メータ&ベルリン・フィル:R.シュトラウス;「ドン・キホーテ」、ベートーヴェン;「英雄」 | Wunderbar ! なまいにち

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まだまだひよっこですがクラシック大好きです。知識は浅いがいいたか放題・・・!?

2019. 11. 19 (火)  19 : 00 ~    ミューザ川崎シンフォニーホールにて

 

R. シュトラウス:交響詩 「ドン・キホーテ」 Op.35

 

ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」

 

 

チェロ:ルートヴィヒ・クヴァント

ヴィオラ:アミハイ・グロス

指揮:ズービン・メータ

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 

 

上京2日目。平日昼間の仕事がない一日のなんと幸せなことでしょう~はーと ホテルで午前遅くまで寝て、JR川崎駅に隣接したatreのユニクロでパンツ買ってパンツ(なんとパンツ持ってくるのを忘れてた~てへ)、タリーズでコーヒーコーヒー飲みながら読書して・・本 と夢のようなひとりきりの時間でしたうまぁ~

そして夜はミューザのコンサートへ。福岡に続いてBPOの2公演目。

 

2階のホワイエに上がると、22日のサントリーホールでの公演のチケットが売っていた。

まだ余ってるのかと少々驚いた。21・22日と同じブル8だからだろうか、天下のBPOでも余ることがあるんだな~。

 

今日のオケは弦は福岡のときと同じく16型でコントラバスは舞台下手側。前半は曲のため(独奏ヴィオラのため)に第1ヴァイオリン、チェロ、第2ヴァイオリン、ヴィオラ(ヴィオラが第1Vnの対面)の順に配置、後半は通常の対向配置だった。コンマスはなんとダニエル・スタブラヴァ (Daniel Stabrawa)さん!キャー 私はBPOのコンマスの中でスタブラヴァさんが一番好き(∀)なのです(そういえば今年BPOの4人目のコンマスにクシシュトフ・ポロネク(Krzysztof Polonek)さんの昇格が決まったそう)

ホルンはブル8のときと逆で舞台下手側、ティンパニは後方の中央、打楽器類は舞台左(上手側)など。

 

スタブラヴァさんの隣には樫本大進、第2ヴァイオリンにあの巨漢の方やチェロにハリソン・フォードこと(私が勝手にそう呼んでいるだけだがw)オラフ・マニンガー、コントラバス首席にはヤンネ・サクサラなど、弦も今までおられなかったメンバーがちらほら。

フルートにはマシュー・デュフォー、クラリネットにはアンドレアス・オッテンザマー、大ベテランのヴァルター・ザイファルト(Walter Seyfarth)もいた。オーボエにはジョナサン・ケリー (以上敬称略)などブル8のときとは木管はガラッと変わっていた。

これってベルリン・フィルはほとんど総出で来日しているということ?すごいなぁ。

 

 

前半はR.シュトラウス (1864-1949)の交響詩「ドン・キホーテ」

メモスペインの作家セルバンテスが書いた「ドン・キホーテ」は、騎士道小説に夢中になりすぎて妄想にとらわれた郷士が、自らをドン・キホーテと名乗り従者サンチョ・パンサと旅する冒険話。 R.シュトラウスは「ツァラトゥストラはかく語りき」(1896年)のあとにこの曲を作曲、1897年に完成、翌年に初演した。

 

「ドン・キホーテ」の物語は、私は多分小学生のころに子供向けにアレンジしたものを学級文庫で読んだ記憶があるが、読んだ感想は 「この人バカじゃなかろうかhate」だった。 私も大概妄想好きだがここまではないあはは… なんでこの話にリヒャルトが共感したんだろうなと思っていたが、聴いていたら何となくわかる気もした。

 

ベルリン・フィルが来日公演でこの曲を披露するのは初めてだという。

私自身もこの曲を聴いたのは初めて。 ほんとは「ドン」を見ただけで「ドン・ファン」の方と勘違いしててにゃ 慌てて上京前日に予習したのだったてへ

次回この曲を聴くときのための備忘録のため最初にパンフに載っていた沼野雄司氏による曲解説が分かりやすかったので引用します。

 

騎士物語を読みすぎて空想と現実の区別があいまいになっているドン・キホーテ。従者サンチョ・パンサを連れて冒険の旅に出発➡序奏:ゆるやかな対位法のあとにチェロとヴィオラによる二人の主題

道中、風車を巨人と思い込んで突撃、風車の羽に弾かれて敗北➡第1変奏:チェロの突進と、風をあらわすハープのグリッサンド

老いぼれ馬に乗って羊の大群に飛び込んだあげく➡第2変奏:金管楽器による羊の鳴き声

正気に戻れというサンチョと口論になり➡第3変奏:幻想曲風にチェロとヴィオラが展開

懺悔者たちが手にする像を貴婦人だと思い込み突進するが、村人たちに痛めつけられて失神➡第4変奏:ファゴットと金管のうやうやしい和音

貴婦人ドゥルネシアへの愛を誓いつつ見張りに立つが、➡第5変奏:チェロ独奏、そしてハープを用いたカデンツァ

その思いが熱く燃え上がった末、村娘をおいかけまわし、➡第6変奏:オーボエのアンサンブルと立体的音響

挙句の果てに娘たちにからかわれて、空を駆ける馬に乗っていると思い込む➡第7変奏:ウィンドマシーンが飛行を表現

舟に乗って水車に突撃するも水ちゅうに落ちてしまう➡第8変奏:トロンボーン、そしてチェロのピチカートが水を弾く

2人の修行僧を悪魔と思い込んで追いかけ回した末にあらためて旅に出発しようとする➡第9変奏:ファゴット2本による修行僧の描写

決闘で敗北して引退を決める➡第10変奏:トランペットによる戦闘シーン

そして、過去を回想するドン・キホーテは、最後はチェロの下行グリッサンドと共にあの世に旅立つのだった。

 

 

で、実際の演奏は、めちゃめちゃ素晴らしかった!!!!きゃはきゃは

「ドン・キホーテ」でこんなに感動すると正直全く思ってなかった。

後半の「英雄」もとてもよかったが、どちらかと聞かれればこの「ドン・キホーテ」の方が感動した。

チェロのソリストを務めたクヴァントさんのインタビューによるこの曲の解説がパンフに載っていたが、それによるとクヴァントさんはこの曲を演奏する毎に原作を読み直すのだそう。自分の思うがままに世界を見るというドン・キホーテの話を、狂信的なテロ事件のニュースに触れるたびに思い出すという。

 

この曲では基本的にはチェロ独奏がドン・キホーテを、独奏ヴィオラがサンチョ・パンサを担うが、ドン・キホーテがサンチョと議論を交わす場面ではコンマスがドン・キホーテの役割を担う。 独奏チェロが直接独奏ヴィオラを音楽で会話を交わすのは、意外にも第10変奏でドン・キホーテが騎士に敗れ、故郷に帰る際のほんの4小節だけ。

 

クヴァントさんのチェロは最初こそ 「そんなには響いてはこないかな?」という印象だったが、途中からだんだんと朗々と響いてきた。白眉だったのが第5変奏の夜の見張りのシーン。ここの独奏チェロのカデンツァは本当に素晴らしくて思わず涙が出た泣く クヴァントさん自身、『ここが独奏チェロの最大の見せ場』と断言するのも頷ける。

他第3変奏後半でガラッと雰囲気が変わってオケ全体が美しく謳いあげるところも素晴らしかったし、独奏ヴィオラのアミハイ・グロスさんもめちゃめちゃうまい!ヴィオラでこんなに上手い人見たことないのでは!?というくらいうまかった。彼はイスラエルのエルサレム出身で、今年40歳。メータは彼がBPO入団前の新人時代から知っているらしい。

 

そして最後、フィナーレの始まりで主題で使われた5つの音が再び出てくる。曲の冒頭でのこの主題は滑稽さを感じるのが、終曲で聴くとなんとも物哀しく、”死の予感”を感じさせる。

クヴァントさんいわく、『1つの主題によって作品が大きな括弧でくくられる。』 うまいこと言うね!ぐっじょぶ ここでもドン・キホーテが静かに息をひきとる様が浮かんでくるようで涙が止まらなくなった泣く 今回この曲を聴けてほんとによかった!

 

この日の演奏の様子 (写真はBPOの公式ツイッターからお借りしました)

 

独奏チェロのクヴァントさんとヴィオラトップにいるのがアミハイ・グロスさん

 

 

後半はベートーヴェン (1770-1827)の交響曲第3番「英雄」

弦は変わらず16型。3人のホルン奏者のうち、2番ホルンに私の好きなサラ・ウィリスさんが着席した。サラさん相変わらずお美しい~ドキンちゅん

この演奏もとてもよかったビックリマーク 

メータは指揮台にのぼって椅子に座ってすぐに振り始めた。そして彼の振りは福岡で観たブル8のときよりも大きく活発だった。そして各楽器のキュー出しも細かくしていたように思えた。

私は3年前のラトル&BPOのベートーヴェン・チクルスの初日にこの「英雄」を聴いたのだが、このときの演奏よりも(個人的には)この日の方が全然いいと思った。ベルリン・フィルらしいどっしりと貫禄ある弦の音色。下から支える低弦の分厚い音!ケリーさんのオーボエ、デュフォーさんのフルートも本当に素晴らしかった。欲を言えば、第3楽章のホルンのトリオがもっと温かく深みのある音色だったら好みだったかな。でも全体的にはとてもよかった。個人的には昔を思わせるようなこういうどっしり感のあるベートーヴェンの方が好きだ。

ただ・・・最後の一音のあと間髪入れずのバカやろのブラボーが興ざめだったパンチ!怒る怒るアホか!

 

 

今回この「英雄」を選んだのは、メータが初めて日本に訪れたとき(当時音楽監督を務めていたロス・フィルと)に演奏した曲だから、だそうだ。メータの初来日は1969年。ということは、今年で来日50周年ビックリマーククラッカークラッカー

メータは、この3日前の福岡のときよりも歩く速度は早かったように思えた。

ソロ・カーテンコールにはデュフォーさんとケリーさんのおふたりを伴って、舞台の端っこにだけちょこっと現れた。

 

次回メータのお姿を拝見できるのはいつだろうか。今度お会いしたときはもっともっとお元気になっていらっしゃるように心から祈っています祈る

 

 

おまけ。

今回私の再三の上京で、家族から白い目で見られていることは前記事にも書きました。

この日、ホテルに帰って、(一応後ろめたい気持ちもあるので)家に電話して、「どう?そっちは変わりない?汗」 と聞いたら、

 

オット 「ちょっと~!今ドラマ(注:結婚できない男)のいいところなんやけん!むっ

私 「 ・・・ 怒る  じゃあ○○(娘)にかわって。」

娘 「ちょっと~!なんでかけてくると?かわらんでよかったとに!ちっ!(舌打ち)むっ

私 「 ・・・ 怒る怒る じゃあ切ります。」

 

なんだぁ?あいつらはよぉ~!?怒る もう東京ばな奈買ってやんないっ悪魔