「ヴィジット」はホラーのようでいて実はミステリー映画です。すげえや。 | えいいちのはなしANNEX

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 私、ホラー映画ってあんまし見ないほうなんですけどね。これ、ライムスター宇多丸が先週やたら勧めていたんで、なんかすごく観たくなって。「ヴィジット」です。
 でもこれが、真夜中しかやてないんだ。しょうがない、またまた深夜の新宿歌舞伎町にやってきました。PRパネルも出てないので、上映中のハコの入口のチラシを撮ったけど、カメラ構えた自分が映り込んでたりして一層、不気味に。

 うん、怖いっていえば結構怖い。でも、観て正解ですね。「シックス・センス」の監督なので、いわゆる「ああゆう種類の話」です。つまり、これは本格ミステリー映画と言い切ってよい。「~と思い込ませておいて、実は! 」という種類の「ホラー風味推理映画」ですから、安心してください(誰が、ってえと、俺みたいな人が)。

 宇多丸氏は「全編に漂うなんともいえないイヤーな雰囲気、もちろんいい意味で」って言ってたけどね。んろほどね。この映画の「怖い」ところ(つまり面白いところ)は、「これがどういう種類の映画なのか、どういう態度で観ればいいのか、なっかなかわからない」というところですね。

 「とにかく怖い怪物に理不尽に襲われる」という普通のホラーとして観てれば、それでも楽しく観てられるんだけど、「どうも、そういうモノではなさそうなんだけど、うーん、なんだろこれ」って思えたならないんだよね。

 だから、最後に「あーそうかあ!」と快哉を叫ぶことができるわけです。

 「イニシエーション・ラブ 」とおんなじ種類の映画だ、と言い切っていいでしょう。あれも、恋愛映画だと思って観ていると実は! ってやつだったし。

 ちょうど、「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル(タマフル)」の、三宅氏の「なんだ猫か」の話を聞き終わって「なるほど~」と膝を打ちながら映画館に入ったので、一層「うまくできた映画だこれは!」と感動した次第であります。

 有名俳優は一人も出てこない。でも、そこがマイナーぽくていい。子供二人がうまい。弟の「ラッパー少年」が最高だ。ホラーとは全然別の文脈で楽しい。この少年たちが無垢な巻き込まれ役では決してなく、それぞれトラウマを抱えて、生きにくい人生を生きている、という描写が深みを増しています。「これは、ジョブナイル小説としても立派に成立している」と宇多丸先生が言っていたが、確かそのとおりだ。

 お勧めです。夜中しかやってないけど。

 ちなみに「なんだ猫か」について語ると長くなるので、ポットキャストかなんか探してください。