P.ヤルヴィ& RCO, ラン・ラン:ベートーヴェン;ピアノ協奏曲2番, ブラームス;交響曲4番 | Wunderbar ! なまいにち

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まだまだひよっこですがクラシック大好きです。知識は浅いがいいたか放題・・・!?

2019. 11. 22 (金)  19 : 00 ~     ミューザ川崎シンフォニーホールにて

 

ワーグナー:歌劇 「タンホイザー」序曲

 

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 Op.19

(ソリストアンコール)

ベートーヴェン:エリーゼのために

 

ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98

 

(アンコール)

ブラームス:ハンガリー舞曲 第3番 ヘ長調

                 ハンガリー舞曲 第1番 ト短調

 

ピアノ:ラン・ラン

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団

 

 

今月4度目の、そして今年最後の上京~ふふ

今回だけオットと上京した。というのもオットが第九とブラ4が大好きだからだ。

私がブラ4を聴きに行くと聞いて嫉妬したのか、迷った挙句にチケットをとっていたためいきためいき

私は今年はセット券でとっていたため、互いの席はバラバラだったグゥ~

 

ロイヤルコンセルトヘボウ管(以下RCO)といえば、私は3年前に映画「ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来る」というドキュメンタリー映画を観たことがあり(記事はコチラ)、それ以来何となくこのオケに親近感を持っている。

この日もこの映画に出てた楽団員の方々いないかな~と探して、フルートの女性首席のエミリー・バイノンさんや打楽器奏者の方、ファゴットの方など見つけて嬉しくなったラブラブ

 

その時の映画のチラシです。

 

 

さてさて、1曲目はリヒャルト・ワーグナー(1813-83)の歌劇「タンホイザー」序曲

冒頭のホルンを聴いただけで、「あぁ~この音いいなぁ~照れちゅん」と惚れ惚れした。これこそ私が大好きな音・・・泣く

全体的に感じたのは、端正で若干おとなしめの「タンホイザー序曲」なのかな、ということ。

個人的な好みでいえば、金管がもっと派手に鳴り響いて、途中から弦がずっと同じ旋律を何度も何度も繰り返すところはもっとドラマティックにガシガシと鳴らす方が好きかも。

でも久々に聴いたRCOはやっぱりうまいなと思った。

 

 

2曲目はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1827)のピアノ協奏曲第2番

ソリストはラン・ラン氏 (1982~)。 私はラン・ランを実際に聴くのは初めてだった。

メモベートーヴェンは5つのピアノ協奏曲を作っているが、この第2番は実は作曲順としては最初に書かれた(出版順で「第2番」となった)。ハイドンやモーツァルトの影響が強く残っている作品といわれる。1798年の決定稿まで4度に渡って改訂を施している。

 

ステージに現れたラン・ランは白いワイシャツに黒の上下のスーツ。前テレビで観たときよりもやせて引き締まったように見えた。ピアノが始まるまでのオケの演奏のところでは時折、太ももに置いた手でトントンと拍子をとるような仕草をしていたが、弾き始める直前に椅子をすっと後ろに引いてゆっくりと手を鍵盤の上へ。

 

ラン・ランの弾いたこの曲、なんと独特なんだろうと思った。ラン・ラン節とでも言ったらいいのか・・・ 聴く人によっては”斬新で、聴きなれたこの曲が新鮮に聴こえる”という人もいるだろうし、一方で”わざとらしく、あざとい”と感じる人もいるかもしれない。

テンポの揺らしの振り幅がとても大きい。第2楽章が最も顕著だったような気がする。

第2楽章の最後の方でピアノがゆっくりと一音一音弾いていきながらも弦が時々そっと支えるところなど最も”溜めて”弾いていた。その一音一音の”溜め”が長いんだこれが。その消え入りそうな弱音はたしかに素晴らしいと思ったが、その溜めながらの音を弾いている間、ラン・ランは虚空を見つめたまま恍惚の表情・・・ まさにラン・ラン劇場でしたな笑う

ラン・ランはまるで弾き振りのように、弾いていないときの左手をしょっちゅうバレエのように優雅に動かしたり、時には「ストップ!」というようにパッと開いたりしていた。

 

すごいなと思ったのは、このラン・ランの自由な演奏にオケがぴったりと合わせていたこと。

パーヴォは時々彼の方を向いて微笑んでは、自由に弾きやすいようにぴたっとサポートしてオケを動かしているように思えた。パーヴォもすごい!

 

ラン・ランの音は私の好みからするとやや硬い。弱音は時々ハッとするように綺麗だが、先日このホールで聴いたブロンフマンの方が音色が多彩で粒立ちもクリアで美しかったような気がした。 ラン・ランは2017年に左手の腱鞘炎を患い、100以上ものコンサートをキャンセル(その際BPOとの来日公演もキャンセルとなった)、1年3か月間表舞台から遠ざかっていた。左手の状態は今は大丈夫なのだろうか。

ラン・ランは前にインタビューで、この1年3か月の間のことを「人間として成長できたし、忍耐力もついた」と言っていた。

私は以前はラン・ランのことがやや苦手に思っていたが、その後ラン・ランのトーク番組やインタビューなどを見ていて、その厳しい幼少期のことやポジティブな考え方やなどを聞いて印象がガラッと変わって好きになった。 この日カーテンコールに応えるときもオケや客席の全方向に向かって何度も何度も頭を下げていた。

 

ちょっと話が脇道にそれますが・・・

そういえば、この日ラン・ランが弾いていたピアノ、遠目に見てな~んかいつものスタインウェイと違うはてなマークはてなマーク で、この日買ったパンフの広告を見てわかったのだが、この日ラン・ランが弾いていたのは、スタインウェイとのコラボによる限定モデル "the Lang Lang Black Diamond"らしい。ちなみにスタインウェイがピアニストの名前を冠したモデルを出すのは初めてらしいaya

デザインしたのはアメリカのDakota Jackson。 コンサートグランドのD-274をベースにしたもの (縞黒檀仕上げ)と、小さめのB-211をベースにしたもの(光沢黒檀仕上げ)の2モデルがあるそうだ。

脚のところにダイアモンド型の飾りや、突き上げ棒が流線形のS字型になっていた。そしてピアノにはラン・ランのサイン「朗朗 LANG LANG」が入っている。

詳しくはコチラ 下差し

The Lang Lang Black Diamond Steinway

 

パリのお披露目会で "the Lang Lang Black Diamond Seinway"を弾くラン・ラン

(この写真は上のサイトからお借りしました)

 

こちらは今回の来日ツアーのリハでこのピアノを弾いているラン・ラン

(この写真はRCOの公式ツイッターからお借りしました)

 

ピアノ      ピアノ      ピアノ      ピアノ      ピアノ      ピアノ      ピアノ

 

後半はヨハネス・ブラームス (1833-97)の交響曲第4番

私は実はブラームスの交響曲の中でもこの4番がやや苦手・・・あはは… 

冒頭のさめざめと泣いているような切れ切れの音からして苦手だし曲の最後の終わりも悲劇的な感じで終わるところもやり切れない気持ちになってしまう・・・

でも同時にブラームス自身がこの曲を「最高傑作」と自負しているのもうなづける。

この日の演奏を聴いて、この第4番はやっぱり素晴らしい曲なのだと再認識した。

 

前半もよかったのだけど、この曲になって弦の響きが一層素晴らしくなったような気がした。

弦は16型だったが、なんといってもこの弦の音色が本当に素晴らしくって!!!!はーとはーと

RCOの弦を「ビロードのような」と最初に形容した人は、まさに言い得て妙だと思う。

私はRCOを聴くのは今回で3度目ですべてこのミューザで聴いているが、今回ほど弦の音色や響きに感動したことはないかもしれない。

私は今回セット券を買ったので、グレの歌(東響)→VPO→BPO→RCOと全く同じ席で聴いたのだが、曲は違えども弦やその他の楽器の音や響きの違いも色々と感じるところがあり面白かった。 そしてこの日のRCOの弦全体の音色がこれらのオケの中でダントツで好きだビックリマークと思った。 さらに金管、木管どれをとっても個々のレベルがとても高い!全体のバランスがすごくいいのだ。

 

それにパーヴォの指揮がまたすごいと思った。指揮者が違うとオケの音色までこんなに変わるもんなんだろうか。

第4楽章の、私が最もキュンとなる(第12変奏の)フルートの哀愁ただようソロ(首席のエミリー・バイノンさんのこのソロは哀愁もありながらも女性らしい芯の強さも感じられるしっかりとしたソロだった)の少しあと、3人のトロンボーンが吹いて、そのあと盛り上がっていくところなどはパーヴォらしくスピーディにぐんぐんと捲っていた・・かと思うとぐっとまた落とす。オケもパーヴォにしっかりとついていく。 このコンビすごく相性がいいんではないだろうか。パーヴォもN響振ってるときよりよほど活き活きして見えるような気も・・・

パーヴォ、RCOの新しいシェフになっちゃったらどうなんだろうか~うっとり顔・ネコ恋

 

アンコールはハンガリー舞曲の3番と1番だったが、アンコールでよく聴くこの1番もすんごくよかった!パーヴォ天才!!キャーキャー

 

RCOは4年ぶりに聴いたのだが、次回来日した際にもまた聴いてみたいと思った。