救命士キムニィブログ『for you…』も間もなく3年。

早いものですねぇ、と、感心してはいられません。最近は白(救急)の話ではなく、脱線ブログが目についてばかり(笑)


と言うわけで、救急に関する裏話的雑学をひとつ。


消防の行う救急活動は、消防法第3条9項に定義がありまして『救急業務とは…緊急に搬送する必要があるものを、救急隊によって、医療機関へ搬送することをいう(中略)』と明記されています。

言いかえると救急車は緊急に搬送すべき人、具体的には命に危険が迫ってる人や、そうでなくても身体の一部に重大な障害が残る可能性がある人(例=機械で指を切断し、時間が経過すると再接着が難しくなる)などを対象としているのです。

ところが現実的には昨今問題になっている救急車の適正利用。そぅ、本来救急車を必要としないケース、いわゆる軽症ってヤツも少なくないのです。

僕たち救急隊も現場に到着すると「えー、何これ…救急車いらないじゃん…」と、叫びたくなる場面に遭遇することは珍しくありません。ならば病院へ運ばなきゃいいじゃんと言われそうですが、ここがまた難しいところ。一見、軽症っぽいものの重症だったなんてこともあるからです。

話がそれましたが、言いたいことは救急車は基本的に緊急に搬送すべき人を病院へ運ぶ車両であるものの、実際はそうでないケースも多々あると言うことです。

では緊急事態が生じている救急車とそうでない救急車(本来あってはならない)の見分け方は?と言うと、簡易的ですが実はあるのです←絶対ではありませんからご了承下さい(笑)

ピーボーピーボーとサイレンを鳴らし近づいてくる救急車、運転席を見て下さい。ヘルメットをかぶりハンドルを握る隊員がいるのは当たり前、ポイントは助手席です。

ここに人がいない場合、ほぼ緊急性が高いとみて間違いありません。救急車の隊員数は一部例外を除き基本的に3名以上(これも消防法で定められています)とされていますが、そのほとんどは3名編成。

現場で生命に危険が生じている傷病者に対し、心肺蘇生法の実施を含め、緊急処置を行うには最低2名が必要となります。

また、生命に危険はなくとも嘔吐が激しい場合(ゲロゲロがノドに詰まると窒息することがある)や、不穏(ふおん=おだやかでない)状態で自らの身体を傷つける恐れがある時も、2名の隊員で介助や抑制(よくせい=身体を押さえるなどの制限)が必要となるのです。

軽症若しくは重症度が高くとも状態が安定していれば、後部に1名の隊員で十分、つまり、運転席と助手席に残る2名がいることになります。

そんなことから、一般論として「助手席に隊員がいない場合、緊急事態が発生している可能性が極めて大である」と言う話でした。


追記…現場に向かう救急車(傷病者を乗せていない)には、当然、運転席&助手席に隊員が乗ってます←傷病者を搬送中かどうかは一般の方に見極めできないでしょう。ですから、道路交通法にあるように、救急車が近づいてきたら道を譲って下さいね、for you…♥