鎌倉殿の13人で、義時は姉のことを「賢くない」って頼朝に言ってたけど。北条政子って賢くないの? | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

「鎌倉殿の十三人」いいですね、私は大好きです。

オープニングは何故か主人公が馬で走って逃げてる。これ「真田丸」と同じパターンじゃん、とちょっと笑いました。

 あれと同様、思い切り自由にやって欲しいと思いますね。史実と違うのなんのと野暮なことを騒ぐ視聴者を気にせずに(騒ぐだろうなあ)。

政子が第一回からあんだけグイグイ来るというのは、小池栄子凄いなあと感服しました。 

政子が頼朝に接近しようと色目を使ったあと、義時が
「姉は素顔は不細工で、あの通り、賢くないですよ」
的なことを言っています。
これは要するに「姉に手を出すのはやめたほうがいいっすよ」って言ってるわけですよね。
でも北条政子って、歴史の教科書には太字で載ってる「偉人」でしょ? それが「賢くない」っていうのは、史実に照らしてどうなの?

史実の北条政子も頭悪かったの? 三谷幸喜の新説?
いやいや、これは大河「ドラマ」だからでしょう。
これは身内の、弟の陰口です。ここはホームドラマだと思って見たほうがいい。客観的な歴史の評価ではありません。

「あの姉貴はやめといたほうがいいですよ、相当バカですから」
これ、本音というか真意としては、、頼朝さん、北条にこれ以上くっついてくれるな、っていうことですね。
もうちょっと言うと
「この状況で、厄介者の頼朝さんを狙ってモーションかけるなんて、どう考えても利口な女じゃあないよ、なに考えてるんだ姉貴は」
っていう義時の心の声が、思わず出てしまったんではないかな、とみます。


当の頼朝の面前で「今、あんたに関わろうなんて、賢い人間のすることではない、分かるでしょ? 迷惑だから早く出てってください」と、義時は遠回しに言っちゃってるんです。

北条としては、頼朝をコッソリ体よく追い払うのが利口なやり口です。その頼朝に積極的に関わろうなんて兄や姉は、義時にいわせれば「賢くない」ってことです。
でもね、歴史ってのは時々、小賢くないヤツ、バカが動かすんですよね。そこが面白いわけで。

「うちのアネキ、外面はいいけど、実は相当バカっすよ!」やめといたほうがいいっすよ!」
これは頼朝に言っていると同時に、テレビを見てる現代の観客に言ってる、とも読めます。
そりゃ、赤ん坊の時から十ウン年(?)、一緒に育って、それこそ裏も表も知り尽くしている仲ですから。
「オレだけが知ってますよ、あのアネキ、歴史の教科書には偉人みたいにかいてありますけどね、若い時は、けっこう俗物のバカ姉貴だったんですよ」
って観客に向けて言ってるんだ、とも取れます。オレらこの時点では「凡人」ですよ、ってことです。

(ちなみに「北条政子」は教科書用語で、この時点では政子なんて貴族の娘みたいな名前のはずがない、って話は先週書きました。)

大河の主人公は、始まったときはヘタレな凡人なくらいでいい、それが一年間かけて成長して、年末には偉人になってるわけです。
近藤勇だって、真田幸村だって、第一回にはおバカな若造だったでしょう?
時代劇では、登場人物は成長しません。水戸黄門は最初から偉い。しかし大河は歴史劇ですから、人は週ごとに成長するんです、だから面白いんです。
今回、政子は副主人公みたいなもんだから、やっぱり第一回にはちょっとトホホな人物に描いておく。
これが三谷幸喜の作戦なんです。てゆうか大河の組み立てのセオリーです。

もちろんいちばんトホホなのは頼朝ですけど。これはもう「そう見せかけてるだけ」って片鱗を、早くも出してますね。

 

 

 

 

 

 

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