悪魔のような女 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『悪魔のような女』

 

 

 

 

 

1955年 フランス

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 アンリ・ジョルジュ・クルーゾー

 

原作 ピエール・ボワロー/トマ・ナルスジャック

 

脚本 ジェローム・ジェロミニ

 

撮影 アルマン・ティーラール

 

音楽 ジョルジュ・ヴァン・パリス

 

 

 

出演 シモーヌ・シニョレ/ヴェラ・クルーゾー/ポール・ムーリス/シャルル・ヴァネル/ピエール・ラルケ/ミシェル・セロー

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

その息詰まる話術と驚愕のどんでん返しで世界をアッと言わせた!

 

「恐怖の報酬」についでアンリ・ジョルジュ・クルーゾーが監督する推理スリラー、原作はピエール・ボワローとトーマス・ナルスジャックが合作した探偵小説

 

「恐怖の報酬」に続いて、フランスのサスペンス映画の巨匠たる彼の名声と地位を不動のものにした古典的傑作、セリフと効果音のみで緊張感を高める演出が秀逸

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

パリ郊外の小学校の校長をしているミシェルは資産家の妻クリスティーナの財産で校長の職に就いている、クリスティーナに教鞭をとらせ、もう1人の女教師ニコルと公然と愛人関係

 

 

乱暴で自己中心的な彼に対して2人の女は遂に我慢が出来なくなった、共謀してミシェル殺害の計画を立てる、週末の休暇を利用してオニールにあるニコルの家に2人で行った

 

 

クリスティーナが電話でミシェルを呼び出し離婚を口にするがミシェルは譲らない、そして暴力を振るい、ワインを飲みほした、迷っていたクリスティーナだったがニコルの指示でワインに睡眠薬を入れていた

 

 

すっかり寝込んでしまったミシェルを浴槽に浸けて溺死させた、心臓の弱いクリスティーナは罪の意識に苛まれてすっかりまいってしまった

 

 

翌朝に2人は死体を用意した大きなバスケットに詰めて車で学校まで運び、夜の闇に乗じて死体をプールに投げ捨てた、校長の失踪は校内で騒ぎとなった

 

2人は早く死体を発見されて欲しかったがなかなかそうはいかない、痺れを切らした2人はわざと鍵を落としてプールの水を抜く事に、落ち着かないクリスティーナは授業もままならない

 

 

そしてプールを見てクリスティーナは失神した、ミシェルの死体が影も形もなかったのだ、ニコルが探せるところは全て探したが何も見付からない

 

口論する2人にクリーニング店からミシェルのスーツが届けられた、殺した時のスーツだ、クリスティーナはクリーニング店から依頼者の住所を聞き、その住所にあるホテルに行くと誰もいない、姿を見た者はいなかった

 

ある日に新聞で溺死体の記事を読んで死体保管所に行くが人違い、そこで知り合った元警部のフィッシュが捜し出してやると学校に来て調査

 

 

モネという生徒がガラスを割って校長に罰を受けたと言う、学校で記念撮影したところ校長らしき人物が後ろで写っていた、クリスティーナは恐怖のあまりに持病の心臓病が悪化して寝込んでしまった

 

 

ニコルは学校を辞め、その夜に1人で寝ているクリスティーナは足音を聞き、浴室へと足音を追って行くと浴槽には殺したままのミシェルが沈んでおりそれが動き出した、クリスティーナは恐怖の余り、発作を起こしてしまう

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

ご存じ、ボワロー&ナルスジャック原作、アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督の傑作です、この作品を観て嫉妬したアルフレッド・ヒッチコックが「サイコ」を撮ったとか

 

資産家の家に生まれたクリスティーナは夫のミシェルの暴力を振るわれていたんです、寄宿学校の経営はクリスティーナの資産で運営されているのですが、ミシェルは校長として我が物顔なんです

 

 

しかも女性教師のニコルを愛人にして堂々としているんです、いつしかその暴力はニコルにも向けられて、本妻と愛人って敵同士なのですがお互いに同情してしまうんです

 

その女同士の憎しみは大きくなり、遂には共謀してミシェルの殺害を計画するのです、2人の計画は眠らせて浴槽で溺死させるというもの

 

本妻のクリスティーナを演じるのはヴェラ・クルーゾーで持病があるからか弱々しく見えます、この殺害計画も一度は止めようかと戸惑ったりします

 

 

愛人のニコルを演じるのはシモーヌ・シニョレでまるでタイプの違う女性で気が強そうで、ミシェル殺害も彼女が率先してするほどです、本妻と愛人の立場の違いなのか?

 

 

ミシェルを演じるのはポール・ムーリスで校長なので他の教師にも横暴な態度を取ったり、生徒にも厳しい態度で教育方針ではクリスティーナの衝突するんです

 

やはり愛人を囲うのなら妻とは雰囲気の違う女性を選ぶのでしょうか?クリスティーナは白いブラウスで、ニコルは黒いシャツだったりします

 

 

監督の当時の妻のヴェラ・クルーゾーとシモーヌ・シニョレとポール・ムーリスの演技力の高さが見ものなのです、夫を殺す妻と愛人を殺した女の立場は全く違うので憔悴するクリスティーナとまったく平気なニコル

 

 

でも殺しただけではダメで事故に見せ掛けなければなりません、学校のプールに落ちた事にして沈めるのですが発見するタイミングがないんです、早く発見して欲しいのにね

 

ようやく発見出来るとプールに水を抜くとミシェルの遺体がないここまでの出来事は幻だったかのように歯車が狂ってくるんです、その遺体はどこに行ったのか?

 

女2人で男を運んでいつバレるかもとの不安を抱えて遺体を乗せて車で運ぶのですが、バスケットに入れたミシェルを運ぶのに隣の住人が手伝ってくれたり、ヒッチハイクが車に無理矢理乗り込もうとしたりね

 

 

よくこの時代にこんな怖い女性の作品を撮ったアンリ・ジョルジュ・クルーゾーはよっぽど女性が怖かったんでしょうね、まるで悪魔のようだと(笑)

 

 

 

 

 

夫の愛人と妻が共謀した完全犯罪の行方は?驚愕のラストに息を飲む それが『悪魔のような女』です。

 

 

 

 

 

じわじわと迫って来るようで、それでいて一瞬にして恐怖に陥れる、次第に女2人が仲間割れしだしたりね。