『吸血鬼ドラキュラ』
1958年 イギリス
《スタッフ&キャスト》
監督 テレンス・フィッシャー
原作 ブラム・ストーカー
脚本 ジミー・サングスター
撮影 ジャック・アッシャー
音楽 ジェームズ・バーナード
出演 ピーター・カッシング/マイケル・ガフ/メリッサ・ストライブリング/クリストファー・リー/キャロル・マーシュ/ジョン・バン・アイゼン/マイルズ・メイルソン/バレリー・ゴーント
《解説》
ホラーの名門ハマー・フィルム、その名を一躍世界に轟かせた歴史的名作
無声映画時代以来、何度も映画化されている吸血鬼伝説に基づく、英国怪奇作家ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」の、十数年ぶりの、初の英国スタッフによる映画化
監督は「フランケンシュタインの逆襲」のテレンス・フィッシャー、出演者はピーター・カッシング、クリストファー・リーとスタッフとキャストは同じ顔合わせ、戦前以来日本では、同一原作によるトッド・ブラウニング監督の「魔人ドラキュラ」、ロバート・シオドマク監督の「夜の悪魔」が上映されている
《物語》
1885年、司書としてトランシルヴァニアのドラキュラ城を訪れたジョナサン・ハーカー、ドラキュラ伯爵にもてなしを受けて部屋に案内される、ドラキュラはジョナサンの婚約者ルーシーの写真を見て魅力的だと目の色を変えた
しかしジョナサンの目的は他にあった、それは吸血鬼であるドラキュラを退治する使命だった、そこに突如現れた女に助けて欲しい、ここから出してと頼まれて油断したジョナサンは女に首を咬まれてしまう
それを見たドラキュラは女を強引に倒して止めに入ったジョナサンも投げ飛ばして気を失ってしまった、意識の戻ったジョナサンは自分が吸血鬼の仲間となる事を知る
地下の墓所に入りそこで棺に眠るドラキュラと女を発見、ジョナサンは木の杭を女の胸に打ち込むと女はたちまち老婆となって死に絶えた、ドラキュラはジョナサンに襲い掛かった
ジョナサンの手紙でトランシルヴァニアにやって来た親友の医師ヴァン・ヘルシング博士はドラキュラ城で棺に眠るジョナサンを発見、ヘルシングは杭を打ち火葬にした、ドラキュラはルーシーを狙っていた
ルーシーの元を訪れたヘルシングだが、病床にある彼女は既にドラキュラの毒牙に犯されつつあった、彼女を診たヘルシングはルーシーの兄アーサーと妻のミナにルーシーを守るべくニンニクの花を飾るように助言
しかしルーシーにお願いされた召使いによって片付けられてルーシーはドラキュラの餌食となって死んでしまう、埋葬されたルーシーは吸血鬼となって復活
アーサーはヘルシングに吸血鬼の説明を聞いてルーシーの胸に杭を打ち込んだ、納得したアーサーはヘルシングと共にドラキュラと闘う決意をする
ドラキュラはミナを城に連れ去り、後を追ったヘルシングとアーサーはドラキュラを太陽の光に浴びせて灰となった
《感想》
この作品こそが吸血鬼ドラキュラのイメージを定着させたと言っても過言ではありません、それほどクリストファー・リーの演じるドラキュラは完璧な吸血鬼の紳士で風格と迫力があります
ユニバーサル映画の名作ホラー、1931年の「魔人ドラキュラ」のリメイク的な作品で、ブラム・ストーカーの同名小説の映画化、主要スタッフ&キャストは「フランケンシュタインの逆襲」とほぼ同じ
興行収入は世界的大ヒットとなり、ハマー・フィルムはクラシックホラー映画の名門となりました、それによりピーター・カッシングとクリストファー・リーの知名度も世界的となりました
オープニングから物々しい音楽でクラシカルな怪奇映画って感じでゾクゾクします、ジョナサンの日記から物語は始まり、ドラキュラ城へとやって来ます
城に入っても食事の用意がされているだけでドラキュラ伯爵は姿を現しません、そりゃまだ日が高いですからね、そこに女が現れて自分は捕らわれの身だから助けてと
女が消えるとドラキュラ伯爵が登場です、演じるクリストファー・リーは身長が193センチの長身で登場から迫力満点です、その佇まいは紳士的で静かな迫力が見えます
ジョナサンはドラキュラ伯爵を退治する為にやって来たのですが、女の吸血鬼に咬まれてしまうんです、女の吸血鬼を投げ飛ばすドラキュラなのですが止めに入ったジョナサンも首を絞めて失神させてしまいます
気が付いたジョナサンが自分も吸血鬼となる事を覚ってドラキュラと女の吸血鬼を退治しようとするのですが退治出来たのは女の吸血鬼だけ、胸に杭を打つと一瞬で老婆となってしまいます
ピーター・カッシングが演じるヴァン・ヘルシングがドラキュラ城近くの村に到着するのですが村人はドラキュラの存在を知っていて恐れているのです、そこでヘルシングはジョナサンの日記を手に入れるんです、ヘルシングは棺で眠るジョナサンの胸に杭を打ちます
ドラキュラはジョナサンの婚約者のルーシーを狙って血を吸うのです、ルーシーもドラキュラに魅入られて自ら窓を開けてドラキュラを招くのです、この吸血のシーンがエロティックでね
その後にルーシーが死んでジョナサンも死んでいる、ルーシーの兄のアーサーはヘルシングが現れると不吉な事が起こるとヘルシングを追い出すのですが、ジョナサンの日記を読んで吸血鬼の存在を知る事となるのです
それにしても吸血鬼ほど弱点の多い怪物はいないですよね、胸に杭とか太陽なんかが有名ですが、十字架も恐れてニンニクは臭くてダメだし、聖水で火傷しちゃうし
それでもドラキュラは何度も生き返り、続編は8本作られていますドラキュラが登場しない続編もあり、ヘルシングの登場しない続編もあります、その中でも最後の作品「ドラゴン対7人の吸血鬼」は子供の頃に観て印象に残ってます(笑)
クリストファー・リー主演による古典ホラーの代表作 それが『吸血鬼ドラキュラ』です。
本作があってこそ今日の吸血鬼映画が存在するのだと思います、それほど完成度の高い傑作です。