遠いブレーキ (Update)
ちょっと気になったんだけど、FRBが「底入れ」を確認したとの事。
いや、そんな事は無い。 長期国債買い入れ終了を明言した事が誇張されて報道されている気がする。(横ばい、とは言っているが)
その証拠に「ゼロ金利」は長期的に維持され、MBSと政府機関債を買い入れるプロジェクトも延長する見通しの模様。景気底入れの裏付けとなるはずの経済指標は俄然弱いまま。2ケタ目前の失業率に続き、7月の小売売上高はエコノミスト予想を大きく裏切る前月比「0.1%減」。(エコノミスト予想0.7%増)
Retail Sales Fell in July Despite Clunkers Program (Aug14 WSJ)
WASHINGTON -- U.S. retail sales unexpectedly fell in July despite the debut of the government's "cash for clunkers" program meant to jump-start the auto business and help turn around the economy.
打撃を受けた米自動車ビジネスを新たに飛躍させ、経済好転のきっかけとなるはずだった「自動車購入助成金制度」を導入したにも関わらず、7月の小売販売が予想に反して落ち込んだ事を、WSJは落胆と共に報道。
自動車買い替え支援策の数字押上げがかなり期待されていた事が伺える。
そして反発する住宅着工件数とは裏腹に、差し押さえ件数は止まるところを知らない。 「7月米住宅差し押さえ件数は過去最高」 ハッキリ言って着工・販売件数よりこっちの方が重要となる。
「signs that the foreclosure crisis is spreading」
今晩発表される7月の米CPIも、前年同月比で大幅なマイナスになる見込み(らしい)。
4日に発表された6月のコアPCEも市場予想を下回る伸びで(前年比+1.5%・市場予想+1.7%)、インフレの足音は程遠い事が伺える。
来年1月に任期の切れるFRBバーナンキは、「インフレファイター」としてのアピールも必要なんだけど、インフレ懸念が弱いタイミングでの国債買入れ終了(10月)宣言はその一環になったと思われる。 その事が「景気底入れ」と絡めて少々大袈裟に報道されている模様。
実質のブレーキ(出口)はまだまだ先になる。
残炎マーケット (Update)
昨晩は結構飲んで(ビール&ワイン)、調子悪く早朝目が覚めた。
今週は相場を見る事もあまりないだろうが、いちおー気になる。
7日付のロイターでは、8月第3週の展開を次のように予想。
盆休みで薄商いとなるNK225は、よく観るとRSIは天井(100%)をタッチし
ている。過去10年を観ても100%に達したのは今回が初めてで、盛夏を
表したような過熱感。 何気にボリンジャーバンドを引いてみると、バンド幅
もRSIの高騰と共に拡大。「テクニカル上は」上値余地を残している。
自分はテクニカルを軽視している方なんだけど、過熱感があるのは確か
なので載せてみた。 まぁ友人が空売りを掛けているので、そっちの方が
どうも心配。(個別だけど)
アメリカでもSP500は依然として1000ポイントを維持。日米共にマイルストーン
(WSJ)を抜けたまま。
7月12日に53行の破綻だった。この1ヵ月で約20行の破綻というハイペース。
そして7月米失業率は9.4%だったとの事。改善っていうレベルでもない
失業率なんだけど、株価は騰がっている。バーナンキの「雇用なき回復」は
進行中。 ただ、例の「失業率から観たSP500」の経験則でいうと目先横ばい
って事になる。
オバマは7月の雇用統計を見て、「正しい方向に向かっている」と言った
らしくアナリスト達も楽観的な予想をし始めた模様。 ただ、過去の歴史から
経済学者やアナリスト達の予想はことごとく外れている。(GDP&株式リターン)
※グレーライン→経済学者GDP予測 レッドライン→実際のGDP
※レッド→アナリスト株式リターン予測 ブラック→実際のリターン
そんな中、毎度の事ながら不吉なチャートを発見。
世界恐慌がマイナス89.2%、オイルショックがマイナス48.2%、ITクラッシュ
がマイナス49.1%で、現在の金融危機が17ヶ月目にマイナス56%の落ち込み
幅なんだけど、
その落ち込み幅をX軸、回復までの期間をY軸に置いたベアマーケットチャート。
世界恐慌、オイルショック、ITバブル崩壊を結んだ曲線の上に、2007年から
の「金融危機ベアマーケット」を置いてみる。 すると、金融危機の弱気相場は、
回復までに約110ヶ月掛かるとの事。 それでいうと今年の3月から9年と2ヶ月
って事で、「2018年5月」にSP500が1500ポイント、ダウでいうと14000ドルに
到達する事になる。
まぁ半分ジョークです。
永遠の非効率性
前回記事で、実態の見えない失業率の数値に関し、早大大学院教授の野口氏の記事を紹介したんだけど、どうやら彼は「実際のマーケット」についての考えが疎いらしい。
ちょうど書店に立ち寄る事があって、彼の著書に目を通してみたんだけど、彼はどうやら効率的市場仮説の妄信者らしく、バフェットの事も全く理解できていなかった。 普段よく思う事だが、野口氏に限らず、効率的市場仮説論者というのは、実際のマーケットの中に立った事がない人が多いように思える。
サッカーでいうと、ピッチに立った事の無い人がサッカー本を読み込んで「実際のサッカー」を論じている様であり、自転車理論でいう(どこかで見た)、自転車に一度も乗った事のない人間が、「自転車の乗る角度」などの理論に長けているからといって自転車を乗りこなせる訳も無い、といったところになる。
要するに、本ばかり読んで理論は旺盛なんだけど、実践に役に立つかというと全く別問題という事になる。
自分の考えからすると、効率的市場仮説など議論する価値すら無いように思えるが、ここでは偉そうに論じてみる。
永遠の非効率性
一般的に認識されている効率的市場仮説を簡単にいうと、「その株に関連する情報(材料)は、市場参加者の総意によって、瞬時に株価に反映されるため、常に適正価格で動いている」。よって「現株価は既に適正価格である為、将来を予想して儲かる事は不可能」というもの。
この考えからすると、株で勝っている人は偶発的に勝っている、という事になり、将来の株価の予測は不可能、という事にもなる。
恐らく、この学説の信望者は、「情報が株価に瞬時に織り込まれる」という様を肯定しているのだろうが、それ(株価)が、企業の本質的価値を常に表しているかというと、全く別問題となる。 瞬時に織り込まれるという事なんだけど、「瞬時」というのが漠然としているし、市場参加者全てが瞬時に織り込むのだろうか?この時点で既によく分からない。 そして、その情報が正しく織り込まれるとは限らないし、誤った情報を織り込む事だってあるだろう。 正しい情報かどうか正確に判断できるというのであれば、言い張るだけでなく根拠を示して欲しいところだ。この学説を観てみると、「瞬時に」「正しく」等を頭ごなしに後付けしているだけのように思え、完全に具体性が欠けている。
市場参加者全てが「正しい情報判断」を出来る訳も無い事を考えると、情報を瞬時に織り込むという正しい価格決定プロセスを経ているように見えて、実際には誤った市場価格(株価)となりやすい。 第一、理不尽な株価だと分かっていても、個人(法人)の諸事情で売買を行わなくてはならない時だってある訳だ。 それでも効率的といえるのだろうか?
自分からすると、株式市場に限らず、ほとんどの日常で人間自体ほとんどが非効率的に稼動しているように思える。どんなに効率的に働いているように思えても、進歩の余地(非効率な側面)は必ずある。 人間に非効率的な側面があるからこそ、効率的という言葉の信憑性すら存在する。 株式市場のみ「常に」効率的だ、という学説は聞くに値しない。初めてこの学説を知った時は、あまりにお粗末過ぎて本当に存在するのかどうか疑った位だ。
「株のビギナー」が人気銘柄に乗っかった結果、企業の本質的価値を上乗せした株価になる事はマーケット上では日常の出来事だし、過剰な悲観報道によって、本質的価値から掛け離れた「超割安」、という事も多々ある(あたり前)。 その様な現象(株価)も効率的と言い張るのだろうか?自分には非効率極まりない現象に思える。 効率的な時もあれば、非効率的な時もあるので、非効率的な時に狙い目をつける、というのは当然、株式市場に限った話ではない。全ての事柄にいえる物事の真理だ。
例えば自分は、昨年秋にソフトバンクが1000円を割ったのでポジションを取った。 ファンダメンタルズと予想EPSから株価は割安(非効率)、と判断した事になる。 「効率的市場仮説論者」にすると、自分は偶然勝っている事になる。 彼等からすると、割高・割安等の言葉すら存在しないのだろう。彼らに言わせると、株価は常に効率的で「完全無欠」なのだから。人間には進歩の余地が無い、と言っているようにも聞こえる。
自分からすると、株式市場に限らず人間自体が永遠に「非効率な側面」を持っているように思える。
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