6.中島章夫/骨盤おこし | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

2008年10月26日の日曜日に、「骨盤おこしセミナー」があった。
東京でのセミナーは早いものでもう四回目。
午前の回と午後の回で、一日に二回のセミナー。講師の中村先生(Takahiro先生)には前回に続き、無理をしていただいた。
次回は、土日の二日にわけるので、すこしゆっくりしていただけるだろう。

なんて言いながら、日記に書かないままもう11月。
この際、すこしずつでもアップしていかないと、次のセミナーの日になってしまう。
今回は「腹圧」のこと。

●腹圧をかける効果
「腹を脹らませて」とTakahiroさんは以前から言っていた。それも呼吸に合わせて脹らませたり凹ませたりするのではなく、ともかく「ウン」という感じで脹らませる。
脹らむのは腹直筋なのだが、これが「弛む」わけではなく、本来の形がその伸びた筋肉の形なのだという。
つまり多くの人は普段から腹筋を縮めすぎているわけである。まして「腹筋」といえば、ゴツゴツと割れたいわゆる「カニ腹」がカッコイイという風潮があり、さらに縮めて固くしてしまうのだろう。
これは二の腕に力コブを作りっぱなしと同じな訳で、運動と言う面からみても良いことではない。

さて、ここまでは以前にも聞いたことがあったが、今回は腹圧の新しい働きを知ることができた。
それは、基本の「骨盤おこし」の運動である股関節から前屈していくときに、腹圧をかけて腹を脹らませて行なえば、腰から曲げてしまうことを防げるのである。また腹圧をかけておけば胴体は捻りにくくなる。
だから腹圧をかけて動くようにすれば、股関節から動き出せるようになるということである。
このことは甲野理論「捻らない、うねらない、 ためない」の「捻らない」と「うねらない」とには大いに関係してくるだろう。

●腕立て伏せ(上腕の向き)
腕立て伏せについてこれまでの骨盤おこしレポートで書いた気がしていたが、検索してみると書いていないようだ。
もっとも大切なのは最初の腕のポジションである。
これは「お姫様だっこ」をしたときの腕の形、「小さく前へならえ」から手のひらを上に向けた形である。
この形は、甲野先生がピアニストに示唆した腕の構えと同じだ。下げた腕の前腕を手のひらを上にして鍵盤の上に持ってきて、そこから手のひらを返して演奏の構えにする、というもの。
この手の構えを拙著『技アリの身体になる』では「掬い手」として紹介している。水や砂を掬い取るような手付きだからである。

で、腕立て伏せ。
「お姫様だっこ」の腕のポジションで、手のひらを返して床につけ、腕立てを行う。こうすると背中が利いてくるので、背中のトレーニングになる。
腕立ては「腕」を鍛えるものではないそうだ。
これで思い出すのはロシア武術システマのプッシュアップ。両方を体験した人なら、必ずその共通性を感じるだろう。
わたしはプッシュアップを背中の使い方を学ぶためのものだと思っていたので、Takahiroさんの腕立ての話を聞いた時(たしか第二回のセミナー)、なるほどそういうことだったのか、と膝を叩いた。いや叩かなかったけど、叩くほど納得した。
もしシステマ式プッシュアップを腕でやっている人は、骨盤おこし式の構えからプッシュアップの姿勢になってみると、背中で上下することの意味がわかるだろう。

骨盤おこし式でもっとも重要なポイントは、まず力こぶが前を向くポジションをとること。
そこから前腕を曲げて上げていき、手のひらを上に向けた「掬い手」にする。そこで一旦手のひらを下向けに返し、そこから必要な腕の形にする。
こうすると肘を左右に上げていって、脇を開いても上腕は力こぶが前を向いたポジションを維持できる。こうなると背中で腕を動かすことができるのである。
このとき、手のひらを返さず、上を向けたままの構えで肘を上げると、力こぶは内側を向いてしまう。
床に付く両手の幅を広くした腕立て伏せで確かめてみると、その違いがわかると思う。

このことは、甲野先生の音楽家のための講座終了後にドラムの人とあれこれ試していてわかったことだ。
『技アリ』本で紹介したときは、単に肩を上げずに腕を持ち上げるためぐらいしか思っていなかった。もちろん肩が下がったままだから背中が使えるのだが、そんなことは考えていなかった。
いまではあらゆる腕の動作は、まず「掬い手」から手のひらを返す構えからはじめるのが良いと思っている。

ただ「力こぶを前に向ける」という簡単なことが、実に人間の持っている自然な力を引き出すことになっていることに気付けたこと、同時に甲野先生の示した腕の使い方の深い意味を知ることができたことは、Takahiroさんのおかげである。