『カンバセーション…盗聴…』
1974年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 フランシス・フォード・コッポラ
撮影 ビル・バトラー
音楽 デヴィッド・シャイア
出演 ジーン・ハックマン/ジョン・カザール/アレン・ガーフィールド/シンディ・ウィリアムズ/フレデリック・フォレスト/ハリソン・フォード/マイケル・ヒギンズ/エリザベス・マックレイ/テリー・ガー/ロバート・デュバル
《解説》
カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した、盗聴屋を主人公に現代社会を鋭くえぐったコッポラ監督の問題作!
プロの盗聴屋が若い男女を尾行し、会話を盗聴したことから捲き込まれる恐怖劇、ピーター・ボグダノビッチ、ウィリアム・フリードキン、フランシス・フォード・コッポラの3人が設立したプロダクション、ディレクターズ・カンパニー作品として、コッポラが寄与する第1作
プロの盗聴屋が次々と他人のプライバシーを侵し、盗聴を繰り返す作業を克明に描いていく、しかし、やがて自分も盗聴されているという強迫観念に陥った主人公は、孤独と狂気の日々に没入していく
《物語》
サンフランシスコのユニオン広場、ビルの谷間にあるこの憩いの場には若者たちの催し物や暇を持て余した老人たちで賑わっている、トレンチコートを着た中年の男が現れる
彼はこれといって特徴のない男で、彼が注目しているのは広場を散歩している一組の若いカップル、しかしこのカップルを監視しているのはこの中年男だけではなかった
ビルの窓と屋上、手提げ袋を持った男たちがカップルの姿を追う、この中年男は西海岸でナンバー1と言われるプロの盗聴屋のハリー・コール
彼は依頼主の注文でカップルの会話を録音している、平凡な恋人同士かと思われたが女には夫がいるようだ、しかしハリーは長年この仕事を一筋に打ち込んできた、好奇心を捨てる事を鉄則としている
その日の仕事を片付けるとハリーは恋人のアミーを訪ねた、2人は親密な仲だがアミーは彼が何者で仕事も住んでいる場所さえも知らない、他人のプライバシーで商売をしているハリーは異常なまでに自分のプライバシーを明かさない、色々と詮索するアミーに苛立ち出て行くハリー
翌日、カップルの会話を収めたテープを依頼主のオフィスに出向いたハリーだったが、その依頼主は不在で秘書のマーチンが受け取ろうとするがハリーは直接渡すと言って拒否
マーチンは深入りはよせ、これは危険なテープだと脅しにも聞こえるセリフを吐き、それによってハリーは捨てたはずの好奇心が湧いてきた、仕事場に戻りハリーはそのテープを何度も聴き返した
雑音しか聴こえなかった部分から遂に言葉を拾った、「我々を殺す気だ」、と言う男の声、このカップルは何か事件か陰謀か、それとも殺人に捲き込まれようとしているのだろうか?
テープの会話の中でジャック・ター・ホテルの773号室、日曜3時の言葉を思い出し、ホテルのその部屋の隣の部屋を借りて盗聴したが何も無く、部屋に忍び込んだが何もなかった
ハリーは依頼主に会いに行くとオフィスは慌ただしく面会を拒否され、しかも依頼主は交通事故で死亡したと報道されていた、ハリーはそこで全てを知る事となった
《感想》
フランシス・フォード・コッポラが本作を撮ろうと脚本を書くも資金が集まらずに、この企画を保留してジョージ・ルーカスらの勧めで生活の為に取り掛かった「ゴッドファーザー」が思わぬ大ヒットとなって資金援助を受ける事が出来て、本作の製作となりました
1974年の作品ですが他人のプライバシーを盗むなんて現在にも共通する不安要素です、本作は盗撮ではなくて盗聴なのです、ジーン・ハックマン演じるハリーはプロの盗聴屋なんです、それでいて秘密主義なんです
盗聴器具の博覧会があるのですけど、その後に盗聴仲間にハリーの仕事場を見せるのですが、まさにプロが使うようなでかいテープレコーダーでアナログで操作してるんです
その盗聴の技術もマジックのような物で、誰もが無理だと思った盗聴を成功させるのがハリーなんです、盗聴を仕事としている者はハリーの名を知っているくらいの有名人なんです
オープニングでハリーが盗聴をするのは若いカップルのマークとアンの会話を盗聴、3台もの盗聴器で色んな角度から録音すると綺麗に言葉が聴こえるんです
その中の会話で殺されるかも、との言葉が聞き取れてハリーは不安に駆られて、盗聴した音声に対して好奇心を捨てるのがポリシーだったのですがこのカップルを救おうと思ったのか動いてしまいます
依頼主のオフィスに行くと不在で秘書のマーチンが受け取ろうとしますがハリーは拒否、何か得体の知れない物を感じてしまったのです、この秘書のマーチンを演じるのが駆け出しのハリソン・フォード
そのオフィスから帰る時にエレベーターでマークを見掛けます、彼は依頼主の会社に勤める社員、そして依頼主のオフィスにはアンの写真が飾ってあったんです
ハリーはマークとアンが不倫関係でその事実と証拠の音声をハリーに依頼したのだと思い、このカップルがその後に殺されるのではと感じてしまうんです
音声を依頼主に渡さないままに同業者らを仕事場に招くも、ハリーをライバル視するモランがボールペンでハリーを盗聴してそれを知ったハリーは激怒、みんなを帰すもモランの秘書の女性メレディスは残り、そのままベッドを共にします
翌朝目を覚ますとメレディスと音声の入ったテープが消えているんです、どうやら依頼主の差し金で、連絡を取ったハリーがオフィスに向かうと依頼主が交通事故で死亡しているんです
ハリーはカップルが殺されると勘違いしていて実はカップルが依頼主の殺害を計画していた会話を盗聴していたんです、しかも盗聴していると脅しを掛けられるんです
そこでハリーは盗聴器を探して部屋中をひっくり返して、壁紙も剥がして床も剥がすくらい探すのです、ですが盗聴器見付けられずにハリーは虚しくなったのかサックスを吹くだけ、疑心暗鬼になるのも分かります
大都会に住む現代人の不安感を象徴的に描いた作品 それが『カンバセーション…盗聴…』です。
現代でも盗撮が問題となってます、そんなに他人のプライバシーは面白いのかな?撮られてる方からしたら気になって仕方ないですね