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Engineer’s Laboratory

孤独なエンジニアによる趣味の世界

私は衛生管理者をやっているので、ちょっと専門的な話をまとめておきたいと思います。

 

知ってる方はいいのですが、知らない方は日々の作業を見直すきっかけにして頂けると幸いです。

 

 

 

 

 

最近、化学物質管理について社内でいろいろ取り組まれている企業も多いのではないでしょうか?

 

ここ数年で一気に法改正が行われ、化学物質に関するルールが見えてきました。

 

安衛法が出来て50年が経ちましたが、災害は起きてからの対応ばかりで、いつも後手後手でした。

 

 

次々と新しい化学物質が作り出され、現在では十億種を超えていると言われており、把握することも難しいし、それら全てに対して管理濃度などの細かなルールを設けることも困難になった。

 

規制が掛かった物質が使えないからってことで代替物質が造られ、それが規制され次の物質が・・・ってことの繰り返しである。

 

使う側と売る側は安くて、性能が良く、便利な物質を使いたがる。人体への影響は二の次で。

 

結果的に災害が無くならない仕組みになった。法の抜け穴を探す奴と埋める奴みたいな状態です。

 

そこで国は自分たちで考えて使ってねって方針に切り替えて来たのだ・・・。

 

 

これが自律的な管理と呼ばれるものです。

 

 

 

 

 

これだけ聞くと、国は国民を見捨てたと思う人も居ると思うが、化学物質を作って使ってるのは国ではない。

 

作る側の責任と使う側の責任をルール化し、それぞれが危険有害性を把握し、安全に使うルールを自分達で考えろということだ。

 

私の個人的な意見は賛成である。

 

 

もし、法律でこの物質はこうやって使ってもいいよって言われていて、それをそのまま実践して無害なのか?って考えた時にリスクはゼロじゃないだろう。

 

保護手袋してくださいと言われ、使っていたが、手首のところに付着したら意味がないし、手袋に穴が開いたら意味がない。

 

それに、後々に発がん性物質でしたって言われるケースも多い。

 

自分の身は自分で守るしかない。

 

 

 

 

 

 

今回の法改正での目玉は

 

「リスクアセスメント」「皮膚等障害化学物質等への直接接触の防止」だと考えている。

 

リスクアセスメントは昔からやってるKYTの進化版と考えれば分かりやすい。

 

業務で使用する物質にどんな化学物質が含まれているか?というのを調べる。

 

これはメーカーが発行する「SDS(安全データシート)」を入手すればいい。

 

SDSを元に、自分たちが行う作業でどんなリスクがあるのか?安全に作業する為には何に注意が必要なのか?保護具の種類、そしてばく露した時の対処法などをまとめて、それを記録・保管し、実行していくというものだ。

 

そんなに難しいものではない。

 

 

もう一つの直接接触の防止の方が重要だと思う。

 

この考え方は重要だけど、講習とかでも講師はさらっと流す程度だし、労基署もあまり強くは言わない雰囲気で、お役所仕事的な感じで私は疑問に思っているのだが・・・。

 

 

 

これは健康障害を起こすおそれがあるのもを扱う時は適切な保護具を使用することが義務付けられている。

 

更に、健康障害を起こすおそれがないもの以外を扱うときも保護具を使用することが努力義務となっている。

 

このおそれがないもの以外というのが重要であって、この物質は大丈夫だよっていうもの以外はヤバいかもしれないから気を付けようねってこと。

 

 

例えば山で見付けたキノコを食べますか?

 

食べれると分かったモノしか食べませんよね?(今の人は野山のもは基本的に食べないでしょうが・・・)

 

よく分からないキノコは毒があるかもって考えるのが普通です。

 

これを化学物質にも当てはめて下さいってことです。

 

 

化学物質って人体に対して即効性がないものが多く、徐々に皮膚から浸透したり、気体として吸い込み、肺から吸収されたりします。

 

それが長期的に内蔵に蓄積されたり、血液を通って全身をめぐり、あちこちで悪影響を及ぼします。

 

だから、気が付かないんですよ。

 

例えば手に塗料が付いたからって水じゃなかなか落ちませんよね?

 

塗装してるなら、そばにシンナーがあるので、それで落としたりすることもあるでしょうが、それはNGなんですよ。

 

汚れは落ちますが、皮膚からばく露してしまって、体内の油を分解してしまう・・・。

 

特に脳の殆どが脂肪で出来ているので、脳が委縮し、脳障害を引き起こします。

 

勿論他にもいろんな臓器に影響があります。

 

化学物質が体内に入れば、全身のどこに悪影響が出るか分かりません。

 

 

 

 

若いうちは知識も少なく、皮膚の再生能力も高いので、いろんなものを素手で触ってしまうケースも多いです。

 

それを何年も続けているうちに、皮膚がボロボロになり、体調も悪く、気が付けば癌になっていたという事があるのだと思うが、実際に癌になった時にその原因って特定が難しいのも事実。

 

 

 

「君子危うきに近寄らず」ってね。

 

 

 

まずは近寄らない、触らないということ。

 

次に調べて、対策を考えること。

 

最後は知識として身に付け実践することが大事です。

 

 

 

化学物質の自律的な管理はソクラテスの言葉そのものだと思います。

 

『無知は罪なり、知は空虚なり、英知を持つもの英雄なり』

 

今の職場ではこれが理解されないので私は困っていますがね・・・💧

 

 

 

 

 

 

※このルールは労働安全衛生法でしか決められていません。

 

各個人が自宅で行う作業では適用除外なので、塗装してシンナーを吸いこもうが、手を洗おうが、好き勝手出来ます。

 

だからと言って何も考えずにやってると確実に身体を悪くします。

 

使おうと思うものは取説やラベルを見てから作業しましょう。

 

ラベルには注意書きが書かれています。

 

手に付いたら。目に入ったら。吸い込んだら・・・。

 

それぞれ保護具を着用したり、換気の良い場所で作業するようにしましょう。

 

 

この法律で管理が必要な物質に「灯油」「ガソリン」も含まれています。

 

殆どの人はこの事実も知らないと思います。

 

身近なところに危険な物質が沢山あります。

 

 

ご安全に!

 

会社の携帯にSMSが届いた。

 

 

業者とか、登録してるメーカー関係から連絡が来ることがあるが、今回は違った。

 

 

「キーネットワーク」からのメッセージです。

 

 

 

キーネットワークはヘッドハンティングを斡旋する会社です。

 

 

以前から何度か電話を貰ったが、今回はSMSを使ってきたよ。

 

 

そんな記録が残る方法でやっていいのか?って思うが・・・、キーネットワークなら、お構いなしかな。

 

 

 

内容としては生産管理の出来る人材を探していて、データから私を見付けたようだ。

 

 

以前に勧誘してきた時とは別の企業からのオファーらしい。

 

 

しかし、私は生産管理なんてやったことないので、そもそも話が嚙み合わないんだよね。

 

 

もっと正しい情報を集めないとクライアントに怒られますよW

 

 

 

メッセージには依頼主の社内でも極秘で進めているので、詳細はZOOMでの面談で説明したいけど、この日程はどう?ってことで、何日か候補日と時間を明示してきた。

 

 

 

この会社のハンターってぐいぐい来るので、返信しといた。

 

「私は生産管理の経験は一度もありません」ってね。

 

これに対しては、謝罪のメールが送られてきたので、話は無かったことになった。

 

 

 

キーネットワークって会社は単独で動いてる訳じゃない。

 

レイノスという親会社があって、そのグループに属している。

 

グループ全体で20社くらいあるが、年商500憶の見込みらしい・・・。

 

 

 

ここまで成長したのは独自の人材リストを作成したことと、スカウトされる側としても有能な人材が評価されず、不満を持ちながら仕事をしているということだろう。

 

人材不足の会社からすれば、1人探してもらうのに100万掛かろうとも、人材の居ない状況ではそんな金すぐに飛んで行ってしまう。

 

もし、私が経営者の立場であれば、大枚叩いても有能な人材を採用するだろう。

 

皆さんの周りにもダメな人っていると思う。

 

無駄なもの買ったり、判断が遅かったり、ロスが多かったり、優先順位を付けられなかったり、やらなきゃいけない事ほど後回しにしたり・・・。

 

例えば有能な人材を1人雇って、給料倍払ったとしても、出来る人材なら二人分以上の働きをしてくれる。

 

某プロ野球の球団もそうだが、金で有能な選手を雇うと試合でも勝てるし、優勝も出来たりしますよね?

 

それと同じですね。

 

 

 

 

 

 

私はハントされる側ですが、ヘッドハンティングはもっとやってもいいことだと思う。

 

勿論、取引先とか、関係会社から引き抜くのはNGだと思いますがね。

 

よくあるのはライバル会社から引き抜かれ、技術やデータを持って行かれたとかね・・・。

 

 

引き抜かれた会社からすれば、腹立たしいことかもしれないが、有能な人材をきちんと評価し、働きやすい環境で仕事をさせていたのか?ってことになるだろう。

 

旨い話があろうとも、それなりの環境とそれなりの報酬があれば、有能な人材が簡単に抜けることはないだろう。

 

まあ、会社と従業員の関係は主君と家臣のような御恩と奉公という関係ではないからね。

 

ただのビジネスパートナーである。

 

 

 

だから、会社を辞める人を止める権利も無ければ、残る義務もない。

 

労働に対する対価と職場環境が良い方に移るのは人間として当然の行動だろう。

 

 

 

これから先はこういうヘッドハンティングが増えると私は予想している。

 

 

人材不足と言われる時代だからこそ、人材の争奪戦が始まると思うのだ。

 

 

だから、社内がどれだけ働きやすい環境であるか?という事と労働にたいする報酬がある程度なければ、みな去っていくだろう。

 

そして、スカウトされなかった人が残り、真面に回らなくなってしまうかもしれない。

 

そうなれば、経営も厳しくなるだろう。

 

早く人材確保をして、安定した創業に持って行かなければ、未来はないんじゃないだろうか?

会社って、生き物と同じで、成長もするし、衰退もする。

 

 

じゃあ、その会社にとって、生命線とは何か?っていうと人材だと思う。

 

 

工場を自動化して無人で動かしてると言っても、それを考え、導入し、維持管理しているのは人間です。

 

 

やるやらないの判断も人間です。

 

 

どんな会社でも人材が居なければ成長もないし、滅ぶだけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

会社の経営が悪く、それを下で補っている人が居たりします。

 

上の指示通りに動くと問題ばかりで、利益にならないからと言って、下で修正しているという事もあるだろう。

 

また、逆もあって、下のミスを上がカバーする。これは当然のことだが・・・。

 

そうやっていろんな人が集まって会社は成り立っている。

 

 

 

その中に重要な人材って居ると思う。

 

 

あの人が辞めたら困るよねって人。

 

 

でも普通の会社は一時的なロスにはなるが、次に出来る人材が居たり、業務を分散したりして対応していく。

 

 

若しくは、有能な人材を連れてくる。

 

 

だから、1人抜けたくらいで潰れることはあり得ないんですよ。

 

 

そうならない様に後任が居たり、分散していたり、会社側がリスク回避を進めています。

 

 

ベテランが抜けると技術の継承が難しいからと言ってマニュアル化してる会社も多い。

 

 

しかし、私の勤務している会社では、万が一があり得る話である。

 

 

過去に「私が辞めたらこの会社はつぶれる」と言った人が何人かいる。

 

 

私はそれはあり得ないと思ったし、抜けた方が良くなるんじゃないって感じの人達だったから・・・

 

 

結果は予想通り、一時的に担当者が不在の部分があるが、前任が担当したり、無駄なことが省かれたりと結果的に良くなった部分も多い。そして会社は全く傾くこともなかった。

 

 

でも、社内を見渡してたった一人だけ該当する人物がいる。

 

 

部長や役員、社長が辞めても、実際困らないんですよね。

 

 

だって、この会社はそういう組織と言うものが成り立っていないし、部下を管理するという仕事をやっている人がいないからね。

 

 

 

問題は製造業として重要な設備やインフラについて対応している人です。

 

 

たった1人で工場の全ての設備を把握し、不具合があれば点検、修理、改造を自ら行う。

 

必要な部品の選定、見積り、予算取り、発注、取り付けと必要な加工としてCADでの製図、加工、溶接、塗装、配線を行う。

 

しかも40年以上昔の機械も直せる。

 

そして、工場内で使用する設備だけでなく、受電から末端までの電気系統の把握と配線工事、コンプレッサーの維持管理とフォークリフトの維持管理、蒸気ボイラーや蒸気配管の管理、冷却水としてクーリングタワーやチラーの管理などもやっている。

 

そして、多種多様な製品に対して、生産に必要な付帯設備、二次加工機、選別機、検査装置を設計・開発、製作まで社内で行っている。

 

普通の会社ではありえないが、現場で使う消耗品のうち、エアーや電気に関するものやボルト類まで管理している。

 

だから、現場で使う部品が足りなくなってもその人が見積りし、購入して在庫管理しているのだ。

 

ISOも取得しているが、その人の部署は重要な位置にあるので、抜けるとマネジメントシステムが成り立たないから見直す必要も出てくるだろう。

 

抜けるだけで、日々の不具合で生産が止まり、その人以外は対応も出来ないので、簡単な事でも直すことが出来ない。

 

メーカーなど外注を呼べば費用も掛かるし、すぐには対応出来ないので、生産が遅れ、残業や休日出勤も増えるだろう。

 

それだけ考えても会社にとってはマイナスでしかない。

 

問題は社内の設備の殆どが中古のうえ、メンテもせずに使用しているので、いつ故障してもおかしくないというか、故障したまま無理やり使ってると言った方が正解かもしれない。

 

 

設備を入れ替えるにしても、電源を切離したり、接続したりという作業もやっているので、それさえできなくなるということだ。

 

その程度なら電気屋に言えばしてくれるだろうが安くはないし、工場全体を知らなきゃ出来ませんよね。

 

 

社内では上から下まで、そして海外工場までその人に頼るという状況が起きている。

 

更には外注業者や取引先の人でさえ、各担当者に聞いても話が通じないので、その人に直接聞いている状態だ。

 

本当に守備範囲が広く、何でも知ってるし、何でもやる人って感じで、海外工場の立上げにも携わり、設備のことについても対応している。

 

現在も新工場と新事業の立上げにも携わっているので仕事量はとんでもなく増えている。

 

しかも通常の保全やインフラ関係の仕事って3人でやっていた。それをほぼ1人でこなしているという事実。

 

そこに衛生管理者の業務まで・・・。

 

なのにこの部署だけ求人募集してないし、社内でも人員を宛がったりもしない。

 

 

 

 

 

 

 

その人って会社の上層部がやってることがいい加減なので、全部後で尻拭いをさせられているんですよ。

 

そうしなきゃ何も進まないから・・・。

 

本来なら下からの報告に対して上が判断して指示を出すのだが、上が全く理解出来ていないというのが問題である。

 

もうその時点で会社として機能していないということだろう。

 

放っときゃ勝手に消滅しそうな会社だ。

 

その人は会社にとって生命維持装置と同じなんだなって思う。

 

 

しかし、もっと問題なのは、会社に生命維持装置が付いてるって分からない連中が上に揃っているという事実だ!

 

 

もしその人が辞めても、社内に変わりが出来る人材はいない。

 

そして外部から連れてくるという他社とのつながりを持っている上層部もいない。取り合ってもらえないだろうね。

 

金出してヘッドハンティング会社に依頼する?絶対しないね。

 

じゃあ、ハローワークに安月給で求人募集して終わりかな?

 

まあ、誰も来ないだろうが・・・

 

 

 

もし、その人が辞めると言うと会社はどうするだろう?

 

多分「待ってくれ」って言うと思うが、引き止める術があるのだろうか?

 

会社が出来ることとすれば、役職を上げるとか給料を増やすとかだろう。

 

3人分の仕事をしてるからって3倍の給料を出すなんて絶対言わないよ。

 

今の仕事を減らすことなんて出来やしないんだから、金で解決するしかない。

 

でも社員の評価をいい加減にしているし、そもそも評価できる目を持ってないから、確実に折り合いなんて付かないだろう。

 

となると、終わりだろうね。

 

 

 

 

生命維持装置が無きゃ存続できない会社なんて遅かれ早かれ潰れるよ。

 

人間なんていつ病気になるか分からないし、怪我尾するかもしれない、長期休業なんてことも珍しくない。

 

不慮の事故で命を落とすかもしない。

 

そういうリスクも考えて人材を育て、会社として守って行かなければ、これから先はないだろう。