会社って、生き物と同じで、成長もするし、衰退もする。
じゃあ、その会社にとって、生命線とは何か?っていうと人材だと思う。
工場を自動化して無人で動かしてると言っても、それを考え、導入し、維持管理しているのは人間です。
やるやらないの判断も人間です。
どんな会社でも人材が居なければ成長もないし、滅ぶだけです。
会社の経営が悪く、それを下で補っている人が居たりします。
上の指示通りに動くと問題ばかりで、利益にならないからと言って、下で修正しているという事もあるだろう。
また、逆もあって、下のミスを上がカバーする。これは当然のことだが・・・。
そうやっていろんな人が集まって会社は成り立っている。
その中に重要な人材って居ると思う。
あの人が辞めたら困るよねって人。
でも普通の会社は一時的なロスにはなるが、次に出来る人材が居たり、業務を分散したりして対応していく。
若しくは、有能な人材を連れてくる。
だから、1人抜けたくらいで潰れることはあり得ないんですよ。
そうならない様に後任が居たり、分散していたり、会社側がリスク回避を進めています。
ベテランが抜けると技術の継承が難しいからと言ってマニュアル化してる会社も多い。
しかし、私の勤務している会社では、万が一があり得る話である。
過去に「私が辞めたらこの会社はつぶれる」と言った人が何人かいる。
私はそれはあり得ないと思ったし、抜けた方が良くなるんじゃないって感じの人達だったから・・・
結果は予想通り、一時的に担当者が不在の部分があるが、前任が担当したり、無駄なことが省かれたりと結果的に良くなった部分も多い。そして会社は全く傾くこともなかった。
でも、社内を見渡してたった一人だけ該当する人物がいる。
部長や役員、社長が辞めても、実際困らないんですよね。
だって、この会社はそういう組織と言うものが成り立っていないし、部下を管理するという仕事をやっている人がいないからね。
問題は製造業として重要な設備やインフラについて対応している人です。
たった1人で工場の全ての設備を把握し、不具合があれば点検、修理、改造を自ら行う。
必要な部品の選定、見積り、予算取り、発注、取り付けと必要な加工としてCADでの製図、加工、溶接、塗装、配線を行う。
しかも40年以上昔の機械も直せる。
そして、工場内で使用する設備だけでなく、受電から末端までの電気系統の把握と配線工事、コンプレッサーの維持管理とフォークリフトの維持管理、蒸気ボイラーや蒸気配管の管理、冷却水としてクーリングタワーやチラーの管理などもやっている。
そして、多種多様な製品に対して、生産に必要な付帯設備、二次加工機、選別機、検査装置を設計・開発、製作まで社内で行っている。
普通の会社ではありえないが、現場で使う消耗品のうち、エアーや電気に関するものやボルト類まで管理している。
だから、現場で使う部品が足りなくなってもその人が見積りし、購入して在庫管理しているのだ。
ISOも取得しているが、その人の部署は重要な位置にあるので、抜けるとマネジメントシステムが成り立たないから見直す必要も出てくるだろう。
抜けるだけで、日々の不具合で生産が止まり、その人以外は対応も出来ないので、簡単な事でも直すことが出来ない。
メーカーなど外注を呼べば費用も掛かるし、すぐには対応出来ないので、生産が遅れ、残業や休日出勤も増えるだろう。
それだけ考えても会社にとってはマイナスでしかない。
問題は社内の設備の殆どが中古のうえ、メンテもせずに使用しているので、いつ故障してもおかしくないというか、故障したまま無理やり使ってると言った方が正解かもしれない。
設備を入れ替えるにしても、電源を切離したり、接続したりという作業もやっているので、それさえできなくなるということだ。
その程度なら電気屋に言えばしてくれるだろうが安くはないし、工場全体を知らなきゃ出来ませんよね。
社内では上から下まで、そして海外工場までその人に頼るという状況が起きている。
更には外注業者や取引先の人でさえ、各担当者に聞いても話が通じないので、その人に直接聞いている状態だ。
本当に守備範囲が広く、何でも知ってるし、何でもやる人って感じで、海外工場の立上げにも携わり、設備のことについても対応している。
現在も新工場と新事業の立上げにも携わっているので仕事量はとんでもなく増えている。
しかも通常の保全やインフラ関係の仕事って3人でやっていた。それをほぼ1人でこなしているという事実。
そこに衛生管理者の業務まで・・・。
なのにこの部署だけ求人募集してないし、社内でも人員を宛がったりもしない。
その人って会社の上層部がやってることがいい加減なので、全部後で尻拭いをさせられているんですよ。
そうしなきゃ何も進まないから・・・。
本来なら下からの報告に対して上が判断して指示を出すのだが、上が全く理解出来ていないというのが問題である。
もうその時点で会社として機能していないということだろう。
放っときゃ勝手に消滅しそうな会社だ。
その人は会社にとって生命維持装置と同じなんだなって思う。
しかし、もっと問題なのは、会社に生命維持装置が付いてるって分からない連中が上に揃っているという事実だ!
もしその人が辞めても、社内に変わりが出来る人材はいない。
そして外部から連れてくるという他社とのつながりを持っている上層部もいない。取り合ってもらえないだろうね。
金出してヘッドハンティング会社に依頼する?絶対しないね。
じゃあ、ハローワークに安月給で求人募集して終わりかな?
まあ、誰も来ないだろうが・・・
もし、その人が辞めると言うと会社はどうするだろう?
多分「待ってくれ」って言うと思うが、引き止める術があるのだろうか?
会社が出来ることとすれば、役職を上げるとか給料を増やすとかだろう。
3人分の仕事をしてるからって3倍の給料を出すなんて絶対言わないよ。
今の仕事を減らすことなんて出来やしないんだから、金で解決するしかない。
でも社員の評価をいい加減にしているし、そもそも評価できる目を持ってないから、確実に折り合いなんて付かないだろう。
となると、終わりだろうね。
生命維持装置が無きゃ存続できない会社なんて遅かれ早かれ潰れるよ。
人間なんていつ病気になるか分からないし、怪我尾するかもしれない、長期休業なんてことも珍しくない。
不慮の事故で命を落とすかもしない。
そういうリスクも考えて人材を育て、会社として守って行かなければ、これから先はないだろう。