セーラー服と機関銃 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『セーラー服と機関銃』

 

 

 

 

 

1981年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 相米慎二

 

原作 赤川次郎

 

脚本 田中陽造

 

撮影 仙元誠三

 

音楽 星勝

 

 

 

出演 薬師丸ひろ子/渡瀬恒彦/風祭ゆき/大門正明/林家しん平/酒井敏也/柳沢慎吾/岡竜也/光石研/柄本明/佐藤充/北村和夫/寺田農/三國連太郎/藤原釜足/円広志/杉崎昭彦/奥村公延/栗田洋子/斉藤洋介/石原慎太郎/瀬田素

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

カイカーン…ワタクシ、オロカナ女になりそうです…

 

遠い血縁関係にあるヤクザの親分が死んで跡目を継ぐことになった女子高生が4人の子分と、対立する組織に戦いを挑む、原作は赤川次郎の同名小説、監督は「翔んだカップル」に続いて薬師丸ひろ子を演出した相米慎二

 

薬師丸ひろ子が愛くるしい魅力たっぷりに熱演、機関銃をぶっ放した末、彼女が口にする決め台詞「カ・イ・カ・ン」は一躍評判を呼び、映画はこの年の邦画興収ナンバー1ヒットを記録、薬師丸ひろ子の地位と名声を決定付けた

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

子分が4人しかいない小さなヤクザ目高組の組長の親分が跡目に甥にと遺言を残して死んだ

 

その頃、女子高生の星泉は商社マンだった父・貴志が成田空港の前で事故死した為、火葬場で最後の別れを数人のクラスメイトと名残惜しんでいた、帰りがけに中年男性が父の遺骨に線香をあげていた

 

 

泉の母親はずっと前に亡くなっており、これで泉は一人ぼっちかと思われたがマンションに帰るとマユミという女が待っており、彼女は父親から泉を頼むという父の手紙を持っていた、その派手な格好から父の愛人かと感じたが、その日からマユミと暮らす事に

 

 

翌日、黒いスーツを着込んだ大勢の男たちが学校の前に並んでいた、友人が止めるのを無視して泉は校門へと向かった、佐久間という男が星泉と確認して挨拶をすると泉を小さな事務所に連れて帰った

 

 

そこで目高組四代目組長を襲名して欲しいと頼まれた、佐久間の話しでは組長の甥の貴志を捜すと事故死しており、その後目に血縁者の泉へと回ってきたのだ

 

 

当然拒否する泉だったが敵対する組に殴り込みをすると言われて、結局渋々ながらも了承してしまう、目高組は佐久間の他、政、ヒコ、明の3人の小さなヤクザ組織だ

 

その日から泉は佐久間に連れられて大組織の組長の浜口のところへ挨拶に行った、泉に驚く浜口だったがその度胸を買われて他の組に取られていたシマを浜口からの引き出物として取り返せた

 

数日後、泉のマンションが荒らされていた、そこに黒木と名乗る刑事がやって来た、黒木の話しでは泉の父の死は麻薬の密輸が絡み、部屋が荒らされたようで、それにマユミは前科持ちだと、泉は信じられずマユミも姿を消し、そしてヒコが殺された

 

 

泉は対立する松の木組に単身殴り込みに行くが返り討ち、佐久間が組長関根の息子を人質にして折半とした、佐久間は太っちょと呼ばれるヤクザの大親分の仕業ではないかと睨んだ、太っちょが動く時は麻薬が絡んでいる

 

 

しばらくしてマユミから電話が入り、泉はマユミと2人で会った、マユミは貴志に人生を救われたと話し、そしてマユミの父親は太っちょで、マユミの今の男は佐久間だと、佐久間のかつての弟分の萩原に佐久間とマユミのセックス現場を見さされる

 

彼女のボディーガードをしていた明が殺された、太っちょの所に連れて行かれて麻薬を渡せと迫られる

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

公開当時は大ヒットでおいらも子供でしたがクラスメイトらと観に行きましたよ、その後も近所の名画座などで公開されては観に行きました、それぐらい印象的な作品です

 

角川の長女と言われた「ねらわれた学園」の薬師丸ひろ子が本作で一躍トップアイドルとなって主題歌も大ヒットしました、ヤクザの組長と言う難しい役柄を体当たりで演じています

 

 

相米慎二監督は自ら出した企画にも関わらずリアリティのない話しだと言っています、角川は他社映画の出演に難色を示したが、脚本を気に入った薬師丸ひろ子が角川を説得してキティ・フィルムと角川が提携する形で製作となりました

 

 

監督は薬師丸ひろ子の制服の衣装がなかなか気に入らず、撮影現場に自分の学校のセーラー服で行った時に監督がそれを気に入って採用となりました、映画が大ヒットした事で山手線での通学で目立ってしまったとか

 

女子高生がヤクザの組長になる奇想天外な物語ですが面白かったです、東映の映画館は少女が主役のヤクザ映画がヒットするのか懐疑的だったのですが、当時の東映の歴代記録となりました

 

やはりラスト近くの薬師丸ひろ子が機関銃をぶっ放すシーンが名シーンでしょうね、割れた瓶の欠片が薬師丸ひろ子の頬に当たって血を流したアクシデントも逸話として語られてます

 

 

佐久間を演じるのは渡瀬恒彦で「仁義なき戦い」などのヤクザ映画で魅せた迫力はさすがで、それでいて組長の泉を支える忠誠心のような父親のような感じもすごく良かったです

 

 

マユミを演じるのが風祭ゆきで、本作では妖艶な魅力を振りまいてくれてます、彼女は日活ロマンポルノの黄金期を支えた女優の1人です、本作では重要な役柄を演じています

 

 

本作では長回しを多用しているのですが、新宿通りを暴走するシーンは本物の暴走族を使い、ゲリラ撮影らしくて騒音の苦情が警察に寄せられてスタッフが事情聴取を受けています

 

それにラストの歩行者天国を歩くシーンも長回しのゲリラ撮影でセーラー服に赤いハイヒールの薬師丸ひろ子が地下鉄通風口からの風でスカートがひらひらさせるシーンも長回しで、薬師丸ひろ子はあまりの羞恥心で集中出来なかったらしいです

 

 

本作は過酷な撮影が多かった薬師丸ひろ子に監督は通風口の下から風を送るスタッフは薬師丸ひろ子に選ばせたそうです、それでも男に下からスカートを捲り上げられる風を送られるなんてそちらも羞恥ですよね

 

長回しを多用した結果、撮影時間が膨大になってしまってカットされていました、泉がヤクザの組長の家で薬を飲まされて乱暴されそうになるシーンが雑誌に載った事でファンがカットされたシーンの復活を熱望

 

その頃は薬師丸ひろ子が休業中だったのでファンの為にノーカット版を「完璧版」と称した作品が公開され、薬師丸ひろ子も体当たりで演じた為に復活を喜んだそうです、今回はその「完璧版」を観ました

 

 

 

 

 

女子高生がヤクザの組長に? それが『セーラー服と機関銃』です。

 

 

 

 

 

当時の薬師丸ひろ子の人気が凄くて大阪に舞台挨拶に来た時はあまりに殺到した為に舞台挨拶も公開も中止になったとか、空港にも駅にもファンが殺到した為に薬師丸ひろ子はタクシーで大阪から脱出したそうです。