2024. .3. 15 (金) 19 : 00~ 福岡シンフォニーホールにて
<第419回 定期演奏会>
~万感胸に迫る 小泉の真骨頂!~
ベートーヴェン:交響曲 第2番 ニ長調 Op.36
R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」Op.40 TrV 190
指揮:小泉和裕
九州交響楽団
(コンサートマスター:扇谷泰朋)
もう4月になっちゃいましたが 忙しくてほんとキツいです
コンサートの記録も滞りまくってますがそろそろ書かねば・・
小泉さんが九響の音楽監督としては最後の定期演奏会でした。
ただ4月からは九響の名誉音楽監督に就任されるので、今後も九響を振りにこられる予定です。
以下曲については、主に月刊誌「九響」内の堀朋平氏の解説を参考に書きます。
前半はベートーヴェン (1770-1827) 作曲の交響曲第2番。
この曲は1800年に着手して1802年に大部分が完成、1803年に初演された。
このころのベートーヴェンは1800年に交響曲第1番を発表、この第2番が出版されるころには第3番にも着手していたが、一方で20代後半から悩まされていた難聴がひどくなり1802年10月にはあの「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いている。
『羊飼いが歌っているのを誰かが聴いているのに、私には何も聴こえない。こうした出来事で、ほとんど絶望に追いやられてしまった。もうちょっとで自分の人生を終わらせるところだったのだ。』
これは10月6日に書かれた遺書の4日後の10月10日に追記として書かれたもの
:左ページの最下部には『いや、そうではない___そうだとすれば、あまりに辛いことだから (nein ---o es ware zu hart) 』とあり、その右に『わが死後に読み、実行すべし』とある。
(遺書全文などに関してはこちらのサイトが詳しかったです)
しかし、この第2番からは彼のこのような絶望的な心情は微塵も感じられず、彼の言葉を借りれば ”清らかな歓喜の日”が充満している。シューベルトは若いころ本作をこよなく愛し、ベルリオーズは「(本作には)少しの憂鬱にも決して曇らされない、純粋無垢な幸福がみなぎっている」と賞賛した。
本作は当時としては珍しくクラリネットを多用しており、第2楽章は100年ほどのちに合唱用に編曲、「主よ、奇跡をなしたその御名を讃えん」と宗教的な歌詞がつけられた(E.S.ケラー編)。
私はこの曲はベートーヴェン・チクルスの一環として何度か聴いたことはあるが、単独として聴いたのは初めてかも。
この日のオケは後半を見据えてのことだと思うが、ひっさびさに16型(通常は大体14型なので)でこの曲も16型で演奏された。扇谷さんと西本さんのダブルコンマス。
弦がちょっと増えただけでもいつもの圧と全然違ってた。
なので私のイメージする第2番と比べると、お、重々しい・・・
最も仕事疲れがたまっている平日金曜の夜だったのもあるのか個人的にはえらく長く感じてしまった・・・
ただ小泉さんの2番もこれはこれでありなのかもしれない。
ホルンが時にパオっていたぽいのがちょい残念だった。
トイレ休憩で目を覚ましてw 気合いを入れ直して後半へ。
後半はリヒャルト・シュトラウス (1864-1949)作曲の交響詩「英雄の生涯」。
この公演に備えて聴いた堀朋平先生の「九響おんがくアカデミー」についてはコチラ
本作は1898年 (シュトラウスが34歳の年) に作曲、翌年本人の指揮で初演されたがこのころのシュトラウスといえば、1898年の秋に故郷ミュンヘンを去りベルリンの宮廷歌劇場に着任、前職の倍を超える報酬になったそう。この4年前にはソプラノ歌手のパウリーネ (1863-1950) と結婚した(本作にはソロ・ヴァイオリンとして登場)・・というようにまさに幸福の絶頂期ともいえる時期に本作は書かれた。(ってか若くしてもう自分の人生をテーマに作曲するってさるがリヒャルト)
リヒャルト、妻パウリーネ、長男(1910年撮影)
(画像はwikipediaよりお借りしました)
妻パウリーネは大変気が強く、”鬼嫁”と呼ばれることもあるがw 彼女はドイツのヴァイマール歌劇場でリヒャルトが初めて作曲した歌劇《グントラム》のヒロインを歌ったのが彼女。音楽面でも日常でも夫を支え続けた良妻賢母でもある(広瀬大介氏のこちらのサイトも夫婦のエピソードなどが載っており面白いです)。
本作は6つの部分に分かれ、各々にリヒャルト自ら標題をつけている (後年の出版譜では削除されている)。第5曲の「英雄の業績」がいわゆる再現部にあたる(詳しくは上記の記事)。
で、実際の演奏についてだが、前半同様にオケ全体の気合いというか熱いパッションを感じさせるものだった。
こっからはあくまで個人的感想で、九響に関しては期待値も込めてちょい細かくなっちゃうのであしからず。 曲の前半は勢いは感じられるも細かいところがまだバラついているような気がした。なんとなくまとまりがないような。 でも徐々にビシッと締まった演奏になった。
扇谷さんのソロがとても素晴らしかった。
ただこのソロの後半あたりで自席の右の方(ブロ友さんの情報によると2階右ブロックあたりとのこと)で男性の大きな怒鳴り声が聞こえてきた。お前が~~とかバカが~~とか、しかも結構長く怒鳴ってたんですよね なにかマナーで注意されて逆ギレしたのだろうか、わからないけど扇谷さんのソロで静かな場面だったので興ざめ!! もう私なんかその怒鳴り声にびっくりして心臓バクバク、以後しばらく集中できなかった いくらなんでもほんと非常識 こいつ出禁にしてほしい
そうこうしてるうちに「戦場」になり大音響になったので助かったw
小泉さん、オケを鳴らす鳴らす~~ 人によっては音がダマになって聴こえたという感想もちらほらお見かけしたが、それ席のせいじゃないだろうか(知らんけどw)、私の席では大音量ながらもとてもクリアに聴こえてきた。こういうとこは九響の得意とするところで圧巻の演奏だった。
終曲のコーラングレでしみじみとなって静かに終わっていくところ、最後の最後でトランペット?かわからないが肝心のところで音が明らかに外れてガクっとなった。
ホルンはこの日首席が決まって初の定演での演奏となったルーク・ベイカーさん。彼がひとり入っただけでホルン全体の音が締まって聴こえるところは非常にいいと思ったが、やっぱりトゥッティが時々パオってたのが残念。私は音外しにうるさく言いたいわけではないしコントロールが難しい楽器なのもわかってはいるけどここぞという肝心のところで外されるとガクっとなる。
前述した最後のところはやっぱり残念、プロなんですから次の東京公演では当然改善してほしいと思った。
全体の感想としては(個人的には)大感動、とまではいかなかった(曲中の客席のトラブルのことも大きな要因なんだけど)。
東京公演では細かいところも含めさらに修正された演奏になることを期待してホールをあとにした。
アクロスではヒジョーに珍しく小泉さんのソロ・カーテンコールがあり、ブロ友さまのチャーリーさんがその様子を撮っておられたのでそれを載せさせていただきます。
ソロカーテンコール‼️#九響 #小泉和裕 #ラスト公演 https://t.co/ozqaD7cEON pic.twitter.com/UR58MGwskY
— チャーリーの音楽の旅 (@xGkeuufRfHDlgid) March 15, 2024