無事に領主会議で星を結んだアーデルベルトとイルムヒルデ。
帰領するとすぐにフェルディナンドの洗礼式を行う。
護衛騎士のカルステッドや、側仕えのユスクトス、家庭教師のエリザベスに囲まれ無事に洗礼式を執り行った。
メダル登録後様々な貴族から挨拶を受けているとジルヴェスターがやってきた。
「其方がフェルディナンドか!?私は其方の兄だ。兄と呼んで良いぞ。」
フェルディナンドはびっくりした。エーレンフェストに来てからずっとイルムヒルデの邸に居たので自分に兄が居るとは思っていなかった。
ビックリはしつつもきちんと挨拶をするフェルディナンド。
ジルヴェスターはフェルディナンドを無理やり連れ出そうとするがフェルディナンドは今日は自分が主役なので客をもてなしたり挨拶もしなければならないので一緒には行けないと断ると…
ジルヴェスターは持っていた菓子を2つに割片方をフェルディナンドに差し出した。
要らないと断るものの無理やり手を掴まれ手渡された。
「この菓子は私のお気に入りだ!とってもうまいぞ。分けてやる食べてみろ。」
「今は挨拶の途中なので後で頂きます。ユスクトスこれを…」
と、言って貰った菓子を渡す。
すると、面白くないジルヴェスターは片割れの菓子を口にいれると…
突然苦しみだして倒れた。
「きゃあジルヴェスター!」ヴェローニカが金切声を上げて近寄ってきた。
「誰!ジルヴェスターがフェルディナンドに毒を盛られたわ!早くこの子供を捕らえなさい!」
ユスクトスが直ぐにジルヴェスターに解毒を施した。
フェルディナンドはいきなり倒れたジルヴェスターを見つめ固まってしまった。
しかし直ぐに人には見えない女神ローゼマインがフェルディナンドのそばに来て彼を抱きしめた。
《大丈夫ですよフェルディナンド。貴方を害する者は何もありません。ジルヴェスターも大丈夫ですよ。》
フェルディナンドは女神のおかげですぐに落ち着いた。エリザベスも手を握ってくれて落ち着かせてくれた。
「ヴェローニカ何をしている!?フェルディナンド大丈夫か?」
「アーデルベルト様フェルディナンドがジルヴェスターに毒を盛ったのです!」
「何を言ってる?」
「わたくしは見ていたのです!菓子を割ってジルヴェスターに渡すところを。そして自分は食べずに!」
「あれは兄上がくれたのです!」
「黙りなさい!私生児が!わたくしは見ていたのですよ!嘘をつくなんてさすが私生児だわ!」
「ヴェローニカ!誰が私生児だ!」
「ボニファティウス様はこの私生児が誰の子か知っているのですか?」
「たった今イルムヒルデの子として洗礼を上げたばかりではないか!」
「そうだ。フェルディナンドは私とイルムヒルデの子だ。」
「アーデルベルト様!その子は貴方様がどこからか連れてきた子ではないですか?貴方の子かも分りません!それに倒れているジルヴェスターが心配ではないのですか?」
「フェルディナンドは正真正銘私の子だ!腹にいるときから魔力も注いできた!母はイルムヒルデだ!」
「イルムヒルデ様は子は産めないではないですか!」
「ヴェローニカ様。フェルディナンドはわたくしの本当の子ですよ。心で産んだ…それに洗礼のときの親が全てです。」
「何を綺麗事を!」
ジルヴェスターは急いで医者のもとに運ばれた。
「わたくしの大切なジルヴェスターに毒を盛ったのですからその子を捕らえなさい!カルステッド早くなさい!」
「いや、その必要はない。ユスクトス!」
「はっ!こちらでございます。先程フェルディナンド様からお預かりしました菓子でございます。毒の有無も見分しましたが何も検出されません。ジルヴェスター様の食べかけからも何も選出されませんでした。」
「では、毒はどこから持ち込まれた?」
その時ジルヴェスターの側仕えが倒れた。
アーデルベルトとボニファティウスの頭の中に声が響いた。
《その倒れた側仕えが隠し針でジルべヴェスターに毒を与えました。私が眠らせました。記憶を調べなさい。でも気を付けるように。その側仕えはヴェローニカに名を捧げています。》
「女神様…」
「そこの倒れた側仕えを騎士団に運び記憶を改めよ!」
「何を!」
「ヴェローニカ。そこの側仕えの名捧げ石を解除せよ。」
「何を言っているのです!」
「ヴェローニカ!即刻解除しないなら其方の記憶を見るぞ!」
全てはヴェローニカの策略でした。フェルディナンドに毒を盛ってもどうしてか効かない。何を仕掛けても悉く跳ね返されるどうにかしてフェルディナンドを排除しなければ、イルムヒルデが第一夫人になってしまえばその息子が次期アウブになってしまうとかなり焦った結果でした。
側仕えは記憶を見られました。確かにジルヴェスターにどく針を使ってはいましたが背景的にはヴェローニカが直接命令したわけではなく間に何人か経由していたためにヴェローニカを白の塔まで入れることはできませんでした。
しかし名捧げを何人かに強要していることが分かり離れに蟄居になりました。
軽い処罰になったのはジルヴェスターが母を恋しがり不安定になったからです。貴族院に通っている歳なのに母離れできないジルヴェスターはアーデルベルトにとって頭痛の種でした。
と、ここまで。