『PEARL パール』
2022年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 タイ・ウェスト
脚本 ミア・ゴス
撮影 エリオット・ロケット
音楽 タイラー・ベイツ
出演 ミア・ゴス/デビッド・コレンスウェット/タンディ・ライト/マシュー・サンダーランド/エマ・ジェンキンス・プーロ
《解説》
映画史上、もっとも無垢なシリアルキラー誕生
タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演のホラー「X エックス」のシリーズ第2作で、1970年代が舞台だった「X エックス」の60年前を描く前日譚
「X エックス」に登場した極悪老婆パールの若き日を描き、夢見る少女だったパールがいかにしてシリアルキラーへと変貌したかが明らかにされる
《物語》
1918年、第一次世界大戦の頃のテキサスの農場で暮らすパールは、いつの日かこの田舎町を出て憧れている映画スターになる事を夢見ていた
しかし現実は若くして結婚した夫は戦争に行き、今は厳格で神経質な両親と農場暮らしでうんざりしているパールのストレスは溜まるばかり
母親はパールに厳しくダンスを踊るだけで怒鳴る、父親は車椅子生活で体のほとんどが動かせない、食事もパールが手伝ってやっと食べている
ある日、父親の薬を買いに街に出たパールは映画館でミュージカルを観た、そこで映写技師と出会い、その彼に映画スターの夢を話した
彼は映画フィルムの一コマをプレゼントしてくれ、家族思いのパールは立派だと励まし、でも人生も楽しんでと映画スターを後押しするような言葉をパールに与えた
そして義妹のミッツィから土曜日に教会でオーディションがあると知らされる、クリスマスに全米を慰問するダンスグループで年内に7つの都市で公演がある、それを聞いてパールも一緒に受けると言い、2人の秘密にした
夜に家を抜け出したパールは映写技師の元へと向かった、そこでフランスから仕入れたポルノを見せてもらう、映写技師はポルノは映画産業に革命を起こすので先行投資だと
まだアメリカでは誰も見た事のないポルノの刺激的な内容と映写技師の話しでパールはますます現実から抜け出したい気持ちが強くなる
パールからオーディションの話しを聞いた母親はパールの気持ちを強く否定、それにパールが何をしているか知っている、みんなが恐れる、私のようにと
しかもパールを病気呼ばわりし、心は悪に蝕まれていると、母親は良心に懸けてパールを農場から出さないと言われて遂にパールは逆上する
《感想》
もうミア・ゴスの独壇場です、終盤で画面にはミア・ゴスの表情だけですごい長回しでそれをしっかりと魅せてしまうミア・ゴス、じわじわときます
ミア・ゴスは本作で世界3大ファンタスティック映画祭の一つ、シッチェス・カタロニア国際映画祭で女優賞を受賞、強烈でインパクトありました
「X エックス」の前日譚で老婆のパールを演じていたミア・ゴスがそのまま本作でもパールを演じています、シリアルキラー誕生の瞬間です
前作の撮影前から監督のタイ・ウェストとミア・ゴスは共同で脚本を書いていたそうです、映像化出来なくてもキャラクターを厚くした事で演技の役に立つと考えたそうです
前作の如何にもヤバイ雰囲気のテキサスとは打って変わって、明るいファンタジックなテキサスの農場で陽射しも爛々としていて怖さを感じません
パールはそこで家畜の世話をしたりして生活しています、でも夢見るのは映画スター、でもそんな夢は厳格な母親が許しません、農場からは出さないとね
映画館で知り合った映写技師に映画スターの夢を話して励ましてもらいます、そこでアメリカにはまだないポルノ映画を見せてもらって興奮、もちろん映写技師に体を許します
母親はパールの内に秘める恐ろしさを感じ取っていたんです、なので農場からは出さないのですがパールは遂に母親に怒りをぶちまけます、車椅子の父親も処分
そんな時に義妹のミッツィにオーディションがあると聞かされます、早速ミッツィと受けに行くのですがパールは見事に落選、しかもミッツィは合格した事で怒りが沸々と湧いてきます
ミッツィを演じるのはエマ・ジェンキンス・プーロで、パールの夫の妹なのですが、何かとあちらの家族と母親は馬が合わないようです
パールと関係した人間はパールの餌食となってしまいます、急に何かが吹っ切れたように追い掛けて来て斧で襲い掛かってきます、爛々として太陽の下でね
農場に閉じ込められていると思ったら抑圧されていた何かが弾けたのかな?、そう思うとパールが怖くて怖くて、戦場から帰って来た夫が見たものは
スターになるの それが『PEARL パール』です。
本作は三部作の予定で、次は1985年のロサンゼルスが舞台だそうです。