CDSスプレッドに追随する「空売り」
書店に行くと、バフェットの新しい書籍 が目に付いたので暇潰しに買ってみた。
特に目新しい内容のものではなかったんだけど、気になった箇所として、BSの「流動比率」についてバフェットが旧来の学説(100%以下は問題)に異議を唱えているというものがあった。
自分はどちらかというと、その伝統的学説に偏っている方なんだけど(自分の本にもそう書いた)、バフェットの書籍では「永続的優位性を持つ企業は、収益を高額な配当や自社株買いに回すので流動比率を100%以下に押し下げ、且つ一貫して高い収益を生み出すため、流動負債を滞らせる事がない」となっている。
さらに、「そのような企業は景気変動や不況の波に翻弄される事もない」と言い切っているんだけど、今現在の状況で同じ事が言えるのかどうか疑問に思える。 まぁこれはバフェットの書籍というか、書いた人はバフェット本人ではないので、どこまで本人の考えを表現できているか分からないんだけど、今現在の金融危機の下では、売掛や在庫は別として現金保有高は高い方がイイに決まっている。
本人が直接書いたものであれば、微妙にニュアンスが変わるんじゃないかと思うんだけど、まぁ「デリバティブ問題」に揺れるバークシャー(BRKa.N) の事で頭が一杯なバフェットには、近い将来金融危機下での経験本を出して欲しいとこですね。
CDSスプレッドと加速する「空売り」
世界経済にとって、無視するには大き過ぎる「米銀ストレステスト」の結果公表が迫ってきた。(米7日午後)
上記のバフェットは「シティの莫大な損失が米銀の評価を歪めている」として、米ストレステストに対して批判的という事なんだけど(ロイター)、バークシャーにとって2番目の大口投資銘柄であるウェルズ・ファーゴ(WFC.N) の健全性をアピールし、ストレステストの結果に関わらずファーゴは「買い」と強調したらしい。(持ち銘柄だし)
そのストレステストなんだけど、報道では「審査対象19行のうち6行は資本増強が必要」となっていて、そのWファーゴの他、シティ、バンカメ、PNCフィナンシャル(PNC.N) 等がその中に入っている模様。
シティとバンカメに至っては随分と騒がれていて、CDS値もシティが615bp、バンカメが325bpと随分上昇してきた。(4/28)
CDSスプレッドとショートポジの拡大が同時進行となっている米金融市場なんだけど、ブルームバーグによるとシティ株の売り持ちは、米政府がシティ優先株を普通株に転換する事を発表した(株価を打つ米銀行問題) 2月下旬以降、何と「6倍」に増加しているとの事。
バンカメ株の空売りも同期間に40%の増加(ブルームバーグ)という事なんだけど、審査対象銀行株の空売りは4月の時点で昨年のピークだった7月の2倍になっているという事で、投資家はストレステストと増資をセットに考え、ダイリューションに備えている、という事になる。(SP500自体は上がっているが)
昨年リーマンが潰れた時もそうだったんだけど、CDSスプレッドの拡大と空売りの加速がその背景にあり、さらには他の金融機関が意図的にリーマンCDS値を吊り上げて、空売りを仕掛けていたという報道もあった。
今現在のシティとバンカメのCDS値が、空売りの為に意図的に吊り上げられているのかどうかは分からないんだけど、CDS値が株式市場をリードする構図が、アメリカでは当面続きそうに思える。 (特に金融機関)
続く「イベントリスク」
先月末にソフトバンク(9984)が決算を公表したんだけど、CDOの元本
割れ(関連記事) は織込み済って事で、本日5月1日は心配をよそに
年初来高値で引けた。(1,717)
ソフトバンクにとってもCDOの特損は教訓になる事として、コスト削減が
進んだ営業益の拡大は長期投資家にとっては明るい兆しとなる。
一時のCDS値(2000bp)に「イチャモン」を付けるような営業キャッシュと投資
キャッシュの逆転は、孫社長の「借金返済メッセージ」を再確認させられる事
になった(CDSトレンドの演出) 。 当面は収益の拡大と共に、09年度の
フリーキャッシュ「2500億円達成」がフォーカスされる事になる。
続くイベントリスク
米クライスラーが「チャプター11」適用申請って報道が目に付くアメリカなんだ
けど、破産はほぼ予想されていた通りであり、その形式が「プレパッケージ型
破産」という事で、NYには動揺が広がらなかった模様。 ただ、その下にぶら
下がっている自動車部品6社が、S&Pから格下げ検討される報道もあったん
だけど(同日)、自動車業界の行方を表す「前兆」ともいえる。
アメリカの金融市場では、「ストレステスト」 の結果公表が「刻みながら」
ずれ込んでいるんだけど(6日公表らしい)、これは米金融当局と大手19行の
折合いがついていない事を表している。 損失の具体発表となるか未だによく
分からないストレステストなんだけど、損失と増資等をセットに公表するらしく、
市場を沈静化するための話し合いがなされているという事になる。
3月頭から回復トレンド(付和雷同する世界市場) には乗っている米国市場
なんだけど、このストレステストの結果がどう影響するのかが、1つのポイント
となる。
SP500(↑クリック拡大)は4月29日に、ここ2週間の抵抗線(879)を抜けたよう
なんだけど、「テクニカル的には」昨年末のレベルに近付いている事になる。
この楽観ムードに水を差さないように配慮する米金融当局なんだけど、
ストレステストの峠を越えたとしても、5月15日には以前ほど強力でない
「ヘッジファンド解約説」(緊迫する2月第2週) 、その後GM問題、さらには
「市場アノマリー」が待ち受ける。
11‐4月は 「+6.86%」
表は過去20年間のDJ30(ダウ)の5-10月と、11‐4月の変化率を表している
んだけど、平均値は「0.44」と「6.86」で、圧倒的に11-4月変化率の方が高い。
さらには5-10月の黒字(ポジティブ)は、60%っていうサイコロを振るような
結果となっている。 要するに、「夏バテ相場」も待ち受けるって言いたいクドい
自分なんだけど、別にショーポジを取っている訳ではない。(念のため)
あと、オマケ的に急拡大した「豚インフルエンザ」発生図。
経済的影響がどこまであるのかゼンゼン分からないんだけど、ちょっと怖い。
市場では早くも「豚インフルエンザ銘柄」が出てきたらしいんだけど、この
博打銘柄が業績を上げる事は、健康にとっては悲報という事で早目に落ち
着いて欲しいと願う。
「先行株価」の行方
日経平均の上昇を根拠に、景気底打ちを主張する「マヌケな経済学者」が最近目に付くんだけど、日経平均自体が信憑性に乏しく、この手の主張は詭弁に聞こえる。
そもそも直近で景気が回復する事を前提に議論している風潮があるんだけど、その根拠自体もイマイチ分からない。 というか何を基準に「回復」といっているのかもよく分からない。
「資産割れ」が続く企業業績は悪化の一途で、輸出企業に至っては自動車セクターが物語るように、10年03月期予想に期待する事はできない。 「円安が見込めるので、輸出関連銘柄が買い」とかいう記事も見かける事があるんだけど、輸出先の状態を見れば楽観的になれないのが当然であり、その場合「ただ円が安くなるだけ」となる。
4月10日(企業業績に逆行するNK225) にはNK225EPSは51だったんだけど、その後は31まで急落。 PERは僅か10日間で180倍から285倍となってしまった(あり得ない)。実績ベースでなく予想ベースで考えたとしても、高PERであるのはまず間違えない。
‐「NK225/PER/EPS」‐
4/23(木) 8,847.01 285.81 31
4/22(水) 8,727.30 252.63 35
4/21(火) 8,711.33 215.80 40
4/20(月) 8,924.75 219.85 41
4/17(金) 8,907.58 186.17 48
4/16(木) 8,755.26 182.34 48
4/15(水) 8,742.96 183.29 48
4/14(火) 8,842.68 181.43 49
4/13(月) 8,924.43 180.28 50
特損がかさんでいるので、実際のEPSとは違うという見方もできるんだけど、それは今までの経済情勢下の話であり、リスク資産を多く保有している企業にとっては本業よりもBSの資産サイドに目を向けなくてはならない状況が定着している。 そしてそれは金融セクターだけの問題ではない。
付和雷同する世界市場
アメリカでもFDIC(米連邦預金保険公社)総裁が23日に、「金融機関や住宅市場は危機段階を乗り越えている」ってコメントしたようなんだけど(ロイター)、皮肉な事に次の日(24日)に、そのFDICは「米地銀4行破綻」を公表する事になった。
前回記事(アメリカの保証人) の時点では25行破綻だったんだけど、僅か数日で昨年の破綻件数を超えた結果になってしまった。(29件)
以上のように状況は悪化しているように思えるんだけど、その一方でワールドインデックスでは、「市場反発」が続いている。BRICs、G7共にそのトレンドに乗っている。(下)
(白枠BRICs/青枠G7)
表は、大底と考えられる3月9日からの世界市場のパフォーマンスを表しているんだけど(Bespoke)、「急落によるただのリバウンド」にも思える。 はたしてこれが継続できるのだろうか?
24日にはG7後、議長を務めたガイトナーが 「バブル崩壊と金融危機から始まった景気後退は強力で、長く続く」 「世界経済の悪化ペースが鈍化した兆候が見られるが、これを景気回復と混同してはならない」と率直なコメントを出したらしい。 日本の白川日銀総裁も「世界金融システムは依然として信頼の欠如による打撃を受けている」としている。
個別(企業)では期待しているところは多々あるんだけど、NK225全体として観た場合には、現状を考えると市場の反発が続くとは到底思えない(他の国は分からないが)。
資産劣化という「水漏れ」が続いている現状では本業での上乗せが難しい状況となっており、マーケットは今後真価を問われる事になる。






