『告発の行方』
1988年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 ジョナサン・カプラン
脚本 トム・トーパー
撮影 ラルフ・ボード
音楽 ブラッド・フィーデル
出演 ジョディ・フォスター/ケリー・マクギリス/バーニー・コールソン/レオ・ロッシ/アン・ハーン/カーメイ・アルジェンツィアノ/スティーヴ・アンティン/トム・オブライエン/ピーター・ヴァン・ノーデン/テリー・デヴィッド・ミュリガン/ウッディ・ブラウン/スコット・ポーリン
《解説》
1人の女性の強姦をきっかけに、真実の愛、現代の友情、勇気をもって生きる姿を描いてゆく
現代アメリカで避けて通れない犯罪、強姦について真っ向から挑んだ意欲作、ピンボール台の上に寝かされ、代わる代わる男たちに犯される被害者の女性に扮したジョディー・フォスターの力演が強く印象に残る
知性派女優ジョディ・フォスターが、本作では3人の男たちに凄惨なレイプを受けるヒロインに体当たりで挑んで迫真の演技を披露、初のアカデミー主演女優賞に輝いた、事件を告発する検察官をケリー・マクギリスが好演
《物語》
酒場ミルからあわてて飛び出して来た若い男が公衆電話から警察に通報、女の子が暴行されている、男は3~4人、その瞬間にミルから出て来た服の破かれた女性が通りで車を止めてその車に飛び乗り病院へ
そこで暴行の被害者サラ・トバイアスは女性医師に屈辱的な質問と体の傷を写真に撮られる、サラは3人の男に暴行され事情を聞いた地方検事補のキャサリン・マーフィはダンカン保安官と警官数名を連れてミルへと向かった
そこでサラは犯人2人を確認するも3人目の大学生がいない、その後に大学内でボブを逮捕するが加害者らは保釈金を払って釈放される、弁護人らは強姦ではなく和姦だ主張し、戦いを挑む姿勢を見せる
キャサリンはサラについて調べ、当日はマリファナを吸い酒にかなり酔ってて男を挑発、それに麻薬所持の前歴もあり裁判には無関係だが陪審員の心証は悪くなる
このままでは裁判に負けてしまい、加害者らは無罪放免となってしまう、キャサリンは3人の容疑を過失傷害としての取引きに応じるしかなかった
これを知ったサラは怒り、キャサリンの自宅にまで行き、激しく彼女を責め立てて傷つき悲しみに暮れて髪の毛を自分で切り落とした
そんなある日、サラが暴行された時にその行為を見て煽ったクリフがからかい彼女を侮辱して車で前方を塞いだ、サラは彼の車に自分の車をぶつけた
傷つき身も心もボロボロになったサラを見舞ったキャサリンはサラに味方だと思ってたと言われて、女性として検事としてあるべき姿を取り戻し再び裁判の場で争う決意を固める
キャサリンは暴行を煽った男たちを暴行教唆罪で告発しようとし、サラの友人でミルのウエイトレスのサリーに煽った男を特定してもらう
そして事件の夜に通報した若い男ケンを探しだし、証人として出廷してもらおうとするが彼はボブの友人で話そうとはしてくれない
そして裁判の日、サラが証言をした後に証人として凄惨な暴行事件の事実をケンは語った
《感想》
世界中を驚愕させた凄絶な暴行シーンを「タクシー・ドライバー」のジョディ・フォスターが迫真の演技で1989年アカデミー主演女優賞を獲得しました
映画のラストで暴行事件は6分に1件の割合で発生し、そのうち4件に1件は複数犯によるものだとテロップが入ります、本作はそんなアメリカの暴行事件の事情に迫ったものです
当時この作品を観に行ったらいきなり事件の現場となるミルが映し出されて、「えっ!いきなり暴行シーンから?」とあわててしまいましたよ
しかし実際はその暴行シーンは映画後半の裁判でのシーンでケンの証言によって描かれます、小柄なサラが店に入り、肌を露出して男たちに色目を使うんです
上着を脱いで肩を出してノーブラのタンクトップ姿で友人のサリーと雑談、隣の席に座る大学生ボブを見て「彼氏の前でボブとヤッてるところを見せたい」とジョーク
そこに男から酒をプレゼントされてサラは店の奥へ移動してピンボールへ、そこでも男たちはサラをギラギラした目で見てるんです
酔って気分の良いサラはジュークボックスからお気に入りの音楽が流れセクシーなダンスを踊り、男を挑発して抱きしめられキスをされる
抱きしめられたまま抱き上げられたサラはピンボールの台の上に寝かされて口を押さえつけられ、パンティを脱がされてしまいます
暴れるサラを数人の男たちが押さえつけて暴行に及びます、その後に男たちは代わる代わる暴行を続けます、その間もまわりの男たちははやし立てて煽り、やんやの歓声で、まるでセックスショーを見せているような感じです
様子を見に来たサリーはサラが暴行されているのを知って、男と目が合い、「次にどうだ?」と言われて怖くなって帰ってしまいます
その後にサラは3人に暴行されて男の指を噛んで逃げるのですが、ここまでの一連のシーンは強烈で忘れられなくなるほどのシーンですよ
もちろん男たちが悪いのですが、あんな欲望をギラギラとさせた男たちのいる酒場に肌を露出して見せ付けるように挑発して誘うような身振りは感心しないです
男も最初はそんな気がなくても挑発されたら負けたみたいな変な気持ちが出てきて抑えられなくなる男もいます、すべての男が安全なわけではありません、暴行だけでなく殺人にまで発展することもありますからね
そのサラを救うのが検事補のキャサリン、演じるのは「トップガン」のケリー・マクギリスです、彼女は1988年に暴行の被害に遭ってるとか
キャサリンは取引きに応じて性的暴行ではなく過失傷害で決着するんです、でもね同じ刑務所にブチ込んでもサラにとっては意味合いが全然違うんです
その後には煽った男と偶然会ってからかわれて車をぶつけます、それほど怖くて悔しかったのでしょうね、それでサラの気持ちを察して再び裁判を起こすんです、女の尊厳のようです、世の中は男のためにあるわけではないですからね
世の女性は男の為にいるわけではありません、暴力で女性を支配しようと、しかも複数でなんて言語道断で、そんな犯罪を起こす奴は切り落としてもいいんじゃないかな(爆)
現代アメリカが抱える深刻な社会問題に真っ向から取り組んだ社会派ドラマ それが『告発の行方』です。
この作品のジョディ・フォスターが特に印象に残ってますね、それほど心をえぐるような作品です。
更に過激な続・裏237号室の『告発の行方』のレビューはこちらです。