白い肌に狂う鞭 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『白い肌に狂う鞭』

 

 

 

 

 

1963年 イタリア・フランス

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 ジョン・M・オールド

 

脚本 ロベール・ユーゴー/ジュリアン・ベリー/マーティン・ハーディ

 

撮影 デビッド・ハミルトン

 

音楽 カルロ・ルスティッケリ

 

 

 

出演 ダリア・ラビ/クリストファー・リー/トニー・ケンドール/イズリ・オベロン/ハリエット・ホワイト/ディーン・アルドゥ

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

イギリスの名優クリストファー・リーを主演に迎え、耽美な映像の中に猟奇を描いた傑作ホラー!

 

イタリアホラーの巨匠マリオ・バーヴァ監督がジョン・M・オールド名義で撮った作品、出演は「明日になれば他人」のダリア・ラビ、「吸血鬼ドラキュラ」のクリストファー・リー

 

美しい映像の中でサドマゾの猟奇を描いた傑作で、本作でマリオ・バーヴァはカラー作品のホラー映画でも大きな評価を得た代表作

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

19世紀ヨーロッパ、海岸の城に住むメンフリ伯爵の長男クルトは数年前に召使いジョルジアの娘タニアを辱めた上に捨て、その彼女を自殺に追い込んだために父親に勘当されて出て行った

 

母親はタニアが喉を突いた短剣を保存し、この短剣でいつの日かクルトを同じ目に遭わせる決心をしている、そのクルトが城に戻ってきたのだ

 

 

弟のクリスティアーノがネベンカとの結婚を祝いに来たと言う、しかし本心は弟に全財産を渡すのは不公平だと、それと自分の身分を返してくれと

 

 

父はクルトにお前は周りの人間を苦しめて喜ぶ奴だと言い捨てた、クルトはその場は下がるも強引に城に滞在することを決めた、召使いには厳しい目で見られるも笑顔で返す

 

 

ネベンカはかつてはクルトの許嫁だったが勘当されてしまった為にクリスティアーノと結婚することになった、クリスティアーノの元々の許嫁はカティアでネベンカに嫉妬心があった

 

 

海岸で一人物思いに耽るネベンカにクルトが近付き、ネベンカに迫り、これが好きだっただろうと鞭打ち、拒否しながらもクルトを受け入れるネベンカ

 

 

その夜、クルトは城の自室で殺されてしまう、タニアが自殺した短剣で喉を刺されて、タニアの母ジョルジアは同じ死に方をしたので神に感謝を捧げます

 

 

放蕩息子だったクルトだがメンフリはやはりショックを受け、葬式をしてやり丁重に埋葬をしてやった、しかしある夜にネベンカはクルトの亡霊を窓の外に見て半狂乱となる

 

 

そのクルトの亡霊はネベンカを激しく鞭打ちし、ネベンカは喘ぎ、自分の手を噛んだ、クルトとネベンカはサドとマゾの関係でクルトが他の女に手を出し、クリスティアーノと結婚することになった

 

 

それにクリスティアーノとカティアの会話でネベンカと結婚したが今でもカティアを愛していると聞いてしまい自暴自棄になってしまう

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

1960年代でサドマゾや性的嗜好を扱うなんて時代が早かったですね、こういう性癖は少数派だったので物議をかもすだろうと「血ぬられた墓標」のマリオ・バーヴァは監督名をジョン・M・オールドに変えて発表したのでしょう

 

 

まずは勘当したクルトが帰ってきたことから始まります、演じるのは「吸血鬼ドラキュラ」のクリストファー・リーで、さすがの存在感で迫力ありますね

 

 

弟のクリスティアーノが結婚するために戻ってきたとね、でも彼を受け入れる者はいませんが強引に滞在します、クリスティアーノを演じるのはトニー・ケンドール

 

 

このクリスティアーノの結婚相手がネベンカでかつてはクルトの許嫁だったんです、召使いの娘タニアを弄んで自殺に追い込んだことで勘当されたんです

 

クリスティアーノにはカティアという許嫁がいたのですが、城の当主となることからネベンカと結婚せざるを得なかったんです、なのでカティアは複雑な立場でいるんです

 

 

しかしクルトは再びネベンカを鞭打って襲うのです、ネベンカも口では拒否するもののクルトを求めてしまいます、この2人は許嫁の時からサドマゾの関係だったんです

 

 

なのでネベンカの体はもうクルトしか愛せない体になっていたんです、しかもクルトはネベンカを裏切ってタニアに手を出して自殺に追い込んでるので許せないのです、ネベンカを演じるのはダリア・ラビ

 

 

そんなクルトを勘当して追放してクリスティアーノと結婚させたメンフリ伯爵も許せないのです、クルトが死んだ後にも彼の亡霊を見て鞭打たれるのです

 

 

前半にこの家族の愛憎劇が明かされて誰が誰を憎んでいるとか、ややこしい人間関係だとかがわかります、クルトとメンフリが殺されて疑心暗鬼になっていくのです

 

 

ネベンカとしてはクリスティアーノは自分と結婚できて喜んでいると思っていたら、実はまだ元の許嫁のカティアを愛していたと知って愕然とします

 

 

クルトとメンフリを殺した犯人が明かされるのですが、人間の性はここまでおかしくしてしまうのでしょうか?ある意味洗脳されているようなものなのかも?

 

 

マリオ・バーヴァも名前を変えて監督したのも分かるような気がしますもん、時代には少し早かったんでしょうね、逆に今の時代だったらまた表現が難しいかも

 

 

 

 

 

死人の手に鳴る、恐怖の鞭に、のたうつ女体が無残に血を吹く! それが『白い肌に狂う鞭』です。

 

 

 

 

 

この作品もなかなか観れなかった作品で観れて良かったです。