売る戦術と売れる戦略
人々は1/4インチのドリルを欲しいのではない。
人々が欲しいのは1/4インチの穴である。
ーハーバード大学院教授レヴィット博士ー
マーケティングの本にある一節です。
当社(イプラ)は企画会社です。
ただ、私が営業畑出身のため
どうしても「癖」がありました。
それは人間関係や
プレゼンテーションによって
「買いたい」と思ってもらうことに
ウェイトを置いてしまうことです。
もちろん、それは悪いことではありません。
「売ること」が戦術(営業)の仕事であれば
「売れる仕組み」は戦略(企画)であって
どちらも大切な要素です。
ただ、地方の中小企業にとって難しいのは
営業能力は素質×意志×経験量の乗算であり
戦術家を育成するには風土差があることです。
必然、
中小企業の社長=トップセールスマン
という構図が見受けられるようになります。
逆に「売れる仕組み」というのは戦略です。
販売側の意志量に左右されることなく
情報提供機会が豊富かつ正確であれば
自然と「売れていく」状態です。
自分は東京で働いている時には
終電始発を7年ほど続けましたので
経験量に裏打ちされた自信はありました。
ただ、それが良くも悪くも
戦術寄りの経営になりました。
ただ、地方には地方の風土があります。
戦術家を育てるには
「場を見て経営しなければいけない」
と気付くのに数年費やしてしまいました。
戦略家として歩むなら
ドリルを売ることではなく
「何インチの穴が求められているのか」を
徹底的に追及しなければいけない、と
強く心に留めています。
売る戦術と売れる戦略。
両方大切です。
そのバランスを取りながらも
より戦略色の強い風土を創っていきます。
利益なき情熱主義者と情熱なき利益主義者
エアプラ販売開始して3ヶ月。
おかげさまで利用者は
1670社になりました。
当社の強み
午前中はある大きな会社の代表と
面談の機会を得ました。
「御社の事業の強みは何ですか?」
当社は製造業ではありません。
企画を軸とするファブレスメーカーです。
ビジネスモデル特許の「エアプラ」
意匠取得のハード「エアスカイ」
強みに見える法務的な権利は
実は当社の強みではありません。
「変化を創造し売り場を活性化する」
このイデオロギーが当社の強みです。
私がこの業界にきて感じたのは
昔と変わらない景色の押し付けです。
それは既製品の焼きまし販売です。
作り手側は版下代がかかっているため
大量生産したらたとえそれが
時代遅れのデザインであっても
流通する方が利益率が良くなります。
しかし、その代償として
特定の市場だけは旧態以前の景色から
発展が見られなくなります。
自動車業界はその「特定の市場」に
含まれています。
黒電話からスマートフォンに進化し
ファックスからメールに発展したのに
プライスやのぼりは30年前から
まったく変わっていない業界。
デザインが古くて
時代に即していないものは
主力での販売を取りやめました。
それに伴う不利益もありますが
それよりも発展にブレーキをかける
不利益の方が大きいと感じます。
不思議なことに
一時的な不利益を選択して
業界発展ファーストを始めた途端に
収益は上がりました。
市場ニーズはあったのです。
それを止めていたのは市場でなく
自社在庫を無駄にしたくないという
業界論理の慣習です。
同質化の進む旧態依然の業界景色を
より魅力的なものに変えていくこと。
これがライフワーク。
業界に残る時代遅れの「のぼり旗」は
イプラが企画した100種類以上の
「広告サイン」になりました。
そのうちの1種類の旗デザインを
完全にコピーして製作販売することは
どの会社でも可能です。
しかし、それを継続的に
高い感度で生み出し続けることは
容易ではありません。
例えるなら
アイフォン5と同じ端末を作ることは
サムソンなら技術的にも資金的にも
十分に可能でしょう。
しかし、アイフォン6、7と
革新性をサスティナブルに打ち出す
ことはAppleしかできません。
エアプラや女子ポップは
集客を徹底的に脳みそが千切れるほど
考え抜いた「伝わるデザイン」を
1000近く搭載しています。
そして1000という数が目標ではなく
市場の変化と時代のニーズに合わせて
これからも随時実装されていきます。
情熱があり続ける限り
デザイン数にとどまることなく
市場の景色が変わるまで。
どこかの会社がデザイナーを集めて
近い形でシステム構築することが
技術的に可能であっても
情熱というスパイスのないスープを
市場が受け入れるでしょうか。
それは
「アイフォンと同じ端末を作れるか」
という議論と同意です。
さて、これからまた1件商談。
今日が誕生日の友人と
秋葉原でケーキ食べてから
打ち合わせに向かいます。

