武田信玄が「信長のシェフ」ケンの料理で健康体になったら、日本の歴史は変わるのか? | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

 「信長のシェフ」、ドラマは見てたけど、原作漫画は読んでなかった。
 それを最近、某所(飯屋)でみっけたので、順番に読んでみました。
 なるほど。ドラマの玉森クンより、漫画のケンのほうが、年上で渋い。歴史の知識も玉ちゃんよりは元祖ケンのほうが「常識的な範囲」であるみたいです。

 いま、ケンと夏さんが甲斐に拉致されて、信玄の料理を作らされてます。信玄の顔色から内臓が悪いと見抜いたケンは、健康にいい薬膳料理を作りまくり、おかげで信玄はみるみる健康になってきます。
 ケンは「やばい」と気づきます。信玄は上洛の途中で病死するはずだ。でも、信玄が死ななければ、そのまま攻めのぼって信長を討ってしまう。オレの料理のせいで歴史が変わってしまう、どうしよう。

 あ~、そんな律儀に心配することないって。

 仮にあと十年、二十年長生きしたとしても、信玄は、信長には勝てません。絶対に勝てません。
なんでか。兵站補給のこと、軍編成のこと、総合国力のこと、外交能力のこと、並べていったらキリないですけど。要するに一言。「時代を逆回ししようとする人間は、新しい時代を切り開こうとする人間には、絶対に勝てない」。それが歴史だからです。

 歴史の流れに乗った者が必ず勝つ、っていうのは、逆にいえば、時代の大きな流れは個人のちょっとした生き死にやひとつふたつの合戦の勝ち負けで変わるものではない、ということです。実際、信長が本能寺で殺されても、「古きよき日本に戻そう」という光秀の主張に賛同するものはおらず、歴史の流れは変わりませんでした。
 「室町幕府を再興するのが正しい」とか言ってる信玄は、結局、何年生きても信長に勝てるはずがない。
信玄が長生きしたくらいで、日本の歴史は大きく変わることはありえません。だからケンは安心して料理を作ればいいです。