2024. 6. 29(土) 14 : 00 ~ 福岡シンフォニーホールにて
<第37回 名曲・午後のオーケストラ>
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77
(ソリストアンコール)
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002より
サラバンド ドゥーブル
シベリウス:交響曲 第2番 ニ長調 Op.43
ヴァイオリン:郷古 廉
指揮:平石章人
九州交響楽団
(コンサートマスター:扇谷泰朋)
今シーズンお初の「名曲・午後シリーズ」。
まずこの公演の楽曲解説についてはいつものチャーリーさんのブログをリンクさせていただきます(いつもありがとうございます✨)。
今回の指揮者の平石さん、存じ上げないな~、と思ってたがプロフィールを読んで昨年11月にフェドセーエフ氏の代役でN響を振った方、と知って、あぁあの方か!とわかりました。なにかと話題になった公演ですもんね N響の指揮研究員としてパーヴォのアシスタントなどを務めたりオペラではヤノフスキ氏や鈴木優人氏、下野竜也氏などのアシスタントを務めたそうです。
そしてソリストはこれまたN響の第一コンサートマスターの郷古廉さん。
前半はその郷古廉さんによるブラームス (1833-97)作曲のヴァイオリン協奏曲。
私が郷古廉さんを聴くのは2度目。前回は7年も前、2017年2月の九響の定期演奏会だった
あのとき24歳だった郷古さんも今年の12月で31歳になられる。
ヴァイオリンは7年前と同じく1682年製のアントニオ・ストラディヴァリウス "Banet"。
演奏自体は7年前に聴いたときよりもはるかに素晴らしかった。7年前に感じた弾き急ぐ感、スタミナの面、技術面など粗けずりなところ、などがすべて解消されていた。ゆったりとした深みのある音で余裕をもって弾いてらしたようにお見受けした。
N響の中で弾くことが郷古さんに大きな発展をもたらしたのだろうか。最も印象に残ったのが第1楽章のカデンツァ。これは本当にお見事!
指揮者の意図なのか曲全体がゆったりとしたテンポだったが、それがうまく活かされていたように思った。素晴らしい演奏だった。
7年ぶりの九響、素晴らしい時間でした!ありがとうございました!
— 郷古廉 Sunao GOKO (@sunaogoko) June 29, 2024
そしてブラームスの協奏曲、やはり傑作。今までで1番強くそう思った。生きていることによって生じる精神のざらつきがあってこそ、より浸透してくるものもあるのかなと。 https://t.co/hlVcAr76nN
ところで ブラームスのヴァイオリン協奏曲で私が非常に印象に残っているのはなんといっても2021年9月に聴いた金川真弓さんの演奏(カーチュン・ウォン&九響)
アクロスと違って音響が悪いサンパレスでの演奏だったが(この時の私の席は1階最前列w)、金川さんの冒頭の音から雷に打たれたようなインパクトだった。ストラディヴァリウスとグァルネリの違いはあるだろうが、個人的には金川さんの方が圧倒的に説得力がある気がした。
この日演奏を聴きながら、金川さんで聴いたときのことが鮮やかによみがえってきた。
また彼女の演奏聴きたいなぁ。
後半はシベリウス (1865-1957) 作曲の交響曲第2番。
シベリウスの生涯については以前書いたことがあります
そして私がこの第2番を聴くのは2回目、なんと10年ぶり
前回は2014年9月にドゥダメル&ウィーン・フィルで聴いた。
このときはドゥダメルのシベリウスが”ラテン系”、”北欧的ではない” ”こんなんシベリウスじゃない”といったような声も結構聞かれたが(見た目で判断してるのかもだけど偏見だと私は思う。)、元々この作品ってシベリウスがイタリア(ジェノヴァ近郊の保養地)に長期滞在中に書き始めたものなんだからドゥダメルのシベ2に南国の雰囲気を感じるとしたらそれは当然なのかもしれんけど。
で、今回10年ぶりに聴いたシベ2・・・
ブラームスと同じく結構ゆっくりなテンポ? ブラームスは意図的にゆっくりなのかと思っていたが、シベリウスも同じようなゆったりテンポだった。平石さんはどれもこのくらいな感じで振るのだろうか。いや、テンポゆったりでもいいんですけどね、全体的になんか間延びした感じ。
元々長い第2楽章がえらく長く感じた。途中でやや退屈してしまった・・
オケ自体はすごくよかった。弦も木管、金管もそれぞれが一体感があって聴きごたえがあった。
オケのよさでフォローされていたような。個人的には感動するまでには至りませんでした。
ただ私自身この曲自体が大好き~ってほどでもないのも大いにあると思います。
個人的な雑感を・・・
九響は主幹の渡辺さんも元N響、ミュージックアドバイザーのマロさんもN響ということで今回のキャスティング(彼らが招聘した)になったのかしら。 今後もN響色がだんだんと強くなるのかな・・
N響はたしかに幅広い人脈があるでしょうけど、海外指揮者はまだいいとしても、(言葉は悪いが)N響の下請けみたいにはなってほしくない。(これも言葉が相当悪いけど)練習台にはしてほしくない。九響は自身が築き上げてきた大事な人脈があります。たとえばカーチュンやバッティストーニやポリャンスキー、コバケンさん、川瀬さん、昨年ならクオクマンなどなど。 こういう方たちも大事にしてほしいと私は思う。平石さんが今回いきなり「名曲・午後」を振るって正直大抜擢だなあと思いました。なんだろう、終演後に各奏者を立たせて讃え方ひとつにしてもなんとなく表面的なような(あくまで主観です)
同じN響の指揮研究員でパーヴォのアシスタントを務めていた熊倉優さん、今月末に定期演奏会を振りますが、熊倉さんとはまだだいぶ差があるような気がします(比べたらいかんけど)。
まあ皆そうやって下積みをして大御所になっていくのですよね。皆だれしも下積み時代があるんだし。今後のご活躍に期待しております。