『騙し絵の牙』
2021年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 吉田大八
原作 塩田武士
脚本 楠野一郎
音楽 LITE
出演 大泉洋/松岡茉優/宮沢氷魚/池田エライザ/斎藤工/中村倫也/坪倉由幸/和田聰宏/石橋けい/森優作/後藤剛範/中野英雄/赤間麻里子/山本學/佐野史郎/リリー・フランキー/塚本晋也/國村隼/木村佳乃/小林聡美/佐藤浩市
《解説》
騙し合いバトル、開幕!ウソを見破り、ウラを暴け
ミステリー小説「罪の声」の著者・塩田武士が、俳優・大泉洋を主人公にあてがきし、2018年本屋大賞にランクインするなど、話題・評判ともに世間の注目を集めた、前代未聞のベストセラー小説「騙し絵の牙」、崖っぷち出版社を舞台に描かれた本作が、ついに実写化
「紙の月」「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督がメガホンをとり、「勝手にふるえてろ」の松岡茉優、「64 ロクヨン」の佐藤浩市ら実力派キャストが共演する
《物語》
大手出版社・黨風社の文芸誌「小説黨風」の新人編集者の高野恵が出社し、新人賞応募作の中から新人作家・矢代聖の「バイバイを言うとちょっと死ぬ」をチェックしていたところ、社長の伊庭喜之助が犬の散歩中に倒れ、そのまま亡くなったと訃報を知った
テレビのワイドショーでは文芸評論家の久谷ありさが次期社長を占い、息子の惟高は常務の宮藤の後ろ盾があるが経験不足、後妻の綾子の動向も気になる、次期社長と目されているのは叩き上げの専務・東松龍司と解説
通夜には多くの会社関係者が訪れ、そこでもありさが探りを入れ、惟高はニューヨークへの移動が決定したと聞きつけた、通夜が終わった後に高野は「小説黨風」の編集長である江波百合子と共に大物小説家の二階堂大作のパーティに向かおうとする
しかしタクシーの手配がままならず、黨風社のカルチャー誌「トリニティ」の編集長・速水輝の乗るタクシー誘われて、仕方なく乗せてもらう事になった
江波と高野は二階堂に挨拶をするがそこに速水が割って入り、過去に二階堂とトラブルがあったようで速水は高野に代表作の素直な感想を求め、高野は主人公の女性キャラに古さを感じると述べて二階堂の機嫌を損ねてしまう
翌朝、速水と江波がエレベーターで江波が二度と二階堂に近ずくな、黨風が恥をかくと速水に命じる、その後に速水は東松に二階堂が怒っていると聞かされて売り上げの落ちているトリニティの廃刊を仄めかされた
黨風社で役員会議が聞かされ東松が新社長に就任、手始めに赤字続きの小説黨風を月刊から季刊に変更、人員削減で高野は移動させられる
実家の本屋で手伝っているとそこに速水が現れて、トリニティに来ないかと誘う、速水は高野と共に色々な人物を軽妙なトークで口説き、クセモノたちとスリリングな攻防を繰り広げて大逆転を狙う
《感想》
何の予備知識もなしで観たのですが、面白かったですね、出版業界の裏側がこんな利権争いになっているなんてね、おいらは子供の頃から本が好きで将来は本屋さんになりたかったんです(笑)
大手出版社の社長が急逝して時期社長の座を争う事態に発展、社長の息子やら、社長の後妻やら、叩き上げの専務やらその座を求めて虎視眈々
主人公の速水を演じるのは原作者の塩田武士がイメージをしてあてがきしたという大泉洋、まさに一癖も二癖もありそうな人物で最初の方はどんな役どころなのか全然掴めなかった
実はこちらが主人公なのではと思わせる高野恵を演じるのが「劇場」の松岡茉優、実家が小さな本屋で「小説黨風」の編集者として働いており、凄い作品と出会うのを心待ちにしている様子です
新人賞応募の中から高野が選んだ作品はその質がどうこうと言うよりも選考基準に合わないと却下されます、こんな厳しい意見を言う編集長の江波百合子を演じるのは木村佳乃
専務の東松龍司が社長となって早速にも聖域と言われるが赤字続きの「小説黨風」が月刊から季刊へとされたために高野が人事異動となってしまいます、東松龍司を演じるのは佐藤浩市
移動となった高野を速水がカルチャー誌「トリニティ」の編集部にスカウトするんです、そこで高野が持っていた新人賞応募の作品を連載してしまうんです
新人作家の矢代聖がメディアに登場するとイケメン作家として話題となるんです、演じるのは宮沢氷魚で彼の登場には裏があるんです、それが後半で分かって何だか気持ち良かったです
それに速水はモデルの城島咲を作家としてデビューさせるんです、彼女はガンマニアで同人誌にジョー島崎の名で小説を書いていた事を速水は知ってオファーするんです、城島咲を演じるのは池田エライザ
高野が家の本屋の店番をしていると女子高生が幻の作家の神座詠一の本を尋ね、なぜこんな古い作家をと聞くと、映画にもドラマにもなってないから読むしかないと言われて高野は神座を捜すのですが20年間消息を絶っているんです
高野は神座の最後の作品の原稿をコピーして目を通して神座の行方を捜すんです、これがまた探偵のような洞察力であと一歩まで迫るのですが逃げられてしまうんです
速水は矢代聖と城島咲とを深夜まで一緒にいるところを写真週刊誌に撮らせてスキャンダルをでっち上げて話題にするんです、しかし城島咲にはストーカーがいてそれが大きな事件に発展するんです
「小説黨風」と「トリニティ」の仁義なき戦いが展開されて逆転に次ぐ逆転であっと言わされてしまいます、わずかな出演ですが「屍人荘の殺人」の中村倫也、「糸」の斎藤工、塚本晋也や國村隼や小林聡美が良い味出してます、特にリリー・フランキーがまた上手いね、監督は吉田大八でもう面白い!
全員クセモノ!予測不可! それが『騙し絵の牙』です。
人を翻弄する速水なのですが最後にはどんでん返しを食らいます、そこで起死回生を狙います。