フォアフットvs踵接地/BORN TO RUN/スコット・ジュレクのワンポイントアドバイス | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

またまたBORN TO RUNネタ。
私がこの本を読むきっかけになったのは担当の編集者が熱く薦めてくれたから。
流行っているのは知っていたが、本屋でぱらぱら中身を見ると小さな字で400ページ以上もあるのでとても読む気になれなかった。
私が本を読まないことを知っている古武術の中島章夫先生は面白そうな本があると要約して聞かせてくれたことがありました、まぁBORN TO RUNはいいかぁ、と思っていた。
しかし、ふと、いかつい顔の編集者の顔が思い浮かび本屋に走ったのである。

BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族” によりベアフットランニングが流行り出すと。
「フォアフットvs踵接地」の意見が次々に繰り出された。論争なのか?
走るときの足の接地が、つま先で接地でするのがいいのか?踵で接地するのがいいのか?ということである。ミドルフットがいいという人もいる。

フォアフット(ストライク):つまさき着地、前足部着地
ミドルフット:足裏全体接地、フラット接地
ヒールコンタクト、ヒールストライク:踵着地
(*接地の正式な名称がありましたらお知らせください)
BORN TO RUNを実践する人たちはフォアフットに識別されるようだ。
ちなみに、私はフラット接地がいいのでこの中でいえばミドルフットということになる。

私はリハビリを指導するものです。よって走る動作・姿勢には人間の骨格構造に適しいるのかということが重要になります。リハビリでは身体の基となるゆっくり走る動作がとても重要で骨格構造から外れた動作ではリハビリの意味がありません。「フォアフットvs踵接地」の議論は後回しです。走ることのテクニック的なことは省いて考えることにしています。
速く走りたいランナーであれば、世界的に実績のあるランナー若しくは世界的に実績のあるコーチから直接指導を受けるのが一番だと考えます。ランナーでもなく実績も経験のない私のようなものが走りのテクニックを語れるはずもありません。それに、私自身が机上の理論を振りかざされても納得できないタイプだからです。

人間の運動は重心移動であるということが重要です。
この原理原則を抜きにして考えてしまうと足先だけのテクニックに陥ってしまいます。
「骨は身体を支え、関節は重心を運び、筋肉は骨格ポジションを調節する。」
人間は筋肉の力だけで走るわけではありません。
重力の下で暮らしているのですから、それに逆らわないで重力を力とすべきでしょう。
走り出しの一歩目は、すっと立って前傾し、そのまま前に倒れこむ時に、思わず「おっとっと!」と片足が出る。つまり、重心を出して体幹の前方移動に脚がついてくるのが走る動作の一歩目だ。これは、走りに限らずすべての動作でおこる「運動」である。そして、支えを失った体幹を支えるのが脚・足ということになる。この一歩一歩の繰り返しが私の解釈する走る動作だ。

リハビリで問題になるのは、身体を支える為の足のアーチ構造が不十分なのにもかかわらず走り込んで脚・足を故障しているランナーが多いことだ。
足のアーチ構造は、
1・親指側の縦アーチ、 
2・小指側の縦アーチ、 
3・足の指のつけ根(中足趾節間関節:MP)の横アーチ、 
4・足の甲の中程(足根中足関節)の横アーチ、 
と。これら4つのアーチで構成されます。
このアーチ構造は身体を支える際に地面と接地で起きる衝撃を吸収する役割をする。
足のアーチ構造は、走る動作において重要なショックアブソーバーといえる。
不十分な足のアーチ構造では、この重要なショックアブソーバーが備わっていないも同然なのだ。
いつしか、それらの機能を高性能シューズに任せきりにしてしまい、さらに足の感覚・機能を眠らせてしまった。そこで、登場したのがBORN TO RUNということだろう。

リハビリテーションとは、身体に障害のある人などが、再び社会生活に復帰するための、総合的な治療的訓練。身体的な機能回復訓練のみにとどまらず、精神的、職業的な復帰訓練も含まれる。本来は社会的権利・資格・名誉の回復を意味し、社会復帰・更生・療育の語が当てられる。
障害とは、あることをするのに、さまたげとなるものや状況。

つまり、走ることにより脚・足を故障するのなら、その原因を究明し、その原因に対してアプローチしなければならない。不十分な足のアーチ構造の状態では、走行中に「オーバープロネーション」と「オーバーサピネーション」と呼ばれる過度の回旋が足首にかかりやすく故障の原因になりやすい。
人間の足には、着地時に衝撃を受けると、足首が内側に倒れ込むことで衝撃を緩和する「プロネーション」と足首が外側に倒れ込むことで衝撃を緩和する「サピネーション」と呼ばれる働きが備わっています。しかし、この内側への倒れ込みが、大きくなりすぎると、「オーバープロネーション」(過度の回内)と呼ばれ、膝や腰の故障の原因になります。また、外側へ倒れ込みが、大きくなりすぎると、「オーバーサピネーション」(過度の回外)と呼ばれ、内反捻挫などの足の故障の原因になります。
不十分な足のアーチ構造が原因なら足のアーチ構造を取り戻すことが先決で、高性能シューズでサポートするというのは対処療法でしかない。BORN TO RUNでは、高性能シューズは足にギプスを付けているようなものだと表現していたが、まさしく骨折ギプス固定後はリハビリするのが常識でいつまでもギプス 固定を続けたとしたら動くものも動かないようになってしまう。
結局、足を故障したら、痛みの除去に注射をする、足の故障を予防するために高性能シューズでサポートする、という個々の対処療法を繰り返すだけで原因に対してのアプローチがない。
理想は、コーチと医者とシューズメーカーと選手がチームとして原因究明、原因に対するアプローチをすることだろう。なおかつ、チーム全員が走りの実践者であること。アメリカンドリームチームみたいですね。
そうであれば、決してシューズのせいだけにはならないはずだ。

ともあれ、足のアーチ構造が不十分だと自覚していたら足のアーチを取り戻すトレーニングをすぐさま開始すべきだ。誰の足でもない、何かのせいにしていても仕方がない、自分の足は自分で守らなければならない。私に関わったランナーたちの足は、アーチ構造が不十分で著しい機能性の低下、足の感覚の低下がみられた。世界中でどのくらいのランナーが足を故障しているのか見当もつかないが、ニュートラルポジション(足のアーチ構造を保った)による接地が可能なランナーは驚くほど少ないと予想される。

「フォアフットvs踵接地」の議論をする以前に走るための身体の準備をすべきではないか?
そこで、BORN TO RUN実践者たちの取り組みは期待がもてる。
彼らの取り組みは足の機能・感覚を目覚めさせるだろう。
しかし、ベアフットランニング、ワラーチランニングをはじめて足を故障したという声をよく聞く。
なぜ、裸足で走って足を故障するのだろうか?
裸足で走れないくらいに足が弱くなってしまったのか?
そうしたら、走るための実力(足のアーチ構造)があるのか考えてみるといいだろう。
重心が移動する→足のアーチ構造で衝撃を吸収する→骨で支えるという走りの構図が見えてきたら、自ずとどのような接地なのかわかるだろう。
だが、決してこれらの練習方法がすべてではない。
今の時代に裸足で走るなんて、汚いし、石やガラスを踏んで怪我をするリスクもある。
しかし、自らの高性能な脚の機能を使って地面の感覚を感じとれる喜びに勝るものはないと考える。

★ウエスタンステイツ(160kmトレイルレース)7連覇、スパルタスロン(246km)3連覇など、世界的なトレイルレース、ウルトラレースでことごとく優勝をさらっているアメリカ人ランナー、スコット・ジュレクのワンポイントアドバイス

「関連記事」
■BORN TO RUN:裸足vs高性能シューズ
■BORN TO RUN:足のアーチ構造、ゆっくり走る動作

「骨盤おこし」で身体が目覚める 1日3分、驚異の「割り」メソッド
「人は自分で自分の身体にブレーキをかけている。そのブレーキを解除し、骨盤を立て主要な部位を適切なポジションに導くことで驚くほどスムースで柔らかく動く身体を手に入れることができる」という理論について、本書では、実際に家庭でできるトレーニング法を説明しながら、身体の使い方・正しい姿勢について使い方・正しい姿勢について解説。