田沼意次を「賄賂政治家」とか「悪徳」というふうに思えないのは、たぶん「天下御免」のせい。 | えいいちのはなしANNEX

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「翔んでる!平賀源内」ってドラマが、昔、ありました。源内が西田敏行。なんでもやってるな、あのひと。
で、このときの田沼意次 役は、藤岡琢也でした。
「渡る世間は鬼ばかり」のゴッドファーザーの、あの藤岡琢也です。定年サラリーマンが調理師免許を取って料理人になって高級料亭を繁盛させて死んだあと宇津井健に生まれ変わる、という昭和の立志伝中の人物を演じた、あの藤岡琢也です。
ま、とはいったものの、藤岡琢也の「翔んでる!平賀源内」の田沼意次は、まあ、アクの強い豪腕政治家で、見た目は悪役っぽかったのは確かです。しかし、源内とケンカするうち仲良くなり、その後ろ盾として活躍しています。結局、いいひとです。
平賀源内といえば「天下御免」です。もう四十年以上前のNHKドラマ。源内は山口崇(タイムショクの司会を田宮二郎から受け継いだひと)、田沼意次は仲谷昇(「カノッサの屈辱」の歴史学者)です。この田沼は、開明的で肝も据わって洒落も分かる、ものすごくいい政治家として描かれていました。最終回で田沼が失脚するシーンでは、子ども心に涙が出ましたよ、大きくなったら田沼さんの仇を討ちたい、くらいに思いましたよ、そんだけ入れ込んで見てましたね、あのドラマ。

この田沼像は、けっこう世間に「田沼いいやつイメージ」を普及させたと思います。以降、私の知る限り、田沼を「おぬしもワルよのう」的な賄賂政治家として登場させたドラマも小説も、実は見たことがありません。
だから、世間的に「田沼のイメージが悪い」と言われてるけど、それは、、どこの話なんだろう、と正直、思うんですよ。