分が開ける角度でいい。
今回はすごく固い人が挑戦して、長座での前屈と股割りの間ぐらいでやっていて、「あれでもいいんだ」と勇気づけられた。
で、開脚したらまず足先を伸展。
そこで足先を背屈(足を反らす)。すると膝が曲がる。
曲がってオーケーなので、そのまま足指をギュッと握る。特に小指をしっかり。
足先の背屈と握りと膝の曲がりの姿勢が動かないように、かかとでしっかり床を押す。
そこから腕を力こぶを前に向けた構えから、手を小指を握って掌を押し出すように前に伸ばしていく。
このとき前にイスとか何か押せる荷物とかを置いて、それを前にグッと押し出していくようにするといい。
ともかく床に向かって折り畳むような動作はダメ。ともかく前へ、前へ。
このとき最初の脚の形をキープしなくてはいけないのだが、前屈するにしたがってどうしてもつま先が前を向いてきてしまう人が多い。
そうなると骨盤が前屈する方向に股関節も動いていることになって、当初の「股関節を固定して骨盤を前傾」という股関節トレーニングの意味がなくなってしまう。
もし足の形が崩れてしまったら、その時点でもう一度背屈して指を握り直す。でもそれがキツイ!
前屈は胸を前に出すように、顔も上方を見るようにしながら、「前」へ出していく。
このとき腹圧をかけてお腹をふくらませる。
実際前屈で丸くなっていた背骨が、腹圧をかけるたびに伸びていくのがわかる。
腹圧ってほんとうに大事だ。
この動作で、股関節を中心に骨盤を前傾させる。これが股割り。
足裏の筋を伸ばして前屈しようとするのはただの「股裂き」。「股割り」とは違うのだそうな。
それでも腿の付け根とか痛いのである。「力を入れるから痛いのだ」とか言われても、痛い(笑)。意志の力ではどうにもならない。
痛くない方向を探すのもトレーニングのひとつのようだ。
とは言っても、股割りはすごく大変だとも言っていた。これをやっていれば、他のトレーニングがすごく楽に感じられるようになる、とのこと。
やっぱり何ごとも簡単にはいかないのだなあ。
Takahiroさんは股割りでからだを整えるのだそうだ。
人それぞれに、たとえば四股立ちとか立位体前屈(骨盤おこし流)とか、ひとつ自分が整えられるものを見つけるといい、とのこと。
わたしの場合はなんだろうと考える。
イスにまたがって四股座りをし、足指を握っての前屈がそうかもしれない。
きっとそれも変化していくのだろうと思う。
●お尻の鍛え方
正座で骨盤おこしの運動をする。顔と胸を前に出すようにして股関節から胴体を前屈するわけだが、顔と胸は前というより、ジェット機が離陸していくような感じに上前方に出していく。
そうするとお尻が浮いて、そのまま一歩出せば立ち上がれてしまう。
この運動の方向性で、腰が浮いた時点で止まる。つまり腰が浮いて、しかし膝立ちになる前の姿勢。
Takahiroさんは、この姿勢でご飯食べたり、書物したり、パソコン打ったりしろという。
これによってお尻に力が入るようになる。つまり股関節を十分に働かせるための鍛練ということだろう。
しかしこの姿勢でじっとしていると、ただ鍛えるというだけでないからだのまとまり感が出てくるようだ。正座でする站椿(タントウ)の如し。
●女性の骨盤を観ることの難しさ
これはすごく細かいことなのだが、女性だといわゆる「出っ尻(でっちり)」なのに、骨盤は後傾している人がいるということを知った。
以前の日記で「出っ尻と骨盤がおきているのとは違う」ということを、自分で書いたと思うが、実際に見分けるのはなかなか難しそうだ。
今回のセミナーで、立ち姿を見て「比較的骨盤がおきている」と感じた人がいたが、Takahiroさんは何のためらいもなく「いま骨盤がこのくらい後傾している」と骨盤の図を示して言ったシーンが何度かあった。
きっとヒップばかり見ていてはいけないのである。挫骨結節の位置を確かめればいいわけだが、全体を見ることで判断ができるのだろう。
このことははじめ骨盤の傾斜ばかりに注目して、股関節の動きに目がいかなかったことと同じで、どうも肝心なところを見逃しているようなのである。
精進あるのみ。
●背屈で歩く
足を背屈させる、これが今回の「裏テーマ」だったように思う。
「裏」とか言っても、別に秘密裏に行われたわけではなく、セミナーの始まる前や、セミナー後に集中的にそういう話題になったということで、セミナーでも背屈については触れている。
背屈は足先を持ち上げる動きである。
たとえば立った状態で、両足先を持ち上げてみよう。カカトで立つようにすれば両足先を持ち上げることができるだろう。
しかしこの立ち方は、お尻を引いて後ろ重心になっている。というより後ろに重心を置かないと足先は上がらない。
次に足指の付け根から指先あたりに体重が乗るように、からだを少し前傾させる。
このとき足指は軽く握るようにして、指の頭で地面を押さえるような感じにする。これは「そういう方向性に指を使う」ということであって、実際に指の頭が地面に接するまで指を曲げる、ということではない。
さて、この重みがかかる箇所が変わらないよう前傾したまま、足先を上げてみるとどうなるだろうか。
足先が上がる代わりに、からだが前に倒れるだろう。倒れそうなのを指先で耐えているのに、その指先を上げるのだから当然である。
この働きを使って歩くのが「骨盤おこし」式の歩きである。
高下駄の前の歯だけで歩くようにするトレーニングも、足の背屈と重心を足指の付け根(MP関節)に乗せることを覚えるためのものだ。
背屈による歩法は、足で歩くというより足先に引かれるようにからだが前に乗り出していく。その重心が移って行く先に次の足を置き、その足を背屈させることで次の一歩を踏み出す(当然指先は軽く握る)。
こうすると後ろにある足で地面を蹴ったり、前に振り出した足のカカトで地面を押さえて動きにブレーキをかけたりせずに、ぐんぐん歩いていくことができるようだ。
Takahiroさんは以前、指を握って足裏にアーチを作る背屈の歩きをすると、「足裏の垂直離陸」歩行になるのではないか、と言ったことがある。
またセミナーで足指を握って行う「股割り」を経験したきたろうさんが、この足で歩けば「足裏の垂直離陸」歩きになるのではないか、と言ったことがあった。
わたしが試してみたところ、「背屈歩き」は「足裏の垂直離陸歩き」と同じではない。その違いは「垂直離陸」はその名の通り、実際は上がらないにしてもカカトも上げるようにするが、「背屈」ではカカト地面に残して足先を上げようとするということにある。
「背屈歩き」は指先に重心をかけたままなので、「上がらないが上げようとする」という点で、足先に離陸をかけた歩きであるといえる。
そしてこの背屈のやり方で走ってみると、面白いこと甲野先生の「極短距離走」そのものなのであった。
「極 短距離走」では「出した足をいかに早く後ろに引くか」という説明だったが、それは前に置いた足をいかに早く「背屈させるか」ということだったのである。実 際背屈でダッシュしてみると、その足は素早く後ろに引いているような感じがする。もちろん実際には戻さないから前にすすむのであるが、足先で地面を蹴るの ではなく、逆方向に引き上げるという動作が感覚的には足を逆回転させているように感じるために、長い距離の走りを困難にしていると思われる。
しかし「背屈を繰り返す」と捉えると、十分に取り組めそうな気がする。それにはまず「背屈歩行」で日常的に歩けるようにすることが早道だろう。
また背屈による移動は、当然武術的な意味合いも大きい。背屈で歩くと、その構造は「井桁くずし」となるからである。たとえば「直入身」なども、「背屈歩き」で行うこともできる。
動き出しを前に構えた足裏から行う、すなわち「背屈によって起動する」というのは武術的には無意識に行なっていた、あるいは違う説明のし方でやろうとしていたことだと思う。
しかし「背屈」という明快な動作から考えることではっきりしてくることがある。やはり骨盤おこしをやっているとおもしろいことが目白押しなのである。