前回は牛乳の一括表示欄について書きました。
今日は、一括表示欄の標題の一つ目、「種類別名称」について見ていきます。

公正競争規約で扱う飲用乳の種類は、7種類あります。
大きく分けて、牛乳、加工乳、乳飲料の3つとなります。
牛乳はさらに5つの種類に分けられます。

※一部簡略化しています。詳細はこちら


飲用乳
├─牛乳(原材料は生乳だけを使用。生乳100%)
│  ├─牛乳(生乳を加熱殺菌したもの。無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪分3.0%以上)
│  ├─特別牛乳(牛乳との違いは製造方法。「特別牛乳搾取処理業の許可を受けた
│  │      施設で搾取した生乳を処理して製造すること」が条件)
│  ├─成分調整牛乳(牛乳との違いは乳成分の一部が除かれていること)
│  ├─低脂肪牛乳(牛乳との違いは乳脂肪分の一部が除かれていること。乳脂肪分0.5~1.5%)
│  └─無脂肪牛乳(牛乳との違いは乳脂肪分のほとんどが除かれていること。乳脂肪分0.5%未満)

├─加工乳(生乳または牛乳+「乳等省令で定められた乳製品の一部」が添加)
│    乳等省令で定められた乳製品の一部とは?
│     全粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、
│     クリーム並びに添加物を使用していないバター、バターオイル、
│     バターミルク及びバターミルクパウダーの11品目


└─乳飲料(乳+乳以外のなにかが添加)
   ├─白物(生乳、牛乳、乳製品のいずれかを原料とし、ほかに「カルシウム」、「ビタミン」、「鉄」、「せんい」などを使用)
   │     例)「明治ラブ」 栄養強化タイプ
   └─色物(生乳、牛乳、乳製品のいずれかを原料とし、他に「コーヒー」、「ココア」、「果汁」、「せんい」などを使用)
         例)ミルクティー、コーヒー牛乳、フルーツオレなど

では、実際の一括表示を見てみましょう!

■牛乳
前回の写真と同じものです。
牛乳は成分無調整です。季節によって成分値が変動します。
なので、無脂乳固形分8.3%以上、3.5%以上と確定値ではないわけです。
仮に無脂乳固形分8.0%、乳脂肪分3.0%に届かなかった場合はどうなるのでしょうか?
おそらく、牛乳としての質が担保されていないため通常の生乳としては
扱われず、加工用の生乳になるのだと思います。
身近な食べ物からはじめる食品学-牛乳の公正マーク


■特別牛乳
特別牛乳とは、「生乳を移動せず、搾乳した場所(生乳生産場所)で容器に詰めた
「牛乳」のこと」と、想いやりファームの社長さんに教えていただきました。

加えて、無脂乳固形分、乳脂肪分、細菌数も牛乳よりやや厳しめに設定されています。
想いやりファームのHP
を見ても、特別牛乳はよさそうな感じがします。
ここで販売している商品は無殺菌(本当の生乳)なので、自然の酵素、
乳酸菌が生きているらしく、牛乳を飲むと必ずお腹がゴロゴロする人でも、
この牛乳なら飲めるそうです。

では、その表示を見てみます。この商品は瓶詰めなので、表示はふたにあります。
身近な食べ物からはじめる食品学-特別牛乳
公正マークもしっかりついていますね。


■成分調整牛乳
ふむふむ、無脂乳固形分8.6%以上、乳脂肪分2.0%、原材料名生乳100%、規定どおりですね。
乳脂肪分が調整されているので、確定値です。
脱水処理を行って、乳脂肪分を逆に高めた牛乳もここに入ります。
仮に無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪分3.0%以上だったとしても、成分が調整されて
いますので「牛乳」にはなりません。
身近な食べ物からはじめる食品学-成分無調整牛乳


■低脂肪牛乳
乳脂肪分1.0%なので、低脂肪牛乳ですね。
身近な食べ物からはじめる食品学-低脂肪牛乳


■無脂肪牛乳
乳脂肪分0.1%、ほとんど入っていないので無脂肪牛乳です。
身近な食べ物からはじめる食品学-無脂肪牛乳


■加工乳
原材料が生乳100%ではなく、生乳と脱脂粉乳であることから、
低脂肪牛乳ではなく加工乳となります。

加工乳の場合は無脂乳固形分も乳脂肪分も調整されますので、
どちらも8.5%、0.8%といったように確定値です。
身近な食べ物からはじめる食品学-加工乳


■乳飲料
栄養強化型の白物ですね。
身近な食べ物からはじめる食品学-明治ラブ


以上が公正競争規約に規定されている飲用乳です。
これらの種類の飲用乳であれば、ほぼ公正マークがついていると思います。


さて、ここまではいいでしょう。本題はこれからです。

では、この飲用乳に含まれない乳製品の表示はどうなるのでしょうか?

たとえば、ヨーグルトです。

公正競争規約で扱う飲用乳の規定は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」
(「乳等省令」という)を基にしています。これを見ると、公正競争規約で扱う飲用乳の範囲は、
乳等省令で扱う範囲の一部にすぎないことがわかります。

つまり、乳等省令でいう「発酵乳」は、公正競争規約ではカバーしていないということです。

結果、すべてのヨーグルトの一括表示欄には、公正マークがありません。
これは最近飲んだヨーグルトの一括表示欄です。

やはり、表示内容が公正競争規約のものではありません。

■ヨーグルト
身近な食べ物からはじめる食品学-発酵乳

乳酸菌飲料もそうです。


■乳酸菌飲料
身近な食べ物からはじめる食品学-乳酸菌飲料


■殺菌山羊乳

乳等省令にしか定義されていないものは、発酵乳や乳酸菌飲料のほかにもいろいろあります。

たとえば、「殺菌山羊乳」もそうです。第二条に以下のような規定があります。

「この省令において「乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳をいう。」

実際に購入して一括表示欄を確かめました。

商品は「しれとこヤギミルク」です。
身近な食べ物からはじめる食品学-しれとこヤギミルク


やはり、公正マークはついていませんね。


結論としては、公正競争規約で扱う7種類の飲用乳についてだけ、
その表示形式に従う場合のみ、公正マークはついているということです。

また、この表示を行う製造業者は、全国飲用牛乳公正取引協議会の会員でもあります。

公正マークって、そういう意味だったんですね~


次回は無脂乳固形分、乳脂肪分、原材料名について見ていきます。



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