2019. 6. 5 (水) 19 : 00 ~ 福岡シンフォニーホールにて
<日本・オーストリア友好150周年記念プログラム>
第1部
オルフ:カンタータ《カルミナ・ブラーナ》より「おお、運命の女神よ」
ヴィアダーナ:正しきものよ、主によって喜べ
メンデルスゾーン:羊飼いはよみがえられた
ハイドン:オラトリオ《天地創造》より 「天は神の栄光を語り」
ブラームス:《3つの宗教合唱曲》より 「喜ばしき天の女王」
ブラームス:詩編13番
ゲーリンガー:死と愛
バンキエーリ:3声のためのカプリース、動物たちの対位法
第2部
ピアソラ:リベルタンゴ
ディ・カプア/マッズッキ:オー・ソレ・ミオ
ロジャーズ:映画「サウンド・オブ・ミュージック」より 「ひとりぼっちの羊飼い」「エーデルワイス」
滝廉太郎:荒城の月
山本正美(上皇后陛下御作詞):ねむの木の子守歌
岡野貞一:ふるさと
ヴィルト:Peace Within (内なる平和)
オーストリア民謡:納屋の大戸
ヴンシュ:今日、天使たちがウィーンにやってくる
J. シュトラウス:水兵のポルカ
J. シュトラウス II:雷鳴と稲妻
J. シュトラウス II:美しく青きドナウ
(アンコール)
ロジャーズ:映画「サウンド・オブ・ミュージック」より 「ドレミの歌」
シャイマン:映画「天使にラブ・ソングを」メドレー
J. シュトラウス:ラデツキー行進曲
カペルマイスター/指揮者、ピアノ:マノロ・カニン
ウィーン少年合唱団(ブルックナー組)
ウィーン少年合唱団のコンサートを聴くのは子供のころ以来だと思う。その時は母親に連れられて行った。母は数年前にも聴きに行ってぜひまた聴きたいと常々言っていたので、今回私が誘って行くことにしたのだった。
私はコンサートとして聴くのは子供のころ以来だが、2年前にウィーンに旅行したときに王宮ミサでその歌声を聴いてそのプロフェッショナルな歌声にめちゃめちゃ感動した(そのときの記事はコチラ)。
今回の来日ツアーのスケジュールを見てびっくり仰天したのが、その数が多いこと!!
4月28日から6月16日まで全部でなんと32公演! これをこのブルックナー組の子たちが全部歌うんですよね?? 休みもあんまりないみたいだけど、連日歌って喉は大丈夫なんだろうか。そして学校の勉強は1か月もの間お休みして大丈夫なんだろうか・・・などなど色々気になってしまった。
前半の部は古典的な曲を、後半の部は日本の歌やオーストリアの民謡などなじみのある歌も多かった。
一番最初のカルミナ・ブラーナからのあの有名な「おお、運命の女神よ」(「料理の鉄人」で使われてたあれ)は、ひとりの子が小さいドラのようなものを鳴らしたりして迫力があった。
そのあとカペルマイスターのマノロ・カニンさんが日本語でご挨拶。このカニンさん、イタリア出身の方で、めちゃ明るくておもしろかった! 動作がいちいち大きくって笑いを誘う。
2曲目からは合唱団の中からかわるがわる出てきて、日本語で曲紹介。聴きどころなども一緒に紹介してくれた。
合唱団は全部で26名、中には日本人の子(11歳のケントくん)もいた。パンフを読むと、彼はウィーン少年合唱団のコンサートを聴いてとっても気に入って、トライアルを受けて入団したらしい そういうきっかけで入団する子もいるんですね!他にも数人アジア系の子たちがいた。10歳~14歳で、ちっちゃい子もいれば、まもなく声変わりするのではと思われるくらい大きな子もいた。
興味深かったのが、たとえば日本の児童合唱団などだったらほとんど直立不動で歌っていることが多いと思うけど、ウィーン少年合唱団の面々は歌う姿勢も各人様々。時々頭や鼻をかいたり、あえて言えば落ち着きなさげに見えることもあるが、きっと自由なスタイルで歌わせているんだろう。幼い頃に見たウィーン少年合唱団は帽子をかぶってぴしっとして歌っていた印象があったが、時代とともにスタイルも変わってきたのかもしれない。
ただ、聴こえてくる歌声はもう本当に”美しい”のひとこと
そしてこのツアー、プログラムが2種類あって、「ふるさと」と「美しく青きドナウ」以外は全部曲が違うので、約40曲! ドイツ語、英語、日本語、イタリア語(←たぶん)と多彩な言語で歌うし、しかも全部暗譜!歌詞を覚えるのも大変だと思うのに、それぞれ自分のパートを覚えて完璧に歌っているなんて、信じられな~~~い! いつもツアーで歌っているレパートリーなんだろうけど、それでもすごい。
第1部の終わりに歌ったバンキエーリの「動物たちの対位法」では色んな動物の鳴き声が聞こえてきて面白かった。
白眉は第2部の2曲目の「オー・ソレ・ミオ」。イタリア出身のカペルマイスターにちなんでの選曲だと言っていたが、これのクライマックスで先生がピアノでまだまだ~~!という風に歌をずーっとのばさせた。これがほんとに長くて、よく息が切れないなと驚嘆した。途中からは自然と拍手が起こり、終わるとブラボーの嵐。この日一番の大喝采だった
第2部の映画「サウンド・オブ・ミュージック」からの曲、日本語の歌もとてもよかった。
オーストリア民謡の「納屋の大戸」では、アコーディオンやトランペットを吹く子がいて、多彩な才能にこれまた驚いた。
幼い頃に見た少年合唱団のみんなは「憧れのお兄ちゃんたち」という存在だったのが、この日はすっかり「お母さん」目線でした。(←「おばあちゃん」目線だろっていう意見は却下)
一番気にいったのがソプラノのある子(たぶんNathanくん(13歳)っていうお名前かな?)で、この子の歌声はほんとに響いてきて美しかった!ソロの出番も多かった。
アンコール最後のラデツキー行進曲では、皆がステージ前に一列に並んで、真ん中の子がちゃんと手拍子の開始、お休み、強弱などをお客さんに指示していた。
ところで「美しく青きドナウ」が元々歌詞があった、というのは知っていたが(今日の歌詞が元々の歌詞かどうかはわからないけど)、雷鳴と電光やラデツキー行進曲にも歌詞があったとは!合唱曲として聴くのも面白かった。
かつてはシューベルトもこの合唱団で歌っていた。ウィーン・フィルの現在の楽団の団長のダニエル・フロシャウアー(第一ヴァイオリン)さんもかつてはこの合唱団の団員だったそう。
2年前に聴いたウィーンの王宮ミサの時は、終わった後、出てきた合唱団の子たちに頼んで写真を撮っている観光客も多かった。その子の横では迎えに来た親御さんが誇らしげに微笑みながら観ている光景を目にして、「この歴史ある少年合唱団の一員であることはとても立派なことなんだな」と思った。
ここでウィーン少年合唱団豆知識(すべて買ったパンフに書いてあった)
本拠地は、かつてハプスブルク家皇帝の夏の離宮だった「アウガルテン宮殿」。
ここの全寮制の私立学校(ギムナジウム)で、団員たちは教育を受けながら合唱団として活動する。
団員は10歳で入学し、1年生から4年生まで約100名が、「ブルックナー組」「モーツァルト組」「ハイドン組」「シューベルト組」の4グループに分かれて共に生活する。
入団のオーディションでの一番大切な条件は「歌うのが大好きなこと」だそう。
実際、日々コーラスのレッスン、ボイストレーナーによる個人レッスン、日曜日の王宮礼拝堂で歌うミサ曲、専用ホールMuThでのコンサート、ウィーン国立歌劇場や楽友協会などの舞台、レコーディング、年に3か月ほどの海外公演旅行など、それぞれにリハーサルと本番とがあるのでほぼ毎日が歌う生活。 だが歌うことで喉を鍛え、もっと歌えるようになるという。
海外公演はヨーロッパツアー、日本ツアー、アメリカツアー、アジア+ドイツツアーの4本柱を、すべての組が4年間ですべて体験できるように組まれている。
4年生はこの日本公演を終えたら6月に卒業するのだそうだ。
卒業後は皆進路が様々なのでしょうが、みんなの未来が輝かしいものでありますように
ホワイエにあったフォトスポット(この一番右の子がめちゃめちゃ上手かった!)
ユニセフに募金をしたらもらえた今日の出演者の皆さんの生写真
一緒に行った母もとても喜んでいた。また行きたいな